【ネタバレ有】TENET 映画感想

隙間時間があったのでTENETを見てきましたので感想をしたためようと思います。ネタバレ全開で書きますので未視聴の方でネタあばれが嫌な方は見ないことをお勧めします。

映画『TENET テネット』オフィシャルサイト｜2021.1.8ブルーレイ&DVDリリース

3つ面白ポイントがあります

TENETは時間逆行をテーマにした映画です。時間をさかのぼる技術をめぐる主人公と敵の頭脳戦が描かれます。
映画の流れは非常にシンプルでした。こんな感じです。

基本通りに話の転機が2回あります。
1回目が主人公が時間逆行技術と出会い調査を始めるシーン、2回目が敵が世界滅亡を企んでいることを知るシーンです。世界滅亡を企む敵を主人公が阻止するのは王道中の王道です。シンプル！！！
これだけ聞くと陳腐に思えるかもしれませんが、あえてこうなっています。

TENETの面白ポイントはシナリオの奇抜さではないです。TENETは時間逆行をテーマにした作品です。そのため時間逆行を使ったギミックが随所に入っており、それらが何よりも秀逸です。私が感じたよかったギミックはこの3つです。

①時間逆行を利用した伏線
②挑戦的な映像表現
③映画の後の世界を想像する余地

一個ずつ話していきます。

①時間逆行を利用した伏線

時間逆行というテーマなので上演時間の時間軸と映画内の時間の進みが一致しません。こんな感じです。

主人公やヒロイン、敵の認識している時間は矢印通り動くんですが、地球の時間は逆行しているという状況の時間帯があります。また、エンディングは作品の冒頭より前に時間になっています。
映画中盤で主人公と相棒が敵と格闘戦をするシーンがあります。映画中盤で時間逆行中に主人公が同じ場所に帰るんですが、じつは格闘戦を繰り広げた相手は自分自身でした。
こちらも映画中盤でヒロインがうらやましがった相手が出てきます。実はそれは未来のヒロイン自身でした。
映画全体でずっと黒幕の存在がほのめかされます。黒幕は主人公の未来の姿だったとエンディングで明かされます。

こういう風に大きいものから小さいものまで時間逆行をテーマにしたからこそ張れる伏線を仕込んでいます。これがネタばらしのカタルシスを提供します。私風に言うと運命思考、原点思考に刺さるかな。

②挑戦的な映像表現

時間逆行って結構ぼかした表現をすることがあります。ドラえもんのタイムマシンとかわかりやすいですよね。タイムマシンに乗っている間は外の風景が見えませんし、外から時間逆行している人を見ることはできません。

TENETでは時間逆行中の人物/物体がちゃんと描写されます。正順に時間を進んでいる人から見ると、物事が逆再生されているように見えます。時間逆行している人から見ると、正順に進んでいる人が逆再生しているように見えます。この二つを映像で表現しているのが良いポイントです。非常に挑戦的で新しい表現と思います。

状況の変化量が倍になったり、時間の逆行は現実では起きえないのでどうなってるのかよくわからない部分はあります。不思議な表現で目新しくそれだけでもみる価値があります。音響も凝っているので映画館で見ることをお勧めします。

③映画の後の世界を想像する余地

①で少し話を出しまいたが、この事件の黒幕は主人公自身でした。劇中では話の転機①の直後に登場する主人公の相棒がいるんですが、主人公はこの時初対面だったんですが、じつは相棒は未来の主人公から顛末を聞かされていて、はじめから全部知っていました。劇中ではどこまで知っていたのか、主人公とどうやってであったのかなど細かくは描写されません。また、この相棒が作品の後に死ぬ伏線が張られています。これらの伏線は回収されません。この伏線は見た人の想像にゆだねられており、この幅が本当に広いです。
相棒の下り以外にも時間逆行技術を送ってきた未来人に何が起きたのか、未来と主人公の関係、どこまで未来の主人公の手のひらの上だったのかなどなど。想像の余地がとても多い。これが最後のよいポイントですね。

悪かったところ

ほめちぎりは気持ち悪いので悪かったところも上げておきます。

①挑戦的な映像表現

挑戦的なのはいいんですが、時間逆行の設定整理がたりていないです。映像的に話が理解しにくいため、物語をかなりシンプルにした気がしています。もう少し映像的に見やすいように設定をまとめたら映画のジャンルになる可能性があると思いますが、今回は煮詰めがたりてない印象です。

②伏線の回収漏れ

伏線が一個回収されてないです。想像に任せる伏線ではなく、何も起きないやつですね。逆行中に自分自身とあってはいけないっていうルールが示唆されるんですが、その直後に自分と戦って何も起きないんです。なんとなくですが、カット漏れじゃないかなって気がしました。

③ヒロインに執着する入口描写が無いorうすい

主人公がヒロインにけっこう執着するんですが、なんで執着するのかの描写が見当たらないです。中盤の葛藤や複雑さをヒロインに執着することで生んでいるので、かなり違和感があります。これが一番の不満点ですね。

おわり

隙間時間とか言いながら朝9時の回で見たのでいつもの出社より早起きでした。早起きしただけの価値はあったと思います。

ばいばい。

追記　20/09/29

「③ヒロインに執着する入口描写が無いorうすい」について
私上演時間の最初の10分を鑑賞してないんです。開始直前に腹が痛くなりまして。どうもいろんな方のレビューを見てると最初の10分でここに関する描写があったみたいですね。失礼しました。