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患者SNSミライクに込めた想い。テクノロジーを活用し医療貢献を。

病気で悩む人たちが支え合う、患者SNS「ミライク」

これまでにない、同じ境遇の人たちとつながり、実際の経験や知りたい情報を共有できるSNSです。主役は患者さん。

そんな「ミライク」は、どんな人がサービス開発を進めてきたのでしょうか。ミライクで実現したい想いは?描く未来とは?

今回は、ミライクの事業部長である、杉本さんのインタビューをお届けします!

参加者:
杉本 徹  株式会社Buzzreach ミライク事業部 部長
コールセンター事業を中心とした企業を経験後、マーケティングリサーチの会社に転職。SNSを通じたリサーチを行う中で、患者さんのリアルな声を知り、もっと患者さんの考えを取り入れるビジネスを広げたいとイメージ。
その後、治験参加希望者を集めるデータベースの運営会社を経てBuzzreachへ。

藤澤 ミライク事業部 コンシューマー・マーケティング 看護師/保健師
三上  臨床試験マッチングサイト SearchMyTrial ・ミライクnote担当 薬剤師

ーまず、どんなビジョンを持ってミライクの事業をスタートしたのか教えてください。

杉本 ミライクのMVV※(1)を作るところから始めました。
ミッションは、「コミュニティの力で一人でも多くの患者さんに新しい選択肢を」です。

※(1)ミッション・ビジョン・バリューの略。事業のなすべきこと、あるべき姿、やるべきこと。

ミライク事業部 MVV

杉本 WHO憲章でも、健康を「肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」と定義づけていますが、患者さんがミライクのコミュニティにいることで、社会的にも精神的にも経済的にも健康な状態でいられ、安心できる空間にしたい。

ビジネスではありますが、利益を生むことだけを目的にはしてません。
ユーザーさんにとって安心安全な空間を作って、そこのコミュニケーションの中からその人にあった最良の治療に繋がると良いなと。ミライクの中で不安を払拭して、一歩踏み出してもらいたい

もちろん企業なので収益に繋げることも大切ですが、「三方よし」のビジネスモデルを作ることがもっと大事だと思っています。

三上 なるほど、事業ではあるけど、患者さんの健康維持に役立つビジネスをイメージされているということですね。ユーザーの利益をしっかり追求する、「三方よし」をビジネスモデルにしようと思ったキッカケって何でしょう。

杉本 コールセンター事業やマーケティングを通じてCS※(2)やES(3)、つまり満足度が人々の心を動かすって気付いたんですね。例えばブランド品を買うとかサービス使うのだって、嗜好があったりだとか、愛着があったりするわけで。
つまり「三方よし」でユーザーが納得していないと、成功に繋がらない。
薬を飲み続けることも、そこに納得・信頼がなければ人間は動かないと思うんです。
だから製薬メーカーや医療者があまりアクセスできていない情報や声を吸い上げることを重視したい。
ビジネスに上手く転換して価値化するのは、まあ二の次でもいいかなと思っています。

※(2)カスタマー サティスファクションの略。顧客満足度
※(3)エンプロイーサティスファクションの略。従業員満足度

藤澤 ちなみに、CSやESが人々の心を動かすって思ったキッカケってあるんですか?

杉本 元々、コールセンターのビジネスにそういう定説(ジョングッドマンの法則)があって。クレームを言って、かつ問題解決した人の再購入率は約80%、一方クレームを言わなかった人の再購入率で約10%しかない。
コミュニケーションで満足、納得するっていうことがブランドの再利用につながったりとか、サービスの再購入に繋がるんですね。
CSやESなど満足度が人の心を動かして良い方向に繋がると、自然と頭に入っていた感じです。

三上 医療でも同じですね。医師から飲むように言われたから薬を飲んでる患者さんと、自分で納得して薬を飲んでいる患者さんでは服薬率が違ってきますから。

杉本 そうなんですよ。 飲んですぐ効かない薬って、あるわけじゃないですか。

三上 あります、続けてもらうのは難しいです…

杉本 続けにくい薬を飲んでもらうためにも、患者さんの気持ちを理解することって大事ですよね。
医師との信頼関係がないと、正しいエビデンス治療を続けにくい領域がある。
そういうところを、ミライクコミュニティがサポートできればいいかなと。

藤澤 Buzzreachに入る前って、大企業に在籍されてましたよね。そこから、ミライク事業のためにスタートアップに入るって結構勇気が必要だったと思うんですけど…

ーBuzzreachを選んだ理由って何だったんですか?

杉本 1番大きな理由は、チャレンジしたいと思ったから。リスクはあったけど、チャレンジしていったほうが自分の幅も広がるし、そのような同じ価値観でいる人たちの中で働くことは良い経験だと思っています。
あと、医療に関わる事業から離れたくなかったというのもありますね。

藤澤 医療から離れたくなかったというのは、なぜでしょう?

杉本 マーケティングリサーチって、企業のマーケティングを助けるビジネス。商品が売れる仕組みを作る、手助けするということ。医療の分野は、そこがまだ不十分だと思いました。もっとテクノロジーを活用して、エビデンス治療に繋げたり、患者さんの心や満足度を向上させられるんじゃないかなって。
僕らは医者ではないので病気を治すことはできないけど、ベンチャー企業だからこそできることはあると思いましたね。

藤澤 そこまで杉本さんを動かす、何かきっかけがあったんですか?

