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【ボイトレコラム】ボーカリストの声枯れは上咽頭と副鼻腔からやってくる

上咽頭炎になると、『Bスポット療法』という世にも痛い治療が週一で待っている。
しかしこの上咽頭というのは、ボーカリストにとってとても大切なところであり、ここが炎症を起こすと声帯結節やポリープなど発症してしまう可能性がある。

ほとんどの人は声枯れや喉の不調を、喉が痛いかどうかで判断する。
あと、声を出した時に枯れてるか枯れていないかでも。
それ以外で感じるのはなかなか難しいかもしれないけど、実はもっとも先に悪くなりやすいのは喉ではなく鼻の方だったりする。
そして、鼻のどこが悪くなると声枯れしやすいかというと、その場所がまさに上咽頭や副鼻腔のあたり。

副鼻腔

https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/sinusitis/ 参照)

上咽頭


https://www.takamatsuhari.com/blog/1690 参照)

副鼻腔炎や上咽頭炎参照元のサイトに詳しく書いてあるので見てみてください。まぁ、とにかくこの2つのポイントが炎症を起こすと歌いづらくなるということですね(ざっくり)

副鼻腔は左右合わせて4つもあり、鼻と副鼻腔の空洞部分は声に響きを加えているため、歌にも重要な場所。また、ほこりやウィルスなどを体の外に出してくれたり、鼻粘膜の乾燥を防いでくれたりもする。

上咽頭炎は自律神経機能と関係するみたいで、それにより引き起こされる不具合に、頭痛、肩こり、めまいや耳鳴りなどがあり、心臓、胃腸、体温調整なども狂ってしまう。それから、喉頭の粘液分泌低下により、声帯の潤いが足りず乾燥してしまい、声帯閉鎖がうまくいかなくなったり、声帯は乾燥すると硬くなってしまうので発声に力みを生じさせてしまう。
力み歌唱を繰り返すことで、声帯結節やポリープなどの声帯の病気に繋がってしまう可能性もあるわけだ。

ボイストレーナー歴15年目にして、ここ数年は声を聞いたら結節、あるいは副鼻腔炎や上咽頭炎があるかないかわかるようになった。(ここ数年100発100中)
全く無自覚の生徒さんに伝えるとびっくりされることも多いけど、病院で検査してもらうと100%なにかしらあったりする。
発見はショックかもしれないけど、レコーディングやライブツアーが控えている生徒さんなんかは、早期発見し治療したほうが絶対に良いわけだから、励ましながらゆっくりと正しい発声に治していくやり方をとっている。
また、上咽頭炎やポリープなどの影響で自律神経が乱れ、鬱っぽくなる人もいるからメンタルマネジメントも合わせて行っておりますです。

で、ここまで書いておいて、私自身のことを打ち明けると、
今まで一度も自分の上咽頭とか声帯とかを見たことがありませんでした(おい!)
生徒たちには「病院行け!」と言うのに自分は行ったことがない、という44年間。
でもね、きっと自分の副鼻腔と上咽頭にはなにか潜んでいるんだろうなぁと予感してた。昔、歌の師匠にも、
「未歩の鼻のところ、いっつもなにか詰まってる感じするのよ。一度病院行ってきなさいよ」
と言われたことがある。響きづらい声でもあったし。
それでも師匠の言うことを気かずヘラヘラし続けていた。
そして、その十数年後、同じセリフを自分の生徒さん達に伝え、何人も検査してもらっているわけだから、自分を省みない感じがすごいなぁと我ながら呆れてしまう。

Bスポット治療を体験した生徒さん達から、口々に治療の痛さを聞かされ、
「でもここ治ったら声も出やすくなるしさ!頑張ろうね!」
と励ましつつ、自分も行かなきゃなぁと思う日々が10年くらいは続いていた(笑)

