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今週のサステナビリティ NEWS!

この時期になると、NYFWなどファッション関連や、Climate Weekなどの気候変動、サステナビリティ関連のイベントが近づいてきて、わくわくしてきます。

今週のNewsの焦点①は、世の中の流れや購買行動に循環型モデルがますます入り込んできた事を示すニュースをふたつ。

焦点②は、循環型モデルを単純に組み込むだけではなく、そこに人が集まる仕組みを作らねば、サービスが同じでも勝者敗者がハッキリと別れてしまうよ、という事を示すニュースをふたつ取り上げた。



eBayが古着のショーを開催

NYやロンドンのファッションウィークに合わせて、eBayは"Endless Runway (エンドレスランウェイ)”と名付けたリアルなショーを、CFDA(アメリカ・ファッション・デザイナー協議会)や、British Fashion Council (英国ファッション協議会)とパートナーシップを組んで実施される。

NYのショーは9月5日、ロンドンでは12日に行われる予定で、全てのルックはeBay Liveで直接購入できる仕組みとなる。

NYでのランウェイ・ルックと、スペシャル・ドロップのアイテムのキュレーションは、Tik Tokのスター兼スタイリストのWisdon Kayeが担当している。

このショーの目的は、もちろんeBayで購入可能な古着のデザイナーズアイテムを幅広く紹介するためではあるだろうが、同社のグローバル・ファッションの責任者は、「(人々が衣類の購入を選ぶ際に)このような循環型のファッションを、どう優先的に選択肢として取り入れてもらえるか?」という実験でもあると伝えている。

Tik Tokで#Underconsumption(過少消費)がトレンドに

Tik Tokでは、#underconsumptioncore (ほとんど消費しないこと)が数千万回の再生回数を数え、ここ数か月のホットなハッシュタグになっている。

多くのインフルエンサーたちは、企業に依頼され商品やサービスの割引コードを宣伝したり、憧れを抱かせるようなライフスタイルを見せる事に注力してきたはずだが、それとは真逆のトレンドだ。

古いタオルを掃除用の雑巾に使ったり、古着や修理の方法、再利用アイテムや、譲り受けた家具いっぱいのルームツアーなど、新しいものを購入していない事をアピールするコンテンツを投稿している。

このハッシュタグが流行する背景としては、主に3つのポイントがあると考えられる。

  • 経済:インフレなどで生活費などの危機を多くの人が感じており、ユーザーは節約方法を探している

  • 環境:地球の環境を守るため、多くの人が、それぞれ個人で出来る事を探していたり、クリエーター自身が実践している事をアピールしたい

  • 反発:Tik Tokが、プラットフォームとして、ショッピングを推進する動画や、広告配信へ注力していることに対するクリエーター達の反発

いづれにせよ、「消費しない事」が、流行りであるというのは新たな現象だ。また、Z世代らしいのは、消費しない=質素ではなく、持っているものや、世の中に既に存在するもの(友人の服や、中古の家具など)をいかに取り入れながら生活を楽しむことが出来るか?!という挑戦をしている事である。

H&MのマーケットプレイスAFOUNDが閉鎖

Afoundは、2018年に立ち上げられたオンライン&リアルのマーケットプレイスで、H&MやCOSなど自社グループの全ブランドと、その他の有名ファッションライフスタイル・ブランドの商品を幅広く取りそろえたマーケットプレイスである。

H&Mグループは様々な循環型ビジネスモデルを今までも試してきており、Afoundのコンセプトは私自身も好きだったので、今秋末に閉鎖することは非常に残念だが、需要が十分なかったという。

世の中を見ると、リセールなどのマーケットプレイスの売上は非常に伸びている。ただ、商品を販売しているブランドの動きを見てみると、大きく2つに分かれている。

(A)一つは、自社のオンラインもしくはオフラインにて、余剰在庫や顧客から回収した古着、アップサイクルした商品などを、販売するケース。

(B)他方は、The Real Realや、ThreadUpなどとパートナーシップを組み、自社の在庫や、消費者の使用後にそちらに持ち込むように促し、マーケットプレイスで販売してもらうケース。

現時点で、どちらかが必ずしも優位に立っていると言えるデータが出そろっていない。だが、H&Mによると、「ブランドが顧客との関係を更に強化するために、独自の販売チャネルを持つことを選択するケースが増えている。」と、Afoundの閉鎖理由を語っている。

両方のケースが同時に増加しているが、(B)のケースの場合には、ブランドがパートナーシップを組みたいのは、もちろんトラフィックが多いマーケットプレイスである。

私の見解としては、H&Mグループのブランドを中心とするAfoundが、マーケットプレイスとして、単純に魅力的ではなかったのでは?

レンタルサブスクNuulyが急成長中


URBN (アンソロポロジー、フリーピープルなどの世界的なブランドポートフォリオを運営する大手企業)のブランドの一つで、お洋服のサブスクリプションを展開するNuulyの第二四半期の売上は$90M(約130億)で、前年同期比と比較すると、57%増加した。

Nuuly website

主に平均アクティブ会員数が前年同期比で50%増加したことが起因している。
URBN Reports Record Q2 Sales | Urban Outfitters, Inc. – IR Site

Nuulyは、URBNが$100M (約146億円)投資し、2019年にサービス開始してから5年目であるが、昨年10月には既に190万人のサブスクリプション数を達成。既にその時点で、業界再王手であったRent the Runwayの平均アクティブ会員141万人を超している。そのうち、約半数はRent the runwayからの乗り換えだとのこと。

Rent the runwayからの乗り換え理由は様々あると言われているが、下記がそのうちの一部。

サービス自体の基本的な顧客満足度を左右する、"気に入った商品を借りられるか"どうか。

Rent the runwayでは、数ある選択肢の中から時間をかけて選んだアイテムや、新着などでおすすめとして表示されるアイテムを借りたくても、すぐに他の誰かに借りられてしまう事。

その点、Nuulyでは、商品の幅(種類)だけではなく、深さ(在庫数)もRent the Runwayの約2倍用意しているため、好きなアイテムを高い頻度でレンタルできる。

顧客の声を反映した品ぞろえがされているか?も、ポイントである。

最近ではRent the runwayでもカジュアルな服をレンタル出来るようになっているが、生活者の頭の中では、Rent the runway=イベントなどハレの日の服を借りる場所という繋がりを払しょくするのは難しい。

Nuulyはその点、よりカジュアルで日常の生活を楽しくするような品揃えになっている。また、顧客の声に耳を傾け、リクエストされたブランドを導入することもあるという。


この2社の勝敗からわかるように、レンタル業態自体が支持を得ていないのではなく、企業のやり方次第なのだ。

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