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小説「15歳の傷痕」-18

- 難 破 船 -

俺が打楽器へ移り、ここまで練習にのめり込んだことは初めてだと自分でも思うほど、情熱を注いだ夏の吹奏楽コンクールが終わった。

結果はまたしても「銀賞」

どうしてもゴールド「金賞」に手が届かないのか…と悔しがっていたら、山中が励ましに来てくれた。

「審査員の講評を見てみなよ。俺ら、もうちょいで金賞だったんだよ」

審査員は5人いて、各々がA+ からC- まで、5項目に9段階の評価をつけられるようになっている。
5枚の講評用紙を見ていると、Aの評価を付けて下さった審査員が予想よりいた。
よく見てみると、あと1人、A段階の評価を付けてくれていたら、金賞だったかもしれないのだ。

「だから、俺らが頑張ったこの夏は、報われたんだよ。お疲れ、上井。ティンパニも良かったよ」

3年生を加えての5人体制の打楽器で挑んだコンクールでは、俺はメインでティンパニを担当した。鍵盤系は経験者の広田さんと3年の先輩、ドラムと小物は1年生の宮田さんと3年の先輩という分担をした。

残念ながらコンクールの結果としての金賞は逃したが、それ以外に大切なことを沢山学んだ気がする。

急に俺の後を引き継いだ若本も、バリサクがコンクールで吹けて嬉しかっただろう。

「はい!コンクールはテナーだと思ってたので、念願のバリサクが吹けて、嬉しかったです!ミエハル先輩、打楽器への出向はそのままでもいいですよ~」

「え?サックスには戻るなってこと?キビシーなぁ」

エーンと泣く真似をしたら、若本が笑いながら俺の頭をヨシヨシと撫でてくる。その隙を突いて、俺は若本に分け目チョップをかます。

「やられた~。ミエハル先輩、腕を上げてきましたね」

「ふふっ、勝負には終わりがないのさ」

等と若本とじゃれていたら、このまま俺の彼女になってくれないかな…等と妄想してしまう。その辺りには敏感な伊東が、巧みに攻めてくる。
若本が別の女子と話し始めたタイミングで、聞いてきた。

「ミエハル、若本の事が好きなんじゃろ」

「えっ、なんで?」

「モロに態度に出とるって。他の女子と喋るよりも楽しそうだし、若本もミエハルとだと、俺らよりも親しそうに喋るし。もう告っちゃえば?」

「確かに若本と話すと楽しいんよね。漫才みたいに喋れるし。相性は悪くないとは思っとるんじゃけど…」

「けど?」

「ちょっと俺、女性恐怖症みたいなところがあってさ、告白するんなら、もっと確実に受けてもらえるタイミングを狙いたいっていうか…」

「なるほどね、分からんでもない。まだミエハルの中では、機が熟しとらんってことか。告るまでにもう少し距離を縮めたいんじゃね」

「うん、そんな感じ」

「じゃあ俺も見守ることにする。何かあったら協力するけぇ、言ってくれや」

「うん、ありがとう」

なんとかコンクールを乗り越え、去年はこのまま雰囲気が悪化していったけど、今年はそんなことさせないぞ!と思い、俺は2学期に入ってからも努めて部員の前では明るく振舞っていた。

特に、やっと俺の心を恋愛モードに戻してくれた若本とは、もっと距離を縮めるべく、村山と一緒に帰るよりも、若本と一緒に帰れるよう、極力時間を合わせるようにしていた。


そんなある日、村山も1年の桧山も部活を欠席し、帰り道で若本と2人きりになることがあった。

「ミエハル先輩と2人で帰るなんて、不思議ですね」

「そう?方向が途中まで一緒だし、他のメンバーが休んだらこういうことも有り得るじゃろ」

「ま、まあそうですね」

なんとなく若本は緊張しているように感じた。

お互い、変に意識しているのか、2人きりだと会話がスムーズにいかない。駄目だ、これじゃあまた失敗する、と思い、俺は話題を投げかけた。

「そうそう、今度の体育祭でね、俺、3年の先輩女子とフォークダンスすることになったんよ」

「えっ?なんですか、その男子だけ羨ましいシステムは?」

「ウチの高校って、女子が多いじゃろ。それはどの学年もなんじゃけど、そうなると体育祭のメイン、3年のフォークダンスで女子同士で踊らなきゃいけない人が多数発生するんよ。それを防ぐために、2年生から男子を選抜して、男女同数になるように調整して、フォークダンスをするんよ」

