サファイヤ
「私がはじめてねだったものは…」
人様に物をもらったりするのはみっともない、ましてやねだるなんてとんでもない。
そのような考えの両親の元育った主人公が経験した、サファイヤにまつわるストーリーが、題名となっている。
宝石にまつわるショートストーリーが集まった宝石箱のような本。
それぞれの話が読み切りなので、私は1日1つのストーリーを読むと決めて読んだ。
綺麗に終わる話もあれば、後味悪く終わる話もあり、わくわくしながらお風呂で読んだ。
(主人が子供を寝かしつけている間だけがゆっくりとお風呂に入れる時間…)
私が思い出したこと
この本を読みながら、かつて付き合ってもいなかった男性からもらった誕生石のネックレスを思い出した。
大学生が好きそうな、ハートの中心に誕生石があるものだ。
あの時、私は付き合っている男性がいた。
同じ大学の同級生で、自由奔放な人だった。
私が大学4年生の時、彼はアメリカへ留学に行った。
ここからはありきたりな話で、物理的な距離が遠くなったことから、精神的な距離も遠くなり、徐々に疎遠に…。
なりかけたころ、冒頭の男性から連絡がきた。
その時、私は当時の彼とこのまま付き合い続けるのはどうだろうと思っていたので、すんなりと会うことになった。
楽しい1日を過ごし、じゃあまたね~と行ったとき、その男性は小さい箱を出し、私にくれた。
その男性が私に抱いている感情を知っていながら、ここで受け取ったら期待させるとわかっていながら、私は受け取ってしまった。
家に帰り、私は当時付き合っていた彼に対して、とてつもない罪悪感を感じた。
と、同時に、ときめいてしまっていた。
もらったネックレスの箱には、おそらく男性の香水がふりかけられていた。
部屋中がその匂いになるくらい…
結局そのネックレスをくれた男性と結婚したわけだが、今思えば彼はかなり計算高い男だったと思う。
これまでに付き合った男性から、誕生石のアクセサリーをもらったことがないわけではない。
それなのに、私が思い出すのは香水のふりかけられたネックレス(むしろ箱)なのだ。
湊かなえ(2015)『サファイヤ』
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