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「移住」と「引っ越し」 言葉の違い

 愛媛県と広島県の県境、芸予諸島のうちの離島で構成された上島町で生活を始めて、この3月末で3年間が経過します。島おこし協力隊(地域おこし協力隊)としての役場での業務以外にも、NPOやゲストハウスの創業/開業準備など、初めてのいろいろなことにチャレンジしながらの3年間でしたので、「盛りだくさん」、そして「やってみたら、何とかなった」というのが、この期間を走り終えての感想です。

 この期間、そしてその前の沖縄に住んでいた時に考えていたのが、「移住」、そして「引っ越し」という2つの言葉の使い方の違いについてです。どちらも住む場所を変えることを指しますが、使い分けがあって、どのような時にどちらの言葉が使われるのか、では、ぼくの地理的な移動はどっちだったのか、ということを考えていました。

 以下、ぼくの仮説です。
 「引っ越し」は、住む場所が決まっている、あるいは容易に見つけることができる、そして就業や入学、転勤であったり再就職であったり、仕事や次のステージも決まっている場合に使われます。
 一方の「移住」は、住む場所を見つけにくい、これから創業することを予定している、地域社会での暮らしに困難が推測されるなど、先を見通せない、チャレンジする要素が含まれている地理的な移動に使われます。
 この定義では、例えば地域おこし協力隊として勤務するためであったり、移動先が沖縄だから、あるいは海外だからといって、必ずしも「移住」になるとは限りません。

 また、別の定義も考えました。その移動の理由として、「仕事が先にある」か「地域が先にある」かで、前者が「引っ越し」、後者が「移住」です。「仕事が先にある」という生活の状態は、都会暮らしではふつうに見られる状態だと思います。そして、仕事中心の毎日になりがちです。ぼくも、そうでした。上島町に来て、島おこし協力隊として勤務した3年間には、NPOを設立し、創業し、ゲストハウスの開業準備をし、高井神島のことを考え、イノシシの捕獲をして、消防団に入って、町内会の役もして、農作業もしてみたいと思ったりして、役場での仕事以外のことに多くの時間と労力を割きました。このような生活に移ることも、「移住」の特徴ではないかな、と思います。

 そして、「移住」と「引っ越し」のどちらがいい、というのは、これらの言葉を使う人の価値観であって、ただ、今の日本の時代の雰囲気としては、政府により「移住」の方が推奨されている、ということなのでしょう。

 ぼくの場合、先の定義では、上島町への拠点の移動は、先が見えない「移住」でした。沖縄への移動は、今思えば、「引っ越し」でした。
 「移住」から3年間が経過して、今は「これからも、何とかなりそう」と思えています。

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