「ほー、なるほど。それはいいかもしれないですね」

「で、各クラスで立候補を募ったら、凄い倍率らしいよ」

「アハッ、男子って正直ですね!」

「そうじゃろ。でも、俺もつい立候補したんよ。そしたら立候補者多数につきクジ引きになって…」

「そのクジに当たったんですね?!」

「その通り!なんかね、いつでも変わってやるぞとか、お前ブラスで忙しいんじゃろ、俺に権利寄越せとかね、嫉妬が凄いんよ」

「男子って…笑っちゃいますね!」

「そうじゃろ。あ、ブラスの1年生の体育祭の練習特権は、もう体験した?」

「え?あー、もしかしたらプロムナードでしたっけ、ウチらだけ歩かないでいい1年の競技」

「そうそう。その時は吹奏楽の生演奏で1年生が歩くから、練習の時はブラスのメンバーは休んでろって言われるヤツ」

何とか話題が途切れないように、俺は必死にネタを繰り出した。

「はい!恩恵たっぷり受けましたよ。吹奏楽部を辞めた人達が、辞めんにゃよかったとか言ってきますよ、おかしいぐらいに」

「同じじゃね。去年もそうじゃったよ」

「でも体育祭では一つだけ心配なことがあるんです」

「ん?何々?」

「…ミエハル先輩、アタシの体操服姿見ても、笑わないで下さいね」

「なんで?笑ったりするわけないじゃん」

「実は去年の体育祭も、桧山と一緒に観に来まして、その時に既に衝撃は受けたんですけど、女子のブルマってエンジ色じゃないですか」

「ま、まあそうじゃね」

俺は女子とブルマの話になると、異様に照れてしまう。悲しい男の性だろうけど…。

「だから入学してからブルマの色が分かって、えーっ!とかいう、他の女子が味わうような気分にはならなかったんですけど、いざ自分がエンジのブルマを穿いてみたら、まあ似合わないったらありゃしない。やっぱ中学までの黒とか紺色が似合ってるというか、慣れてるんです」

「そ、そうなの?そんなもんなのかな?」

俺は照れて顔が赤くなっているのを悟られないように必死だった。

「だから、アタシのブルマ姿を見ても、笑わないで下さいね!ってことなんです…」

若本はちょっと自信無さげに俯きながら喋った。

「笑わない、笑わない!そんなことしたら女子が傷付くだけじゃん。ましてや若本さんのことを笑ったりしたら、お兄様に殴られるよ」

「本当ですかぁ?あっ、ミエハル先輩なら、女子のブルマ姿を見て笑うんじゃなくて、ニヤニヤするんでしょ。もうエッチなんだから!」

「なに勝手に決め付けてんだよ!」

と、俺と若本は言い合いながら、指で互いの腕を突き合ったりして、とても良い雰囲気で喋ることが出来た。そうやって喋っている内に、若本家に着いた。

「じゃあアタシの家に着いたので、今日はここまで…。ミエハル先輩、お休みなさい」

「はーい、じゃあまた明日ね」

「お疲れさまでした…バイバイ、先輩」

若本は軽く手を振って、初めてバイバイなんていう単語を使ってくれた。

若本が家の中へ入り、俺は1人で宮島口駅に向かいながら、内心では狂喜乱舞していた。

(バイバイだって…かーっ、照れちゃうなぁ!)

