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楽曲コンペの仮詞について

コンペに入れる歌詞はどんなものがいいの?という疑問のあるクリエイターの方もいるのでは?と思います。楽曲同様、メロに躍動感を持たせるという点でコンペの仮歌詞はとても重要なものです。作家としては自分自身で歌詞を考え、仮歌を入れるのが将来的な長いスパンで考えるとベストな選択肢のひとつですが、作業効率性や得手不得手も考え、よりクオリティーの高いデモ作品を創りあげる点では仮歌シンガーさんや作詞家さんに外注するのも当然の選択肢のひとつです。

因みに、私自身、作詞単体でのオーダー(決め打ち)をうける事は稀ですが、デモ音源の仮歌詞がそのまま採用される事も数多くあります。デモ制作の場合、あくまで作曲のプレゼンテーションという立場で、歌のハマりを重視し、楽曲のポテンシャルのプラスアルファを追求したワードの選定にプライオリティーを置き、全体のストーリー性は考えるものの、優先順位は低くなります。

メジャーアーチスト、アイテムの楽曲選定はほとんどがコンペによるものですが、作詞に関しては若干のコンペはあるものの、楽曲を選定する権限のあるディレクターサイドお抱えの作詞家へのオーダーによるものが多いです。原因は色々あるのですが、固定の作詞家に発注する方がよりクリエイターとしてアイテムに求められるオリジナリティーやアイデンティティーのステータスを補填しやすい、といったイメージでしょうか。楽曲より作詞の方がよりアーチスト(クリエイター)としての色が出易いのでは、とも思います。一方、楽曲(作曲)の方はクリエイターより楽曲のアイデンティティーの方が強いイメージです。

コンペではクオリティーは当然ながらスピード感がとても重視されます。楽曲採用後の作業はとても多く、作曲と共にフルサイズアレンジも担当する場合は、大まかに、アレンジ、ギタリストのアテンド、仮歌入れ、譜面作成、本番歌rec.用のデータ作成 etc…といった具合です。バンドレコーディングやストリングスなど生楽器を導入する場合は更にダビングの下準備等、作業も多岐に渡ります。

作詞家の作業も、作詞の作成以外に、譜面作成、場合により仮歌レコーディング環境も備わっていると作詞家としてかなり重宝されるます。とある某有名作詞家さんの場合はディレクター的なタスクもこなし、すごいな?といつも感心させられています。

音楽作業全般をオーガナイズする音楽ディレクターの立場から見て、ある程度のパッケージ感の見えるクリエイターがとても重宝されるのは言うまでもありません。歌詞自体のオリジナリティー以外の採用される要素という観点を探ると前述したデモ作品の仮歌詞がそのまま採用される原因ともなり得る、となります。

クリエイターの立場から純粋に良い作品が採用される事を想い描いていますが、音楽ビジネスでは違う側面もあるという事を理解する必要があります。そして「良い作品」という定義がとても曖昧で価値観も人により随分異なる、という事を音楽に従事する立場としては常に留意しておかなければならな命題でもあります。

*写真はスタジオ照明に使えそうなアイデアのアーカイブ。インテリア系ショップの天井の照明セットアップはどこも凝っていてアイデア満載で良い感じです。音楽同様、インテリアもオマージュする、という事がとても大切だな、と感じます。

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