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ゆたかさって何だろう

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#小説

いつか自分の小説を映像にしたい #8

いつか自分の小説を映像にしたい #8

それが私の夢だ。
そんな夢かなうはずがない、と何度も自分で打ち消してみた。
夢破れて泣くのは自分だから。
でも、そうやって謙虚に縮こまっていてもいいことはない。
バカな夢だと笑うかもしれないけど(母とか……(苦笑))、
私はまだあきらめていない。
夢は、いつも寄り添って私のそばにいる。

はじめて映像化の話があったのは20年前のこと。
私の出版したエッセー「タイ、水牛のいる風景」を読んだ若い映画プ

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老後資金2000万円のこと #7

老後資金2000万円のこと #7

昨年、人生90年時代の老後資金は2000万円用意しておくことが望ましいという議論があり、国会で大騒ぎになった。私が「老後マネー戦略家族!」を出版したのは、その2年前の2017年3月ことである。ようやく時代が私に追い付いてきたかな、と思った。

まずは、小説の紹介文から。

「定年が近づく父、専業主婦の母、仕事を辞めた息子に学費のかかる娘……。老後や将来への不安から、山田家は顔を合わせればケンカばか

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通勤が辛くて…… #6

通勤が辛くて…… #6

コロナ禍で在宅勤務になった人たちの中に、もう通勤したくなくなった、と言う人がいる。ゴールデンウイーク明けの鬱みたいな感じだろう。満員電車が地獄に思えるのもよくわかる。

私は何度か転職をしているが、主な原因は通勤時間だった。
一時間近く吊革にぶら下がって会社に移動するのが苦痛で、30分で行ける会社に転職し、さらには正社員を辞めてテレワークの契約社員になった。もう15年近く前の話だ。

国際開発コン

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利益を出すということ #2

利益を出すということ #2

発展途上国で貧困問題のODAプロジェクトをやっていると、基本的な考え方で衝突することがたびたびあった。貧困削減分野で働く人の多くが、利益を搾取だと思っていて、利益を出している企業を巻き込もうとする開発コンサルタントを奇異の目で見るのだ。私はそのたびに、持続性とは何かについて熱弁をふるったが、なかなか理解されなかった。ODA最盛期の1990年代から2000年ごろのことである。

ODA業界には、ハー

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ゆたかさって何だろう #1

ゆたかさって何だろう #1

ずっとずっと、このことを考えながら生きてきた。

経済について初めて意識したのは「人食い波」と記憶している1973年のオイルショック。
食卓からおかずか消えて、漬物だけになった。
食材の変化は子供だった私の脳裏に刻まれた。
母は呑気で、トイレットペーパーの買いだめに走ることもなく、淡々と食事を用意していたが、父は得意先が倒産したことと、頭を下げてカセットテープレコーダーを支払いの代わりに置いていっ

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