勝手に顔が歪む。確実に今日、俺は若本との距離を縮めた自信があった。そろそろ告白してもいいんじゃないかと思い始めた。

伊東が、何かあったら協力してやると言ってくれてたけど、そんなことしたらバレバレになっちゃうから…よし、自分で動くんだ!その時が来たんだ!


体育祭は本来の予定日が雨だったため、2日順延されて、9月最後の火曜日の開催になってしまった。そのため観客数が少なく、ちょっと盛り上がりに欠けてしまった。

だが俺は、3年の女子の先輩とフォークダンスができて、ハイテンションになっていた。
もちろん吹奏楽部の先輩もいて、「なんでミエハルがおるんよ!」と笑いながら手を繋いでくれた。ちょっと憧れていたホルンの先輩ともダンスが出来て、会話も一瞬だが交わせ、嬉しかった。

そして夕方、体育祭が終わり、楽器を片付けながら俺は突如思った。

『今日、若本に告白しよう』

中学の時もだったが、体育祭が終わって片付けをしている瞬間、とても寂しく感じる。
これでもう夏も終わって、秋へと移っていくんだな…と、感傷的になってしまうのだ。

去年は伊野沙織にフラれた直後で、半ば体育祭も自暴自棄だったが、今年は普通に人恋しい感じになっている。

こんなタイミングで告白したら、上手くいくんじゃないか?そう考えたのだった。

今日は吹奏楽部の女子は、代わる代わる楽器倉庫で着替えることになっている。男子は何故か福崎先生のいる音楽準備室で着替えることになっている。

俺は早目に打楽器を片付けて着替え終わり、音楽室で鍵を掛ける役があるので女子が着替え終わるのを待たねばならない。若本も楽器倉庫で着替えるはずなので、着替え終わって倉庫から出てきた瞬間に、若本を捕まえ、2人きりになれる場所で告白しようと計画した。

今日は楽器倉庫は早い者勝ちなので、フルートやトランペットといった片づけるのが簡単な楽器パートの女子ほど、先に着替えていく。
狭い楽器倉庫だが、女子だけなら4人までは同時に入れるだろう。

とはいえ女子の着替えはやはり時間が掛かるのか、次々と待機する体操服姿の女子の列が作られてしまった。

「ねえ上井君、教室で着替えてきてもいい?」

と俺に聞いてきたのは、百人一首大会以来の会話になる、神戸千賀子だった。

「え?でも、制服とか、楽器倉庫の中じゃないの?」

「あ、そうだった。うーん待つしかないね、ありがとう」

思わぬ神戸千賀子からの声掛けに動揺してしまった俺は、何故か鼓動がスピードアップしていた。

(久しぶりに会話したけど、なんか普通に話しかけてきたなぁ。俺も普通に話しかければいいのかな…)

若本は、バリトンサックスの片付けが大変だったのか、他に何か用事でもあったのか、かなり遅く音楽室に戻ってきて、楽器倉庫の前の列を見て愕然としていた。

「ミエハル先輩、これは…着替えるのはかなり後になるってことですね?」

「うーん、女子の着替え方がよく分からんから何とも言えんけど、時間は掛かりそうじゃね」

「待つしかないのかぁ…ミエハル先輩にアタシのブルマ姿を見られながら…」

その瞬間、女子の列から笑いが起こった。

「ちょっ、その表現はヤバいだろ!まるで俺が変態みたいじゃん」

「あれ?変態じゃなかったんですか?知らなかった…」

また笑いが起こった。まあ待ってる間に若本と掛け合いが出来たのはよかった。その間に、神戸千賀子が倉庫の中に入り、男子にどうしても見られたくないってところだけ早めに着替えて、髪型整えるとかは外に出てやってーと、声を掛けていた。
そういえば神戸千賀子には副部長を務めてもらっていたのだった。

