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はじめてのnote|祖母について


祖母は30代の頃に子宮がんになり、そのときに子宮を全摘出した。


さらに20年後、今度は乳がんを患い片方の乳房を全摘出。

「この歳になって誰に見られるわけでもないし、乳房が片方なくなるくらい命に比べたらなんてことない。そう思ってたけど、鏡を見るとやっぱり悲しいもんだね。」

悲しそうにぽつりと呟いた祖母の姿を今でも鮮明に覚えている。


幸い他に転移はなく術後の経過も良好で、忙しくも楽しい毎日を過ごしていた。しかし、それもあまり長くは続かなかった。

乳がんが再発したのである。
今回も全摘出を選択した祖母は、両方の乳房を失うことになった。

ここから祖母とがんのイタチごっこが始まったのである。

しこりができると病院へ行って、大きさや良性悪性などの詳細を検査する。そして、話し合いのもとで摘出手術、抗がん剤、放射線と治療法を決めて処置をする。しばらくするとまたしこりができて検査して…のくりかえし。

祖母のからだはそこらじゅうにがん細胞が潜んでいるため、いくらしこりを取り除いたとしても、成長したそれが新たなしこりとなって次から次へと永遠に現れ続けるのだ。


現在は70代半ばという年齢も相まって大きな手術は体力的に難しいため、月2回抗がん剤治療をおこなっている。さらには肺に水が溜まるようになり、家から車までのほんの数mでもゼェゼェと息切れをするようになった。そして、リンパ浮腫も患っているため、片方の手は四六時中肩から指先が腫れあがったようにパンパンにむくんでおり、マッサージやサポーターが欠かせない。加えて、手のひらいっぱいの薬も毎日服用している。

そんな日々がつらくないわけがなく、抗がん剤治療をやめようかという話もよく耳にする。しかし、そうするとそれによって抑えられていたがんの進行が進み、その影響が大きくなることで、さらに強い苦しみが襲ってくるかもしれない。かといって抗がん剤治療をすれば治るというわけでもないし、毎回どんな副作用に苛まれるかもわからない。

今の治療をやめても続けてもがんが治るわけではないし、どちらを選択してもその先の未来が明るいものになるかどうかは誰にもわからない。

これでいいのか、どうすればいいのかと悩みながら、がんと共に今日を生きている。


そんな祖母が20年ほど前から続けているのが、新聞社のはがき随筆に作品を投稿すること。選ばれると新聞に作品が掲載されたり、月の優秀賞などに掲載されたりするという。

わたしは祖母の書く随筆がだいすきだ。
滅多に聞くことのない祖母の感情にふと考えさせられるものもあれば、クスッと笑ってしまうもの、微笑ましく思うものもある。

今までは「新聞に掲載された!」と喜ぶメッセージと共に祖母から送られてくる随筆を読んでいるだけだったが、いつしか祖母の随筆をいつでも読み返せるように残しておきたい。そう思うようになり、noteを始めることにした。


拙い文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

お時間があればぜひ祖母の随筆ものぞいてみてください。



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