ホワイト・ターラ|愛に溶けていく
思いを込めた熱い口づけ
絡み合う舌。
激しく吸われる私は
あなた絡めとられる舌になる。
首筋に這う舌の感触
激しく押し付けられるあなたの唇
触れられてもいない肌もろとも
悦楽を感じる肌になる。
私はあなたに
舐められ
吸われ
噛まれ
押し付けられ
翻弄され
突かれ
掻きまわされ
打ち付けられ
荒れ狂う嵐の中で
喜びに浸る海。
あまりの快感に
震える身体から
霊魂が抜け
虚空を飛ぶ
大鷲
大きな翼にまかせて空を切る
高く高く舞い上がり
私は虹を見つける
虹と戯れ
爆音が弾ける
巨大な滝に飛び込む
黄金色に輝く
砂漠の砂を巻き上げ
そびえたつ雪山の
上昇気流に乗り遊ぶ
世界は色に溢れ
同じものは何ひとつなく
そのあまりの美しさに
涙が流れ
全てが静まった時
そろそろ休もうかと
あなたが言う。
私はイヤだと
あなたにしがみ付き
極楽浄土。
絢爛な色と妙なる香り
目の前にユラユラと舞う姿は
ホワイトターラ
あの喜びの日に
一緒に踊ったのはあなたなの?と聞く。
ホワイトターラは
そうだ、と答える。
あの悲しみの日に
慰めたのはあなたなの?と聞く。
すると
違う、と答える。
誰なのか知っているの?と聞く。
ホワイトターラは
私ではないからわからない、と答える。
私はホワイトターラと共に
極楽の美しさの中に座る。
やがてすべては消え
静寂の空間があった。
恐ろしいほど何もない
満たされ切った至福。。。
長い長い三昧。。。
やがて空っぽのベッドルーム。
力を抜いて横たわる。
あなたはいない。
(Photo: ©MikaRin)
(イラスト:白ターラ菩薩・チベット密教図版)
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