「日給5万円でいかがですか」と言われた20歳
「女」について必死に考えていた頃。
のみならず、実験的に自分を扱い始めた頃。
単に好奇心が強かっただけかもしれません。
当時の私は「お年頃」だったので、人並みに髪を染めて、メイクをすることを覚え、街に繰り出していたのでした。
タイトルのセリフ、
「日給5万円でいかがですか」と声を掛けられたのは渋谷での出来事です。
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結論からいうと、
私は「日給5万円」で買われてはいません。
いったい何のお仕事だったのでしょうね。未だに謎です。
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大学2年生、20歳を迎える頃のことです。
平日の講義の合間だったのか、サボったのか、
渋谷のBunkamura美術展へ行った帰りだったと思います。
東急百貨店に併設するBunkamuraから渋谷駅へ戻る途中、
ファッションビル109の前にある、"いつ行っても歩きづらい" 人で溢れ返った交差点を横断しようとした、その時
「すみません!日給5万円でいかがですか?」
キャッチのお兄さんと思しき人が寄ってきて、歩調を合わせながら声を掛けてきたのです。
初めてでした。
「女」を売り物にする仕事であることは、さすがに初心で無知な当時の私でも分かりました。
その瞬間の心境はといえば、
「うわ。やだ。こわい」
ではなく、
「私もついにこんな声掛けをされるようになったのか…」と正直、妙に嬉しく、しみじみ思ったものです。
何を「しみじみ」思ったのか?
モテない、
男性から興味を示されない、
大学入学して付き合い始めた彼氏には即フラれる…
そんな「女」でしたので、私。
「あまりに残念な要素ばかり搔き集めたような存在」と認識していた自分が、「女」を売り物にする仕事に声を掛けられるようになったこと、
そのことに対して、しみじみ思ったのでした。
「女」という性が商品になることを、当時の私は充分すぎるくらい知っていたのですね。
いつからそんな意識が芽生えたのでしょうね?
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おそらく、この一件があって比較的すぐ、在宅でのチャットレディを始めたのではないかと思います。
渋谷で具体的な金額で仕事の声掛けをされて、
変に自信がついたんだと。
チャットレディを始めてからの話はいろいろあるので、次回書きます。
スマホのメモを漁っていたら、
とある成人向け漫画のこんなセリフが出てきました。
「使い道」…。金を稼ぐ道具になりえることの、
光と闇。
私がずっと追っているのも、その辺りなのかなぁ、とぼんやり思いつつ筆をおきます。
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