その間に、音楽準備室で着替えを終えた男子がヒョコっと音楽室に顔を出し、俺に今日はミーティングなしですよね?と確認して、お先に失礼しまーすと帰っていく。

大村は何処かで神戸千賀子と待ち合わせているのだろう、俺に一声掛けてから、ゆっくりと音楽室を出て行った。

村山は最初、俺と一緒に最後まで残りたそうだったが、あまりに女子の列が長いのを見て、お前、鍵締めあるんだろ?先に帰るわ、と帰って行った。これは個人的には助かった。

その他の男子も帰って行ったようで、音楽準備室を見たら、もう空っぽだったので、電気を消した。

女子の列も神戸千賀子が声を掛けたお陰か、前よりもスムーズに進みだした。

列のほぼ一番後ろにいた若本も、音楽倉庫に入っていった。

「みんなお疲れさーん。今日は着替え終わったら帰っていいよ」

と言ったら、着替え終わっていた女子はやったーと言って、続々と帰って行った。

神戸千賀子も着替え終わり、先に帰るね、とだけ言って音楽室から出て行った。今から大村との楽しい帰宅時間なんだろうな…。

あと何人いるんだ?

といって、楽器倉庫を覗くわけにもいかない。
しばらく待っていたら、若本が、

「うわーん、アタシが最後です~、ミエハル先輩」

と言いながら出てきた。

「本当?もう中には誰もいない?」

「いませんよ。だからと言って、確認のためとか言って中に入らないでもいいですよ!今は女子高生の残り香がムンムンしてますから、エッチなミエハル先輩には毒です!」

「なんで俺をエッチだって決め付けるんだよ!」

「だってその方が面白いじゃないですか」

と言って、制服姿に戻った若本は笑った。

「なんか複雑だなぁ。まあいいや、じゃあ鍵閉めて俺も帰ってよさそうじゃね」

「そうですね。って、先輩、アタシを置いて帰らないで下さいね」

「ん?そんなことはしないけど…なんで?」

「だってもう、暗いじゃないですか。アタシ1人で帰るのは怖いです。桧山もとっとと帰っちゃったし。一緒に帰ってくれませんか?」

「あっ、ああ。もちろん。レディーを守らなきゃね」

俺は寧ろ、若本をどうやって呼び止めておこうかと思っていたほどだから、嬉しかった。

「じゃあ序に一緒に鍵の確認してくれる?」

「はい、分かりました!」

2人で確認すると、早かった。そして音楽室の入り口を閉め、職員室へ鍵を返し、外へ出た。既に日は暮れ、暗くなっていた。

「初めての体育祭、疲れたじゃろ?でもあっという間じゃなかった?」

と、歩きながら俺から話し始めた。いつ告白しようか、タイミングを計りながら…。

「本当に…。疲れたけど、1日楽しかったなぁ。何より、我ら吹奏楽部には、テントという強い味方があるのが助かりますよね」

「そうなんよ。各クラスの席には何にもないけぇ、油断すると日焼けしちゃうんよね。だから特に女子なんか、自分が出る競技以外はクラスの方には全く行かなくて、吹奏楽部のテントに入り浸ってたりするよ」

