英語検定は留学・移住のために受けるもの:日本と世界の違い
日本には数多くの英語検定が存在します。
もちろん英国や米国で作成され、世界的に通用するものもあれば、日本の民間企業や大学が作成した日本でしか通用しない試験もあります。
私が英語を始めたのは小学生の時でした。友達がやっていたから、私もやりたい!と公文を始め、言われるがままに英検を受け、中3か高1の頃に2級に合格するまで続けていました。高校入試で加点してくれる学校もありますしね。
留学を決めたのは高3の夏でした。そこからTOEFLの勉強を始めたものの性に合わず、IELTSに切り替えて対策に取り組みました(TOEFLとIELTSどちらが良いかと訊かれますが、相性もあるので両方やってみて行けそうな方で良いと思います)。留学するための英語力の証明として使える英語検定はTOEFLかIELTSのほぼ二択です。そこで、私は何のために英検を受けていたのだろうかという疑問を初めて持ちました。受験のためだとしても、受験科目に英語があるんだから不要ではないのかと思ったのです。
そんな疑問を抱えつつ英国に渡り、ある時、留学生同士で話をしている中で、英語検定のことが話題になりました。私にとって何が衝撃だったかと言えば、他国の留学生は留学するという目的を持つまで英語検定とは無縁の生活を送ってきたということです。もちろん国によって少し状況が違うと思いますが、多くの国では、留学もしないのに英語検定を受けるなんてことはしませんし、その国独自に英語検定を提供していることもなかったのです。
留学・移住に直結しない英語検定って何のためのものなんでしょうね。
ところで、TOEFLの日本人の平均スコアは世界最低レベルと言われています。実際TOEFLの運営母体であるETSが毎年公表しているスコアレポートには、日本語を母国語とする受験者の平均スコアと、日本の受験者の平均スコアを掲載しています。いずれも平均スコアは71です。全体の平均スコアは82くらいですので、明らかに低いですよね。国別のスコアでは、アジア諸国の中では最下位、アフガニスタンと同じスコアです。世界的に見ても、日本と同程度のスコアなのは、最貧国や内紛・内戦で安定しない国ばかりです。
この数字から見ると、日本の英語教育に対する批判をしたくなるのですが、一方で、日本では海外での留学や就業を本気で考えていない人でもTOEFLを受けるという実態があります。また、大学の短期留学や交換留学を目指す場合、目標スコアが60~70辺りであることも、日本の平均スコアが低い理由ではないかと思います。
日本には数多くの英語検定があります。自分の技能を測るツールとして英語検定はとても便利なものだと思います。しかし、現在のように日本独自の英語検定が乱立している状況には違和感を拭えません。
英語圏の大学入学の要件として世界的に受け入れられているIELTS、TOEFL、ケンブリッジ英検などを積極的に推進するならまだしも、日本を一歩出たら何の効力も持たない英語検定の受験を後押しすることに何の意味があるのでしょうか。
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