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私的生活

やってしまった。

恋愛は楽しい。
誰かが、さほど美人でもない私のことを優しくしてくれて、かわいいと甘い言葉をかけてくれて、会いたいと思ってくれて、寒い日も、そうでない日も、温もりが欲しい時に寄り添ってくれる。

別れた後も、会う約束をしているのに、会いたいと思う。寂しくなる。

恋愛は楽しい。
しかし、のめり込むと、自分の時間を失ってしまう。
本を読むこと。映画を見ること。何かを制作すること。

恋愛をする上で気をつけたいと思っていた『ひとりの時間も大切にする』、今の私は、守れているだろうか。

昨日、恋人に会った。1週間ぶりだ。
それほど久しぶりでもない。
でも、ものすごく会いたくなって、ハーゲンダッツを買い家に遊びに行った。栗の味と、キャラメルの味。
2人で食べて、結局そのまま泊まった。

この時間があれば、noteの記事を書けた。
映画を見れた。本を読めた。
部屋の掃除ができた。
自炊ができた。

これは後悔だろうか、しかし、やってしまった!と思ってしまう。

彼との時間を優先してしまう。
私の時間は、なくなってしまう。

『私的生活』の主人公、乃里子もまた、恋愛をするうちに『自分らしい生活』を失いつつあった。
乃里子はデザイナーとして活動しており、お金持ちで傲慢な年下男子・剛と結婚する。
高級マンションに移り住み、優雅な生活を送るが

以前の様なアートに囲まれた生活とは疎遠になってしまう。

そんなとき、乃里子のアトリエを剛に荒らされてしまうという事件が起こる。

私の苛立たしさの中には、周りが入ってきて、あっちこっち、触ったと思うと、(もうここは、あたしの城じゃない)という悲痛なものがあり、愛してる城を落城させられた恨みつらみが、そこここに亡霊みたいに立ち昇ってるのだった。

乃里子は、自分の世界を土足で入られたことが悔しくなる。

自分の世界を、恋人と共有できたら、それは素晴らしいだろう。
しかし、乃里子の仕事や趣味に、剛はまったく興味を示さない。

愛し合う2人だが、最終的に別れてしまう結末も、無理ないと思った。

私も恋人も、決して金持ちではなく、優雅な生活が故に日常に溢れるささやかな感性を逃してしまう心配は、ない。
しかし、1人だからこそできること(読書、映画鑑賞など)が疎かになってしまう。

このままではいけない、と思う。
恋人を大切にしながら、自分の感性を損なわず、将来に繋げられる生活を送りたいのだ。

まだ、できるだろう。
今日からでも、できるだろう。

本は、少しずつ読み進めている。
その感想をnoteにアウトプットすることで、自分の感性に繋げられるので、やはり継続しなくてはならない。

映画も、最近あまり見なくなった。
見たい映画がたくさんあるのだから、時間を設けなくてはいけない。
見たい作品がある、ということ自体、幸せなことだと思う。

私的生活。
自分らしく、ありのままの感性を、自分こそが、大切にして生活すること。


P.S.
彼と食べたハーゲンダッツ、おいしかった。
このおいしさも、私的生活とは別の、幸福なのだ。

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