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全員に伝えるには1人に向かって書く/作家の僕がやっている文章術106

ランディングページがその代表でしょうか。

たくさんの人たちに、クリックかタップをしてもらいたい。

集客のための文章を書く。

たくさんの人たち、すべての悩みのケースをつかまえようとして、ついペルソナ以前のターゲットの範疇を広げて想定しがちです。

つまり「ひとり」を想定して書くのではなく「多くの人たち」を想定して書いてしまうのです。

しかし多くの人たちの関心をつかまえるには、1人に呼びかける方が効果的です。

たとえば、次のような街頭演説があったとしましょう。

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<文例1>
皆さん、私は子育て支援を政策に掲げております。

保育の充実、保育から教育への効率的な移行。

そのためには概算して、1億2千万と試算されている子育て支援の予算をもとに、3つの政策をお約束します。

ひとつ、保育所施設の拡充、ふたつ保育士の養成、みっつめに保育プログラムの市内保育施設での共有です。

子育て支援だけではありません。

高齢者、障害者、失業者への福祉政策の充実をお約束いたします。

投票日にはぜひ……。

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マイクを構えて、ワゴン車の上に立って、文例1のような演説をしている立候補者の前を、たいていの人は声を騒音としてしかとらえず、歩きすぎてしまう。

実際に、そんなシーンに出会います。

では、その街頭演説が次のような「ひとりに向けて」の語りかけだったら、どうでしょうか。

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<文例2>
そこを歩く、お母さん。子育てご苦労様です。

この時刻にお子さんの手を引いているということは、保育園に入れなかった。

つまりはワンオペ育児ということですよね。

大変でしょう。お察しします。

料理、洗濯、掃除に買い物。

もしかしたらパートかアルバイトで家計を支えていませんか。

夜にきちんと睡眠をとれていますか。

あなたのようなお母さんを支えたいんです。

あなたのような大変さを1人でも減らしたい。

いや、いますぐにでもなくしたいんです。

保育施設を市内に作る。お金かかります。

保育士さんを増やす。時間かかります。

どうでしょう。皆さん。

引退した元保育士さんの再雇用を考えませんか。

保育士の経験がある。
結婚なさって自分のお子さんを育て終えた。
まだまだ現役世代。何しろ経験豊富です。

そんな元保育園の先生を、保育士の資格を持っている人たちを、もう一度市内の保育所の職員として復帰していただく。

いますぐできる政策です。これを実現したい。

投票日にはぜひ……。

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文例2は、1人への語りかけから始まっています。

けれども、周囲に集まった500人くらいが、同時に耳を傾ける内容になっているはずです。

「どうでしょう。皆さん」からは、その500人に向けての演説に変わっている。しかし1人のお母さんへの語りかけの内容のままなのです。

関心を惹くのは文例1と文例2のどちらでしょうか。

投票をしたくなるのは、どちらの候補者でしょうか。

次はランディングページの文章例です。

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<文例3>
キャラバンマーケ株式会社は、印刷パンフレット、オウンドサイト、SNSの活用、ステップメール、紹介YouTubeの制作で、多くの商材の販売に貢献しています。

お困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

文例3を、たくさんのターゲット顧客に向けての文章から、ひとりの顧客への語りかけの文章としてリライトしてみます。

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<文例4>
ステップメールを導入したけれど、開封率が低い。

せっかくの情報がお客様に届かない。

開封率を上げるのに必要なことはタイトル付け。

それももちろん重要です。

しかし多くのSNSとステップメールをどう紐付けするかは、もっと大事です。

あなたの会社の商材を広めるには、ステップメールを軸に、どんなSNSを選んで、どのような内容を、どんな文章で伝え続けるか。

キャラバンマーケ株式会社は、そのお手伝いができる会社です。

他にも、印刷パンフレット、オウンドサイト、紹介YouTubeの制作などで多くの商材の販売に貢献しています。

お気軽にお問い合わせください。

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文例3を信頼するでしょうか。文例4を信頼するでしょうか。

ページを後からオフラインで見るために、保存しておきたくなるのはどちらでしょうか。

1人への1つの事例であれば、具体的に書くことができます。

すると文章は説得力を持つのです。

他の案件のお客を呼び込めなくなってしまうのではないか。

その不安から「ひとりへ」ではなく「皆さんへ」の文章を書きがちです。

「皆さん」とは「ひとり」の集合体なのだと考えて1人へ向かって語りかけるように書きましょう。

多くの人たちに続きを読んでもらえる確率は高くなります。

より多くの人たちに情報が届く確率が高くなるのです。


サポートしていただけると、ありがたいです。 文章の力を磨き、大人のたしなみ力を磨くことで、互いが互いを尊重し合えるコミュニケーションが優良な社会を築きたいと考えて、noteを書き続けています。