文字っ子コラム はいふねーしょん(1)

大沖という作家さんが描く4コマ漫画に「はるみねーしょん」がある。言葉遊びを中心とした、4コマ漫画みたいな日常がとても面白い。そこでふと思った。いっそのこと、文字っ子向けの言葉遊び4コマ「はいふねーしょん」を作ってもらい、コミケで配布してもらうのはどうか。里見英樹さんによる原作の装丁も、文字っ子クラスタと相性よろしく、表1には秀英3号のタイトルがあり、表4には「は」とだけ書いてある。まるでツイッターアイコンのようだ。
しかし本当にお願いするのは難しいので、欲しいものがあるなら自分で描くしかない。パンがないならケーキを食べれば良いのと同じ理屈だ。マンガを描くのは難しいから文章で良いか。そんな感じで始めてみます。ベタな内容にならないように、ツメが甘くならないように、頑張って書きました。

そもそも文字界隈はいろいろおかしい。なんだか独特の世界観を形成しているようにも思える。まず、子どもたちの通う幼稚園のクラス名が「ベタぐみ/ツメぐみ」だ。ベタぐみの先生は厳しいらしく、「手を焼く者は追い出すわよ!」とか言って児童を追い込んでいる。追い出された児童は鉄棒にぶら下がって不貞腐れているし。園長いわく「もっと調整してよ」。そんなはんかくさい(北海道弁)毎日が繰り広げられているのだから、もう可笑しい。

当然悪いやつらもいっぱいいて、指定暴力団「詰組」がなかなかやばい。
ちょっと肩がぶつかっただけでめちゃくちゃ詰められる。なんどフォント警察に助けてもらったことかわからない。一方で建設業の「ベタ組」は規模がでかい。社内恋愛も多いらしく、毎日男女がベタベタしている。トラッキング値はどれくらいなのだろうか。カップルには社長からペアカーニングがプレゼントされるのだとか。朝礼の話はつまらないくせに、こういうときだけサービス精神がある。「……つまらないものですが」と言いながらプレゼントを渡す姿はなんだか滑稽だ。カップルも泣き別れだけは避けてほしい。

先日、商店街の「ゆず屋」さんで和菓子を買ったら「『はるみねーしょん』は『し』だけ秀英5号だから気をつけてください」と教えてくれた。レコードショップに寄ったら、きゃりーぱみゅぱみゅの「ふりそでーしょん」が流れている。店長の正木さんが作ったポップは当然、アーティスト名が新ゴだ。それにしてもいい曲、コンポーザーは単数行だろうか。家電量販店のテレビからは写研とモリサワが結婚するニュースが流れていた。やべえ。

帰りに「孤独のグルメ」で夕食を食べる。看板が「游築見出し明朝体+游築初号かな」だった。昔は石井太丸ゴシックだったのにな。庄内平野で作られたお米は美味しかった。わたしはこのお店の大ファン。どんどん尽くしていきたい。今度の開店10周年記念日には花胡蝶を贈ろう。美味しいお酒にしっぽりと浸る。いつでも今日が、いちばん楽しいなんとやら。

うーん。この内容を作者ご本人にお願いするのはやはりムリがある。だいいち何人がこれを理解できることやら。次回からは通常どおり「いんびてーしょん」をお送りします。やべえ。◆

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