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南山城の仏像と、トーハクの秘密の隠れ家

開幕を待ちかねていました!

東京国立博物館で開催中の浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念特別展「京都・南山城の仏像」(2023年11月12日まで)

京都南部、木津川流域は、平城京と平安京、それぞれの影響を受けながら、独自の仏教美術が花ひらいたエリアなのです。

金色に輝く浄瑠璃寺の阿弥陀如来さま(国宝)をはじめ、
優美なお顔立ちの海住山寺、十一面観音さま(重要文化財)、
夥しい数の手を持つ寿宝寺の千手観音さま(重要文化財)などなど、
貴重な仏像が目白押し!

東京展に先立ち、奈良博で開かれた南山城展に比べるとかなりコンパクトですが、エッセンスがぎゅっと詰まった濃密な展示です。
音声ガイドのナビゲーターは南山城出身の横山由依さん(実はファンなので、横山さんのお声で解説していただけるの、かなりうれしい)。

照明をおさえた展示室で、作られた時代も、お顔立ちもさまざまな古い仏像に向き合っていると、ふだん雑念でいっぱいの心が一瞬、しんと静かになります。
心の一番深いところにある灯台みたいな光がちらっと見えて、「ここを目指せば大丈夫」と真ん中に戻れる気がするのです。

若い頃は仏像を見てもこんなふうに心ふるえることはなかったから、多少は自分の内側に気持ちを向けられる年齢になったのかな。
会期中に、もう一度訪ねよう。そしていつか、浄瑠璃寺にも行ってみたい。

大きな図版がうれしい展覧会の図録

静けさの余韻に浸りたくて、本館裏の庭園へ。
あまり知られていませんが、東京国立博物館は庭園も見事なのです。
四季折々の植物が美しい園内には、いくつかの茶室も配されています。

その中でも、通常非公開の「応挙館」で現在、「TOHAKU茶館」という期間限定のイベントが開かれています。


江戸時代の絵師、円山応挙が描いた襖絵(複製)を眺めながら、歴史ある建物の中でお茶をいただいたり、日本文化のアクティビティに参加したりできるという趣向。

私はおうどんとおいなりさんのセットをいただきました。

都心にいることを忘れるような、優雅な時間。
海外の方に日本文化を伝えるという趣旨のようで、海外からのお客さんもたくさんおられました。
エアコンがない代わり、ちゃぶ台に素敵なうちわが置かれているのも、うれしい心配りです。

TOHAKU茶館は2024年1月28日まで。駅から少し離れていることもあり、日曜のお昼どきでも混雑はありませんでした。
紅葉の季節も、きっと美しいと思います。
上野へお越しの際はぜひ。

本館1Fの体験展示スペースにて。子どもも楽しめるコーナーです。

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