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無能が称賛される時

クリエイターのMIKAです。別名クソマイノリティとしてもコラムを書いているのでお分かりだろうが、私は基本クソヤロウです。そこも踏まえてお読みいただきたい。

今思うと自分は勘違いヤロウだったと思う。いつから勘違いし始めたのか?多分、高校時代だ。やりたくないことは基本的にやらないので、嫌いな教科は一切勉強せずに基本的に一夜漬けしかしなかった。それでも教科書1、2回読んで平均点とれていた。ここで、私やるじゃん、頭いいかも?と思ってしまった。今思うとただ若くて記憶力がよかっただけだった。

社会人になってからも特別仕事が理解できないとかなく、言われたことをやってれば評価されたので仕事も普通にできるのかと思っていた。
だが、それは大きな間違えだと気付かされる日がやってくる。

社会人になって、普通に働いていたが物足りなさを感じ自分の力でどこまでできるか試すためにアメリカへ短期留学をした。留学を実現し、自信をつけたところで、調子こいて、外資の金融で働きたい!と思い契約社員ではあるがなんとか入社した。

そして、入社してすぐ私は他者を圧倒した。そう、圧倒するほど仕事が出来なかったのだ!!入社してまずチームリーダーから言われたことは、

「あなたは生産性が低いと思います。」

ほげ?生産性とは何ぞや?

そんな感じだった。こ、これは次元が違う。
そう察した私は、すぐさま無能の椅子に腰を掛けた。
「まず自分の分給を計算して、時間をロスすることがどれだけ会社の損失になるか考えて。そして、どの作業にどれだけ時間を掛けているか確認して」
とのリーダーからのご指示。(はい、無能なんですぐさまやります!!)
私は自信家だけど、プライドはほとんどない。なので、素直に指摘されたことを実行した。
少しずつ仕事にもなれ、新入社員の出身大学一覧をみながら同僚と話している時のことだった。一覧にはハーバードだのスタンフォードだのコロンビアだのが結構目立った。そして、誰かが「日本の大学で高学歴っていえるのは東大くらいだよね~」と言った。

私の出身大学は東大の間に一文字入りますけど???Fランですけど???はは~ん、やっちゃったな。人事やっちゃったな、おい!!私入社したんじゃなくて間違って紛れ込んじゃっただけじゃない??

そう、周りは想像を絶するハイスペックばかりで、私には異次元だった。そして、この時何故かこう思った。この人たちにとって私はきっと鼻くそみたいなもんだろうな~って。皆さんは自分を鼻くそに例えたことがあるだろうか?私はある。

そして、なんと!!その一覧に鼻くそがもう1人紛れ込んでいたのだ!!!!

まだ見ぬFラン鼻くそ仲間よ、共に頑張ろうぞ。

私は心の中で語り掛けずにはいれなかった。そして、無能の椅子にしっかり自分で固定ベルトを装着した。これでまがい曲がって有能の椅子に腰かけることはない。

だが、そんな時事件は起きた。

支店の研修テキストを私が準備したのだが、私は横着をして自分で一から作らず他の資料を流用したのだ。
鬼の血相でリーダーが戻ってきた。そして、
「私達はね、ミスを許されない人たちを相手に仕事をしてるの!こんなお粗末な仕事はみたことがない!!!」と激怒。
大の大人がこんこんと30分説教された…。皆さんは大人になってからガチ説教されたことあるだろうか…。
私、無能は生産性をあげることと横着の区別がついておりませんでした!
その日はさすがに家でポツンと体育座りで反省しておりました。。

そんなこんなで必死に食い付きながら無能なりに過ごしていたが、頭のいい人が多く舌を巻いた。
私の感覚では理解力のある人は1言えば10分かるという感じだが、0.3言えば10わかるレベルなのだ。だから1話そうとすると「わかった」と制止される。
また、仕事の時は相手の一歩二歩先を読んで話すが、全然読めない!!!何故なら、向こうはこちらの三歩も五歩も先を読んでるからだ!!!!
歯が立たないとはこの事。すげーーーー、と感動ものだった。まさに異世界の人と圧倒的無能。
でも、卑屈にならず知的好奇心を持って接すれば新しい世界が知れてワクワクする。こんなに頭のいい人は、どんな考え方をしてるんだろう?と色々話を聞いた。
意外とプライベートははっちゃけてたり(何故かAV女優の方を紹介された)、サイコパス(ロボットみたい)だったり面白いなぁと思った。

日本でもこれだけ頭のいい人がいるんだから世界中にはどんな頭のいい人がいるんだろう?と思うようになった。もっともっと、世界を広げて生きていたいとワクワクする。

自分より優秀な人とか才能ある人がいると卑屈になったり、妬んだり、変に崇めて距離を置いたりする人がいる。でも、プライド捨てて自分の無能っぷりを受け入れ、人として対等であることを忘れなければ、そこには、新しい世界が広がってくるかもしれない。

私はこの会社にはとても感謝をしている。何故なら私を戦力として扱ってくれたからだ。そして、私が勘違いヤロウから脱却し、身の程を知ることができたから。
障害を持ってるとよく誉められることがある。ただ、その言葉の多くは「凄いよね~(障がい者なのに)」「頭いいよね~(障がい者の割には)」のようにかっこ書きがあるので人からの評価には注意していた。
でも、自分に対する評価は甘々だったのだ。(完全に盲点だった。)

結局、リーマンショックで大企業の正社員になりたくなって会社は辞めてしまった。無能の限界だった。(その後、部門ごとなくなったのでいずれにせよ、クビになっていたが。)
ただ、最後に凄いサプライズがあった。皆さんもきっと驚くと思う。

退職を人事に告げた翌日。人事担当者が私に会いに来た。

「人事部長の指示で会社として正式にあなたを引き留めに来ました。あなたのようなIndependent(自立した)な人はなかなかいません。特に障害のある人は自分の権利ばかり主張する人が多い。でも、あなたはいい仕事をするための要求しかしなかった。うちの会社にはあなたのような人が必要です。で、いくら(給与に)上乗せしてほしいですか?」

圧倒的無能に対する、この上ない称賛だった。それを聞いた時は鳥肌がたった。そして、どストレートなお金の話に戸惑った。



このように人はどこで評価されるかはわからないものだなと実感した。私のスタンスというか生きる姿勢を評価されたようで本当に嬉しかった。

無能も時には称賛されることがあるのだ。思った通りに結果がでなくても、焦らず腐らず、頑張っていきまっしょい!

<最後に>
「無能」という言葉を最近よく人に使ってる人を動画等でお見かけするが、人に向けるのは違和感しかない。
ただ、私は自分を鼓舞する為によく使う。特にクリエイティブで思うように進まないと「才能」のせいにしたくなるからだ。そう言う時は、「おい、無能!思い上がるな、うだうだ言ってないで努力しろ!」と鼓舞する。一種の変態プレイだ。このプレイを密かに楽しんでいる方が他にもいたら凄く嬉しい。

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