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「い・ろ・は・す」は日本のCSVの先駆け。「おいしい」 と 「環境にやさしい」 を両立したミネラルウォーター

本日は、11/1の投稿で説明したCSVの事例紹介の第2弾です。投稿の中で、「CSV(Creating Shared Value):共通価値の創造」に関して、社会課題を解決すること(社会的価値)が企業の経済的な利益(経済的価値)につながる(共通価値の創造)ということを説明しました。

本日は、私が、日本のCSVの先駆けだと感じている「い・ろ・は・す」についてお話します。

1.2009年の衝撃的デビュー


日本国内のミネラルウォーター市場は、1990年代から販売量が上昇していましたが、2000年代の半ばには、市場の伸びが鈍化していました。

日本コカ・コーラ社は、当時、「森の水だより」というブランドでミネラルウォーターを販売していました。あくまで私のイメージですが、「森の水だより」は、ブランド力がそれ程強くなかった(少なくとも、No.1ブランドではなかった)ため、何らかの刷新を考えていたのだと思います。私自身、この商品が、日本コカ・コーラ社のブランドだという認識は持っていませんでした。

皆さんもご存じだと思いますが、2009年に発売した「い・ろ・は・す」「おいしく飲んで、しぼってリサイクルする」というコンセプトの商品は、衝撃的でした。

2009年は、環境問題に対しての消費者の意識も今程、強くない中で、日本の全消費者に対して、意識革命を起こした位の衝撃を私は受けました。

2.「い・ろ・は・す」の成功



まず、ペットボトルの重量を徹底的に削減(40%削減)することで、原料の石油を削減しました。ペットボトルが軽量化し、形状も小さくなると、ボトル自体や商品の輸送に掛かる物流費も削減することができるようになります。

一方、「い・ろ・は・す」を購入したお客さんは、商品を手に取ることで、広告で謳っているように、「おいしく飲んで、しぼってリサイクルする」ことを実感できました。

さらには、「しぼって捨てる」ことが、ゴミをコンパクトにできるだけではなく、その動作が若者のファッション感覚ともマッチし、一大ブームとなったのです。

さらにさらに、ペットボトルのコストや物流コストが安くなった分、555mlで126円というとっても嬉しい価格を実現してくれました。

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3.「い・ろ・は・す」のCSV

ここで、この2009年発売の「い・ろ・は・す」CSVについて、考えて見ました。

下図に示した通り、日本コカ・コーラ社にとっての「経済的価値」は、

ペットボトルや物流のコストを抑えることができたため、ミネラルウォーター自体の品質の向上や増量する費用を生み出すことができたこと。

❷消費者に「おいしく飲んで、しぼってリサイクルする」ことが、分かりやすく伝わったため、売上増加に繋がった。

ということが挙げられます。

その結果、「い・ろ・は・す」の導入が、「ミネラル水」の売上増加(発売直後シェアNo.1も奪取したとようです)と環境負荷の削減という「共通価値の創造」に成功しました。

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4.「いろはす」は、さらなる進化を遂げている

【2010年4月〜】植物由来原料の使用
ボトル素材に、再生可能な植物由来の原料を5~30%使ったプラントボトルを使用し始めました。

植物由来原料の使用は、カーボンニュートラルの一つです。これは植物由来のプラスチックを焼却した時に発生する二酸化炭素が再び植物に取り込まれることから、大気中の二酸化炭素が増減しないということです。

【2020年4月〜】ラベルレスボトルの導入
ペットボトルのラベルをなくすことで、石油原料の削減をし、さらにラベルがないので、はがす手間やゴミの分別も簡単になりました。ボトルデザインも「い・ろ・は・す」のイメージを残しつつ、さらにカッコよくなっていますね。

こういう環境への配慮を徹底的に推進し、それを消費者にアピールするとともに、デザインもカッコいい。日本コカ・コーラ社は、本当に凄いことやってくれますね。

これらの内容も含め、パッケージの3R(リデュース、リユース、リサイクル)については、今後、投稿して行きたいと思います。

5.まとめ

❶2009年の「い・ろ・は・す」の導入は、日本のCSVの先駆けである。

「い・ろ・は・す」「おいしく飲んで、しぼってリサイクルする」というコンセプトが商品自体で体感でき、消費者の環境に対する行動を促進した。

「い・ろ・は・す」の導入により、「ミネラル水」の売上増加環境負荷の削減という「共通価値の創造」に成功した。

「い・ろ・は・す」の環境対応をますます進化している。

6.おまけ

11/25付の日経新聞朝刊の記事では、SDGsに貢献する先進企業を選出する「第3回日経SDGs経営大賞」アサヒグループホールディングスの大賞受賞を伝えています。受賞内容は、「飲料のペットボトルからラベルを取り除き、樹脂の使用量を削減した」というものです。

本投稿では、日本コカ・コーラ社にフォーカスしましたが、飲料各社の環境対応は切磋琢磨して、素晴らしい結果を出していますね。

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