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パリ逍遥遊 アルザス街道を行く!

アルザス(Alsace)ワイン、忘れもしない。

ワインのブラインド・テイスティング試験に出された問題は、アルザス(Alsace)のゲベルツトラミネール(Gewurztraminer)だった!フランスの食の三種の神器と言えば、ワイン、チーズ、バケットだろうということで、全くお酒が飲めなかった私がパリに来て、ワインを嗜むようになり、なんとワイン学校にも通ったのだ。

パリで最も古い学校、ル・コードン・ブルー(Le Cordon Bleu)だ。講義は3モジュールから構成されていた。各講義の最後はテイスティングの時間、ワインが5種類出される。この時、三種の神器の残り二つ、チーズとバケットが振舞われる。もちろんワインとのマリアージュも講義の中の大事な項目だ。5種類のワインに本当に合うチーズが出てくる。このテイスティングの時間が何よりもお気に入りだ!
もちろん学校だから、各モジュールに試験がある。

コルドンブルー7

試験にはブラインド・テイスティングもある。テイスティング用の黒色のワイングラスに、問題のワインが注がれている。赤ワインなのか、白なのか、ロゼなのか、見えない。目から入ってくる情報(視覚)をなくして、におい(臭覚)、味(味覚)でブドウの品種、地域、収穫された年代、特徴(果実、花、植物、香辛料、芳香、香り)等を回答する。試験中、問題のワインが何なのかわからず、何度も飲んでいるうちに、ソーテルヌ(Sauternes)と勘違いするほど、甘さを感受してきたのを今でも覚えている。テイスティング中、含むけど飲んではいけないにも関わらず、美味しいし惜しいから、吐き出せないのだ。ソーテルヌとは、貴腐ワインで、世界でも3本の指に入る甘口ワインの一つだ。回答はこのアルザスのワインの一つゲベルツトラミネール(Gewurztraminer)だった。


アルザス地方はストラスブール(Strasubourg)を中心に発展し、ドイツ文化の香りが漂う。パリ(Paris)からストラスブール(Strasbourg)まで、時速315kmのTGVで約2時間。途中ランスを通過する。ストラスブール(Strasbourg)発のアルザス(Alsace)ワイン街道というツアーへ出かけた。このツアーは、アルザス地方のブドウ畑を自転車に乗って出かけ、途中数か所のワインセラーでワインを試飲するというものだ。どのワインセラーも、ピノ・ブラン(Pinot Blanc)のクレマン・ダルザス(Crement d'Alsace)というスパークリングワインから始まり、リースリング(Riesling)、ピノ・グリ(Pinot Gris), ゲベルツトラミネール(Gewurztraminer)を試飲させてくれる。次第に香り高く、甘みが増してくるが、決して甘たるくはない。なぜゲベルツトラミネール(Gewurztraminer)をソーテルヌと間違えたのが不思議だ?!どのワインも単品で楽しむことも出来る。今回マンステール(Munster)というウオッシュタイプのチーズにゲベルツトラミネール(Gewurztraminer)のワインの搾りかすから造った蒸留酒をあわせたデザートチーズにも挑戦。なかなかいける。
 

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ストラスブール(Strasbourg)の街で感動したのは、グーテンベルク像。活版印刷技術の発明者ヨハネス・グーテンベルグ(Johanes Gutenberug)の像だ。1455年に発明されたこの技術によって、多くの人が科学者、哲学者の書物を読めるようになるだけでなく、宗教活動、奴隷解放等政治活動にも影響を与えた。このことを語るかのごとくグーテンベルク像の台座3面には、それらの様子が描かれている。正面は、コペルニクス、ニュートン、ゲーテ、モーツアルト等の名前が刻まれ、それぞれの科学的発見、哲学、思想を子供たちが書物を通して学んでいる姿がある。1000年台で最も影響力のある人として、どのメディアにおいても彼の名が1位に挙がるのは、文化的影響度の比類なき高さなのだと納得できる像だ。
 最後の一面は、グーテンベルグの印刷術で葡萄を搾るための圧縮機(Press)が用いられたことをあらわしている。印刷することをPressというのは、ここから来るらしい。一見何も関係なさそうワインと印刷、この結びつきに今宵はAlsaceワインで乾杯。

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あ!?そうそう、昔読んだ物理学の教科書「ファインマン物理学」に、「グラス一杯のワインの中に宇宙がある(The whole universe is in a glass of wine)。」って何とも恰好いいフレーズがあった。ファインマン曰く、「ワインというのは様々な分野から研究できる対象であり、多くの知見を得ることが出来るが、それらを総じてもワインはできない。」と、これまた真だ。さらに、最後にワインが何の為に存在しているのかなんて思考することは忘れて、最後はワインを飲んで楽しもう!とあった。おっしゃる通り、ワインを楽しもう。

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