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パリ逍遥遊 フランスで道を聞かれる日本人

パリに住んで数ヶ月。始めはこいつら何ボソボソ言ってるんじゃ?とか、知っているフランス語は「ジュトジュデ、ニジュ、アトジュデ、サンジュ」(注:「10と10を足すと20、あと10を足すと30になる」という日本語をフランス語っぽく発音したもの)ぐらいしか知らなかったが、段々とフランス語会話に慣れてきた。

となると、ついつい話したくなっちゃうのが人間の性。そこは、さすがパリ。みんな普通にフランス語を話してくるので、スーパーの買い物とか、こちらが客のはずの観光とか、我が家が雨漏りした時とか、かなりの頻度でフランス語を活用できる。そんな中、家の近所を散歩していると、たびたびフランス人から道を尋ねられることに気付く。

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ちなみに私の家は16区の端。パリの地図でいう一番左下で、特に観光スポットはない。つまり、観光客が来ることのない普通の住宅街だ。そんなところで道を尋ねられるのだ。大体は「ここら辺に郵便局はないか?」とか「メトロの駅はどっちだ?」とかの質問で、フランス語ができる(つもりになっている)ので、意気揚々と答える。

さらに数ヶ月が過ぎ、冷静になって考えてみると、なんでコテコテの日本人顔の私に道を聞くのだろう?という疑問が湧いてくる。だって、例えば、あなたが東京とか大阪とかで郵便局や駅までの道順を聞くときに、コテコテの西洋人顔の人に訪ねないでしょう、普通。観光客以外の日本人に尋ねるはず。

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考えれば考えるほど不思議なので、試しに質問してくるフランス人に道を教えた後、逆質問してみた。
「ところで、なんで私に道を尋ねたの?私日本人だから道を知らないかもよ?」

いろんな人に質問してみたが、返ってきた答えは、みんな同じ。
「パリのフランス人は意地悪だから、わざと間違った道を教えるんだよ。君はアジア人だろ?アジア人は、わからない場合は『わからない』と答えるし、わかる場合は正確な道を教えてくれるから、安心なんだ。」

ほ~、なるほど~。というか、パリに住むフランス人は酷いやつらだな~。普通わからない場合は、わからないって言うよな~。
そういえば以前、私がパリで道を聞いて指示通り行ったが目的地に着かなかった時が何回かあったけど、「あ~、私のフランス語聞き取り能力はまだまだだな」とか思っていた自分が、情けなくなってきたな~。あの時、騙されていたことにも気付かなかったんだ~。あ~。

パリでの修行はまだまだ続く。

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