杉本 治験関連の事業に携わる中で、希少がんの患者さんと会う機会がありました。希少がんの患者さんは、すごく勉強していて、コミュニケーション能力の高い人ばかりだったんですよ。オンコロジー(腫瘍学)領域で働いている人も同じ。
患者さんも働いている人も、人間的に素晴らしい人が多かった。
そんな人たちの想いを、広げる手助けがしたいなと思ったんですね。

リアルな患者さんの声や現場の声を聞いて、自分にもできることがあるんじゃないかなって。
かつ、治験に携わるということは、医薬品の開発だとか、研究だとかの後押しにつながる。それって、今の日本の中でもすごく、大きな使命がある。

藤澤 治験に携わっている人も、信念がある人が多いですよね。

杉本 そう。治験に関わる人は、参加される患者さんも含めて、日本の薬開発に貢献してくれている人です。それなのに、日本ではまだ「治験って人体実験でしょう」と言われる…。やっぱりそういう人たちが日の目を見ない社会って嫌だなって。
ミライクというプラットフォームを通じて、研究や治験に参加するっていうことはすごく意義のあることなんだぜっていう世界にしたいです。

ミライクを通じて製薬会社に患者さんのリアルな声を届けること※(4)も、意義のあることだと思ってもらえるように。

※(4)ミライクに投稿された患者さんやご家族・介護者の声は、個人情報保護法に基づき匿名加工化し、製薬企業や医療機関に届け、今後の医療発展のため研究開発や臨床試験などに活用されます。

藤澤 マーケティングリサーチや治験に携わる中で、医療や患者さんに届けたいサービスのビジョンが生まれたんですね。

ーそんな想いの中で生まれたミライク。どんな人に届いて欲しいと考えていますか?

杉本 治験事業に関わる中で、正しい医療を受けていたら延命できた人や、完治していたかもしれない人の話をたくさん聞いてきました。
現在も、Twitter上で治療方針に悩んでいる人を見ます。情報を知らないことで、最善の治療が受けられていない人がいる。
でも、情報を見つけるのって難しい。医師の中には情熱を持って患者さんに伝えてくれる人はいるけど、届く範囲が限られている。

だから、ミライクを通じて正しい情報を見つけて、より良い治療を受けられる人がいたり、結果的に医療費を抑えられるようになったら良いなと思います。

三上 正しい情報を知りたいだけではなく「同じ病気の人に話を聞いてみたい」という需要もあるかなと。選択肢がある治療とか、経験者の話を聞いてみたいですよね。

杉本 正しい治療法はわかってるけど、怖いとか。
経験者に話を聞くことで、不安は軽減しますね。ミライクを活用して、医師からの情報だけでは決められない不安を、払拭してくれたらと思っています。

三上 患者さんが正しい情報を安心して選び、納得して治療できるのが理想ですね。

杉本 ミライクβ版のテストに参加してくれた方で、痛みを我慢してたけど、ミライクの中でのコミュニケーションを通じ、医師にしっかり伝えれば薬が出るんだと分かり、行動変容して病院に行かれた方がいました。

藤澤 確かにいらっしゃいましたね。 家族や職場では心配をかけるから言いづらかったけれど、匿名性のミライクだから言えたのかなっていうのはありますよね。

杉本 治験参加と同じように、ミライクに参加することで医療的なメリットも感じてもらえればと思いますね。

例えば治験に参加すると、いつもよりしっかり医師とお話ができるし、検査も細かく見てもらえる。研究に参加すれば、患者さんも医療知識がつきますね。

治験に関わるBuzzreachがミライクを運営するからこそ、製薬会社に患者さんやご家族のリアルな声を届けられます。それは患者さんの声を中心とした医薬品開発の支援に繋がる。

結果として、患者さんにより良い医療が届けられることが理想です。

藤澤 実際にβ版のテストに参加された患者さんは、ミライクを通して患者の声を製薬企業に届けられることを、大きなメリットとして捉えてくださってる方もいらっしゃいましたね。

杉本 特に希少の領域は、1人の声の重要性が高いですから。それなのに、医療研究者が生の患者さんの声を聞く機会は全然ない。危険度や需要度が高まらないと、開発が始まらないのが現状です。

なのでコミュニティが存在することは、すごく意味があるんですよ。
患者さんの声が多く集まる、そして製薬会社に伝わるってことだから。

三上 ミライクで上がってきた患者さんの声は、製薬会社にどの程度届くんでしょう?

杉本 実際に製薬会社から、患者さんの声を聞くプロジェクトも立ち上がっています。私としては将来的に、患者さんの声を研究としてまとめたいと考えています。そうすれば論文という形でも、製薬会社に届きますね。

ー最後にミライクの登録ユーザーさんや、note読者さんに向けて一言お願いします。

杉本 ミライクで1番大切なのは、患者さんの困りごとやニーズを解決できることだと思っています。
ユーザーさんが考えていることや、こうして欲しいと思うことを、どんどん取り入れて行きたいです。

ミライクの登録ユーザーである患者さんやご家族には「ここでは自分のことを安心して話せる」「知りたいことを教えてもらえる」など、安心して利用できる場所であって欲しい。

そのためにはコミュニティの活性化が必要ですね。なので、ミライクに興味を持っていただいた方には、ぜひ積極的に参加して欲しいと思っています。
最初は緊張すると思いますけどね…。
参加してくださった方には、しっかりフィードバックできる仕組み作りを考えています。

もちろん安心して投稿できるための管理・監視体制も整える予定ですので、楽しみに待っていて欲しいです!

おわりに

患者SNSミライクは、サービスの正式開始に先立ち、事前登録を開始しています。

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