「アタシもそうすればよかった~。ただでさえ黒いのに、また日焼けしちゃったもん」

「どの辺り?」

「あーっ、やっぱりミエハル先輩、エッチなんだから!女の子に何処が日焼けしたかなんて、聞くもんじゃないですよ!」

と、若本に指で突かれた。

「えっ、そうなの?聞いたらいけないの?こりゃ知らんかった、勉強になりました」

「あっ先輩、本当に知らなかったんですね。これからは気を付けてくださいよ~」

と歩きながら会話していたが、ここで会話が止まった。今が告白のチャンスか?思い切ってみることにした。

「若本って、誰か好きな男子とか、おるん?」

「えっ。うーん…そうですね…いるようないないような…逆にミエハル先輩はどう?好きな女の子はいます?あるいはもう誰かと付き合ってるとか?」

逆質問されてしまった。どう答えようか…もうストレートにいくしかないかな…。

「そうじゃねぇ、好きな女の子はおるよ」

「わっ、本当ですか?誰だろう、吹奏楽部の女子かな?」

「…うん」

「キャッ、誰だろう。先輩の同期?それとも1年生?3年生?」

「…1年生」

「わーっ、アタシ達の代なんだ!誰だろう…当てるから、特徴言って下さいよ~」

「特徴はね、まずは髪型がショートカット」

「髪型はショートかぁ。先輩はショートの女の子が好き?」

「そうかもね。あと他の特徴は、明るいね、その子は」

「明るい、かぁ…。結構みんな明るいからなぁ」

「もう一つ、究極のヒント。コンクールの前に、吹きたがってた楽器を吹けるようになった女の子」

「コンクールの前に吹きたがってた楽器を吹けるようになった女の子…って、あっ!あれ?あの…その…」

「もう分かった?」

「も、もしかして、アタシですか?」

「そう、正解!俺が好きなのは、若本さん、キミだよ」

遂に告白してしまった!それも思わぬ形で…。若本はその言葉を聞いて、しばらく黙っていたが、歩幅は俺に合わせてくれながら、ゆっくりと歩いている。

「…とっても嬉しいです、先輩…」

「本当に?」

「本当です。アタシみたいな女を好きって言ってくれるなんて、本当に嬉しいです。ありがとうございます!」

若本は少し涙目になって、俺の方を向きながら言ってくれた。

その後しばらく沈黙の時間が流れた。その内、若本から手を握ってくるとか、何らかのアクションがあるのかと思っていたが、何もない。

あまりに沈黙の時間が長かったので、つい俺から言葉を掛けてしまった。

「突然でビックリした?もしよければ、俺の彼女に…」

と言い掛けたところで、若本が返事をくれた。

「…先輩の彼女にはなれません、ごめんなさい」

「えっ…」

再び沈黙の時間が流れたが、俺は何も言えなかった。その沈黙を破ったのは若本だった。

「アタシ、ミエハル先輩と話してるととっても楽しいし、一緒に帰ったりするのも面白かったし、いつも優しくて、ミエハル先輩のことが好きなのは間違いないんです。でも、でも…」

「…でも?」

「でもアタシの好きは、ミエハル先輩をお兄ちゃんのように感じる好き、なんです。恋人としての好きじゃないんです。アタシ、酷いこと言ってます、ごめんなさい」

「いっ、いや、そんなことは…」

「先輩には、アタシなんかより、もっとお似合いの女の子がいますし、ミエハル先輩のことが好きって言ってる女子もいると思いますよ、絶対に」

ああ、またそのセリフか…と俺は思わず思ってしまったが、口にはしなかった。

「…ごめんね。分かったよ。急に戸惑わせるようなこと聞いて、悪かったね」

「そ、それでは、ここらで失礼します!おやすみなさい!」

「あっ、ああ…。おやすみ」

まだ若本家にはちょっと距離があったが、若本は急いで帰らなきゃ、というスピードで小走りに先を急ぎ、どんどん立ちすくんでいる俺の視界から、遠くへと消えていった。

(またフラれた…失恋記録更新だ…)

俺はゆっくりと宮島口駅に向かって歩き出した。
宮島口駅に行く際には、若本家の前を必ず通らねばならない訳ではないので、若本家の前を通らないルートで帰ることにした。

暗い中をゆっくり歩いていると、自然と涙が溢れてきた。

(どうしてこんなにモテないんだろう。どうしてこんなに失恋ばっかりするんだろう。どうして俺の恋って叶わないんだろう。・・・もう女の子を好きになるのは止めよう。いつもいつもこんな辛い結果にしかならない。俺のことを好きな女子がいる?世界中探したって、そんな女子、いるわけない。誰を好きになっても結果が決まってる。何時まで経っても15歳の時に受けた傷痕が塞がらないよ…)

俺は宮島口駅のベンチにしばらく座り、ボーッと星空を見ながら考えていた。

もう誰も好きにならないということだけは、心に決めた。

だがそんな俺を、更に深い苦しみが襲う…。

(次回へ続く)








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