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W杯でドイツが初めて日本に負けたのに休みにならない。ドイツで何が起きている?

こんにちは。ドイツ在住のみきです。

ただいまドイツ時間12時半なのですが、昨日はドイツがW杯で初めて日本に負けたにも関わらず、休講にならない!そんなことがあるのか。悔しくないのか!ドイツッッ!!

と、以前はドイツが負けるたび街がお葬式モードになるとツイッターなどでも話題になったりしましたが、今年は盛り上がりのなさがすごい。

日本ではどうなんでしょうか?
あまり日本のニュースや現在の流行など、海外に住んでいると大まか掴めなくなってしまうので、日本でどれほどサッカーが話題になっているかわかりませんが、自分のインスタを見た限りかなり盛り上がっていたようにも感じました。

では、ドイツの状況をなるべく皆さんにもわかりやすくお伝えしてみたいと思います。

今年のW杯の視聴者数が半減

まずは、ドイツの若者向けに簡単かつ面白くニュースを配信するドイツ公共局funkの統計を見てみましょう。

ここには2006年から4年ごとのサッカーW杯のドイツ第1戦目の視聴数を表しています。2006年の20,1 というのはミリオンです。1 ミリオンは日本だと100万、10ミリオンは1000万。ということは、2006年のドイツでの視聴者数は2010万人という数になりますね!

そしてそうやって読み解いていくと
2006年 2010万人 ドイツ対コスタリカ戦 
2010年 2790万人 ドイツ対オーストラリア戦
2014年 2630万人 ドイツ対ポルトガル戦
2018年 2600万人 ドイツ対メキシコ戦
2022年 923万人 ドイツ対日本戦

統計には開始時間や曜日などが統一されていないため、比較対象とするのは不適切だが、どの試合でも2000万人の視聴者数は必ず超えていたのも事実であり、昨日の試合では半数以上が見ないという結果になりました。やはり、カタールに対してのドイツの目というのは相当厳しく、ボイコットの意識はかなり強いのはこの数字でもわかるかと思います。

では、皆さんはそもそもなぜボイコットが起きているの、カタールで起きていることはご存じでしょうか?

【原因その1】W杯スタジアムの建築時の死亡者数

ではまず、ドイツ公共局のこのアカウントでは、話題のニュースや問題に関しても統計やファクトなどを調査し、公表されます。

この投稿では、今回のW杯のためのに作られたスタジアムについて、建築中に亡くなった数などを公表しています。

FIFAやカタール政府関係の公表によりますと、実際の工事現場で亡くなった方は3名、そしてその他、仕事と直接関係なく、建築期間中に亡くなった方が37名、合計40名が亡くなったとされています。

にも関わらず、他国が公表している公式のデータを合わせていくと、2011から2020までに労働難民者が6500名も亡くなったそうです。

しかしここで注意しなければならないのは、たとえば英国氏ガーディアンズの統計結果でもある6500名という死亡者数は、カタールで労働により死亡したすべての方を数えているため、実際W杯関係で亡くなった方はおそらくそれよりも少ないということです。

ただし、FIFAなどの数字も正しいかというと、そうとは限らないというのもドイツ公共局の見解。

FIFAが数えている死亡件数はあくまでスタジアムの建築のみということで、W杯開催により行われたインフラ工事などの死亡件数は数えていないということです。それによって、40人を超えることは容易なのではというのがドイツメディアでの意見となるのです。

【原因その2】環境やCO2排出の問題

では、さすが環境先進国ドイツというべきか。

今回のW杯の開催を受けて、FIFAは気候中立を配慮する開催を約束しました。

ただし、実際W杯開催だけでも排出されるCO2は最低でも360万トンなのです。パッとしないかもしれませんが、これはアフリカのマリやコンゴ共和国などが年間排出している総量すら超えてしまう量なのです。

そのほかにも建築時に排出されたCO2は206万トンやホテルなどの宿泊施設が足りないため、多くのファンが飛行機により行き来きしていることなども挙げられます。

これらの問題を解決するために、16.000の木を植えたそうですが、植物に水を与えるための雨水が足りず、海水をろ過し、与えなければなりません。

1000Lを生産するためには8,5リットルの石油が使われます。

これらの数字や事実を見ていきますと、決してカーボンニュートラルや気候中立が実現されているW杯とは言えません。

【原因その3】カタールの人権問題

そしてさすがにこれは日本でもちょっとだけ触れられていると願いたいのですが、人権問題ですね。

ドイツではカタールのW杯大使でのインタビューが中断されたのも話題になりました。

参考文献;

ドイツのレポーターがW杯大使に、人権問題の懸念について聞きました。カタールは誰でも歓迎だと言っているにも関わらず、不安な声が多くあるのは確かに事実です。

そして大使は確かに皆歓迎であると述べている一方、LGBTQや性的マイノリティを精神の病であると断言したのです。ここでインタビューは中断されます。

実際カタールでは同性愛者であることは法律で禁止されています。

また、カタールではイスラム教がメインの宗教になっています。ただし、他の宗教を信仰している方に対する偏見や差別も度々話題になります。

カタールの人権については以下のソースから取りました。
これも公共テレビの番組なのですが、ドイツの小学生向けのニュース番組でとってもわかりやすいのです。ドイツ語初心者の方にはおすすめです!

ドイツの現状

現在ドイツで暮らしているとW杯の話題も度々耳に入ります。ただし、以前のW杯の祝福モードとは一変してネガティブなニュースがほとんどです。

ドイツは昨日の日本戦で口を塞ぎましたよね。
それは人権問題を訴えかけようとしたドイツチームを黙らせたFIFAを批判するためのサインなのではとされています。

これについても様々な議論が繰り広げられており、公共局でさえちょっといじり気味なんです。。。ここには意訳として「へー。これがカタールにいるドイツのサインなのか。」とちょっと呆れ気味な言い草を残して、この写真を投稿しています。

ちなみに、ドイツの公共局は日本と違い、かなり権力の監視というジャーナリズムの根源を大切にしているのが特徴だと思います。日本ではあまり見ない光景かもしれませんが、かなりドイツの公共テレビではふざけて皮肉たっぷりに放送することもあるのです。

もし興味がある方、ドイツ語のユーモアにちょっと触れてみたいという方は
heute show または、extra 3 をぜひYouTubeで検索してみてください。

終わり

珍しくこんな真面目な記事を書きましたが、実はしっかりニュースも見ている真面目な学生なのです。

私は長年ドイツに住んでいることもあり、一般的な日本人の感覚とは少し違うかもしれません。それでも、自分が思うドイツ視点を決して忘れたくないし、国際ニュース、環境問題、政治の話には常にアンテナを貼っていきたいと思っています。

もし、日本で話題になっているニュースがどうドイツで配信されているか気になるという方はぜひコメントください☺️

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