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主題さえ決めれば、すべてが言える/作家の僕がやっている文章術102

~~~ はじめに ~~~

いま私はストアカで『文章が読みやすく、分かりやすく、伝わるようになる簡単テクニック』の講師をつとめています。

さまざまな受講生の方が参加なさいます。

社内ビジネス文章、社外メール文章、LP文章、ブログ文章、Web(ウェブ)記事、随筆、小説、プロフィール文章……。

悩みも様々で

「書き始められない」

「書くのに時間がかかる」

「文法の使い方に自信がない」

「ダラダラと長く書き続けて結論があいまいになる」

「伝わらない文章で、相手から問い合わせの電話が入ってしまう」

「物語を書き続けられない」「物語に結末をつけられない」……。

1つひとつの悩みにお答えし、改善法をお話ししています。

いろいろな方とお目にかかって、文は人なりだなぁと思っています。

文章は個性的なもので、ひとり一人の書き癖のようなものが見つかります。

書き癖が魅力的な場合もありますが、読みにくさの原因となっている場合もあります。

簡単な修正で、見違えるほど読みやすい文章へと変身するものです。

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なくて七癖

「なくて七癖」とは、癖なんか自分にはないと思っていても、自覚のない癖は7つほどはあるということわざです。

「癖なんかないよ」と言いながら、話すときに鼻に指を添える。

面会を始める前に、その人の前でせきばらいをする。

靴を履いた後に、トントンとつま先を床に突いて履き心地を整える。

すべて、さり気ない癖です。しかも自覚していない癖です。

ところが他人の目から見ると、どうにも気になる。

「なくて七癖」は、人柄を判断されるときのマイナス要因にもなり得ます。

「文章の七癖」も、読者からはどうにも気になる。
読みにくさの要因にもなり得るのです。

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「なくて七癖」の、今回は第5回の事例「言いたいことを2つ以上盛り込んで書いてしまう」を取り上げます。

<文例1>
「言いたいことを2つ以上盛り込む」

松倉雄一郞は、昭和33年8月に和歌山県の田辺市の貧しい農家に生まれ、梅の実を収穫する繁忙期には小学校を休んで家業を手伝わなくてはならず、学問を希求しながらも、勉学からは離れた幼少期を過ごしたため、大阪に出て高校や大学に通って、工学の知識を身につけたいと思って過ごしていた。

この学問への貧しさゆえの向学心を身をもって経験したことが、松倉興業社長として年商2億8千万円を売り上げる企業の社長からの社会貢献として、貧しさを理由に勉学をあきらめざるを得ない若者たちへの、返済不要の奨学金「松倉向学奨学金」を令和4年に設立するに至った経緯である。

この文章を読みやすく書き直してみましょう。

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