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無意識の発言が相手を傷つけるー組織におけるダイバーシティ視点の重要性

先日、UKの女性社員が結婚したことを受けて、アジア人の女性の同僚が「結婚おめでとう」の後に「でも結婚したら旦那やら子供やらに時間が取られて自由がなくなるね」「で、赤ちゃんの予定は?」と矢継ぎ早に発言していて、私はとても気分が悪くなりました。

これって、昭和のおじさん上司が数十年前に発言するようなアンコンシャス・バイアス的発言。もしくは、お盆やお正月に久々に会うおばあちゃんとかに「子供はまだ?」って言われるような感じだなと。個人的には、子供を好んで作らなかったわけではなく、長い間不妊治療をしても出来なかった過去があるので、聞いているだけでも気分が悪かったのです。

そのUKの女性社員は年齢は聞いたことがないけれど、世に言う晩婚という感じなので、この発言を本心ではどう受け止めたのかなと思いました。「コロナのご時世だし、あまり急いで子供を作ろうとは考えていない。授かりものだから」と答えていましたが。

(ここから海外ドラマ「And Just Like That… 」のネタバレを含みますのでご注意!)
ちょうど、「セックス・アンド・ザ・シティ」の続編「And Just Like That…」のエピソードの中で主人公のキャリーが旦那のビッグを失くした後、彼を住んでいた家を売ろうとしていた時のこと。

彼女のベッドサイドに飾られていたビッグを2人が映った写真のフレームを不動産業者の女性が引越し作業の際に割ってしまったと告白。ビッグが大切にしていたものだったので、キャリーは激怒。その際「ごめんなさい、そのフォトフレームのガラスは元通りに直すから」と。それに対し、「そういうことじゃなく、このフレームはビッグが毎日のように手に持っていたものだから、元通りにできるわけない」とさらにキャリーは激昂。不動産屋の女性は「本当にごめんなさい」と言った後で、「では私も言わせてもらっていいかしら」と。

数日前にキャリーと2人でバーで世間話をしていた時のこと。不動産屋の彼女はバリバリのキャリアウーマンでシングル。彼女はパートナーを探すためにマッチングアプリを使っているという話をするのですが、その時にキャリーが「いまだに現役ってすごいわ」という発言。このことが彼女にとって、引っかかっていたようで、「あの発言はムカついた。いい年してまだパートナーを探しているのか?って言われているようだわ」と自分が好んでシングルだったわけじゃないと告げる。続けて「あなたは自分を愛してくれるパートナーに出会えただけでも幸せじゃないの?」と。

自分のみの視点で発言したことが相手を傷つけているということにお互いが気付いた瞬間が描かれていました。今回の「And Just Like That… 」の一つの大きなテーマにダイバーシティとインクルージョンがあり、これはジェンダーだけでないアンコンシャス・バイアスを描いた良い一例だと思いました。



これを会社などの組織の話で考えてみようと思います。
Googleはフラットな組織と文化で知られていますが、「How Google Works」の中で“ダイバーシティの重要性”について下記のように書かれていますので、最後に引用させていただきます。

視点の多様性、すなわちダイバーシティは会社が近視眼的になるのを防ぐ、きわめて効果的な政策だ。  
人種、性的志向、身体的障害などさまざまな面で多様な人材を採用することは、道徳的に正しい行為であるのは間違いない。ただそれ以上に、企業戦略的に見た場合のほうがはるかに大きな意義がある。バックグラウンドの異なる人々は世界を違う目で見る。女性と男性、白人と黒人、ユダヤ教徒とイスラム教徒、カトリックとプロテスタント、退役軍人と民間人、同性愛者と非同性愛者、ラテン系と欧州系、クリンゴン人とロミュラン人、アジア人とアフリカ人、車いすを使う人と使わない人――こうした視点の違いは、まったく新しい発想を生む。多様な人材が同じ職場で働くことで生まれる幅広い視点には、はかり知れない価値がある。  すばらしい才能の持ち主の外見や行動は、あなたとは違っていることも多い。だから誰かを面接するときには、自分の先入観を自覚し、目の前の相手がすばらしい成功をつかむための情熱と知性と人格を持っているかだけに意識を集中しよう。
(How Google Works)

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