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ある日の あの日〈5〉

今日、久しぶりに、
コーヒーを淹れました。

昨年の秋がやってくるまでの17年間、
ほぼ毎日、私は
コーヒーを淹れていたのだけれど、
昨年の秋から、コーヒーは、
誰かに淹れてもらうものになり、
私は〈コーヒーを淹れる〉ということを、
〈日々やること〉から、
すっかり外していました。

今日、久しぶりに、
コーヒーを淹れました。
豆を計って、
豆を挽いて、
お湯を入れたポットを持って、
さぁ、お湯を注ぎはじめると…

むくり、と
体の奥から誰かが、
起き上がりました。

…ほう。なるほど。

体の奥の誰かが、
〈おいしいコーヒーを淹れよう〉と
動きました。
ひとつひとつの動作が、
真剣に行われてゆきます。

…ほう。なるほど。
コーヒーを淹れるって、
おもしろいんだった。

そして、体の奥の誰かが、
〈あなたのために淹れよう〉と
動きました。

…ほう。なるほど。
今淹れているのは、
私が飲むためのコーヒー
なのだけれど。

…ほう。なるほど。
私はなんだか納得して、
よかった、よかったと、
思っていました。

ある夏の日から、
ある秋の日までの、
あの17年間は、
今日、
一杯のコーヒーになり、
今日のコーヒーは、
まるで他の人が淹れてくれたような、
不思議なおいしいコーヒーでした。

毎日淹れるなら、
またネルで淹れようかな…
あなたのための、
自分のための、
コーヒーを、
また飲めるように。

〈今朝 咲きました〉©️Mifu Sato

今朝
咲きました

このひとえだを
あなたに

すこしだけれど
あなたに

ちいさいけれど
あなたに と

思ったのです

思っていたのです

きっと

つぼみがついたときには

………………………………

こちらの絵の原画を、
みいふう書翰(オンラインショップ)にて、
販売しております。
詩と共に、お届けいたします。
もしも迎えていただけるようでしたら…
みいふう書翰をのぞいてみてください。
もちろん一点のみ、です。
………………………………
追記:原画、無事包まれて、
出発いたしました。
お迎えいただき本当に
ありがとうございました。

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