そして今回、嗅覚障害になりいろいろ調べる中で、副鼻腔炎や上咽頭炎などが起きている場合に嗅覚障害になりやすいことや、その治療をした方が治りが早い、という情報を見つけ、お医者さんにも
「多分副鼻腔炎や上咽頭炎起きてるから、そっちの治療もした方がいいかもね」
と言われていたので、今日ドキドキで検査をしに行ったわけです(それを伝えたかった。前振り長)

初めてのカメラ…。
「おお!これが副鼻腔か!これが上咽頭か!そしてこれが声帯か!」
といちいち感動して声をあげる私を、先生は優しく笑ってくれた。

完全にBスポット治療を覚悟していたのだけど、結果は、
「そこまで炎症は起きてないから薬で様子を見ましょう」
というものだった。
あれ?と、逆に拍子抜け(笑)
と、同時に安心感の波がだだだ〜っと。


昨日も書いたけれど、体を壊すことによっての気づきって本当に大きいなぁと、こういうところからも思う。
嗅覚障害になったことで鼻のことをいろいろ勉強できたから、今後のレッスンに生かせそうだなぁとか。

あ、そうだ。
今までずっと鼻うがいを推奨していて、生徒さんに『ハナノア』を勧めていたけど、今回お医者さんに
「鼻うがいはたくさんしてください」
と言われ、
「ハナノアめっちゃやってます」
と伝えたら、
「ハナノアもいいけど、あれすぐ終わっちゃうでしょ?もっとパシャパシャ洗浄した方がいいのでこれいいですよ」
と、ニールメッドのサイナス・リンスの容器のサンプルをもらった。


https://www.neilmed.jp/ 参照)

50mlのハナノアシャワーの容器に比べ、サイナス・リンスの容器は240ml。これを一回で使い切るわけだからだいぶ洗浄になる。実際使ってるけどめっちゃいい!
使った後は、ハナノアよりも鼻の通り感がわかる。
且つ、水道水に専用のパウダーを入れて使うため、持ち運びもしやすいし便利(ハナノアは洗浄水自体だから重いし持ち運ぶのは不便だった)

私の副鼻腔と上咽頭がそこまで炎症起こしていなかったのは(ちなみに声帯は綺麗でした)、この鼻うがいのおかげもある気がしてならないから、お勧めします。
特にボーカリストの皆さんには、鼻うがいを繰り返しお勧め。
鼻腔と咽頭腔をきれいにしておくことが炎症防止につながり、ひいては良い声で歌うことにもつながるわけだよ。
また、今日カメラを入れて実感したけど、
「鼻咽頭は粘膜と血管の集まりだわ!」
と。
粘膜系統を清潔に保つことや、血流を良くすることって本当に大切なんだなぁ。ビタミン剤や漢方もとても良いと思う。
ちなみに今回、当帰芍薬散に加えて、耳鳴り改善のために抑肝散加陳皮半夏もプラスした。こちらは血の巡りにも良いらしい。
漢方大好き人間なので、前回よりも量を増やしてもらった。
二週間後の病院でまたカメラを入れてもらうのが楽しみになってる(笑)

あとですね、私は、難聴のこともそうだけど、自分がこうして体を悪くすることで、不具合の原因や回復に必要なこと、体のメカニズム、そして発声のメカニズムを学んでいる。
そりゃぁなにも不調がなく、健康体であることが一番ではあるけれど、そんな人はこの歳になったらほとんどいないし(笑)、いろんなハンデがあるからこそ、歌いづらさを経験するボーカリスト達に真に寄り添えると思っている。だから、自分の体の不調を公表することをネガティブに捉えてない。

読みづらくまとまりのない文章だが、もしこの世界のどこかで私と同じような症状に悩んでいたり、どうして良いかわからないと途方に暮れている人がいるならば、その人達のなにかしらのきっかけになったらいいなとも思う。


最後にもう一回。
ボーカリストの皆さん、声が出づらいなぁと思ったら鼻を見てもらいに一度病院に行くのオススメです。
カメラを入れるのは全然痛くないから大丈夫だよ〜!


ちなみに、今日病院から帰ってきたら今までで一番嗅覚の調子が良い。
気持ちもだいぶ明るくなったのでnoteを書いてみた。



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