中山道雄

元中日新聞記者。愛知、岐阜、長野、滋賀県で43年間にわたる取材活動を続けた後、故郷の高…

中山道雄

元中日新聞記者。愛知、岐阜、長野、滋賀県で43年間にわたる取材活動を続けた後、故郷の高知県にUターン。初めての農業に挑戦しながら、猟師として山に入る。狩猟、射撃、釣り、キャンプ、車中泊旅行などアウトドア全般が趣味。田舎暮らしの楽しさや自然の魅力、地域の話題などを発信します。

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車中泊旅行必携のサイクルキャリア フェリー乗船は注意を

 猛暑にあえいだ夏が去り、やっと秋になった。これからの季節は旅に最適だから、計画を立てている人も多いだろう。旅先では車に自転車を搭載できる「サイクルキャリア」が重宝する。私は運動量がハンパない猟犬・マイヤーと一緒に行動するため、絶対に欠かせない装備のひとつだ。とても便利なキャリアだが、フェリーに乗船する時には思わぬ罠も潜んでいる。走るホテルの愛好者は、どうぞご注意を。  400回を超える車中泊で、私は代々飼育してきたブリタニー・スパニエル犬たちと一緒に眠った。  4代目のマ

    • ご当地キャラまつりin須崎 しんじょう君が観客を魅了!

       全国のゆるキャラが集まる「ご当地キャラまつりIN須崎」が、高知県須崎市で開かれた。須崎といえば、2016年の「ゆるキャラグランプリ」で1位に輝いた二ホンカワウソの化身「しんじょう君」の本拠地だ。須崎市民として、ここで地元のヒーローを応援しなくては申し訳がたたない。厳しい残暑をものともせず、会場となった須崎湾近くの桐間多目的公園に駆け付けた。 雨空の下で奮闘する仲間たち  実行委員会主催、日本ご当地キャラクター協会協力のイベントは、今年で9回目を迎えた。9月15、16の両

      • ムカデに噛まれた!秋の夜の恐怖

         「ギャー、痛い!」。13日午後10時。入浴していた妻が突然、とんでもない叫び声を上げた。「なんだ、なんだ」と驚いていると、妻が風呂場から飛び出してくる。床に突っ伏すなり、今度は「お湯を出て着替えようとしたら、何かに手を刺された。痛くてたまらない」と泣き出す。顔面蒼白で、今にも倒れそう。ハチか毒虫だろうとあたりを付け、脱衣場を調べてみた。  もしも、ハチなら手に負えない。スプレー式の殺虫剤を握りしめ、恐々とドアを開ける。一歩中に入ると同時に、殺虫剤を床や天井に噴射した。  

        • 真夏の車中泊 高速道路のオアシスを探そう!

           年々暑くなる日本の夏。気温38度だとか40度とか言われると、外出するのも億劫になる。できれば家で涼んでいたいところだが、今年のお盆は岐阜県郡上市での取材のため往復1200㌔の移動を余儀なくされた。こうなると、一気に走るのはつらい。行きと帰りに車中泊をはさみ、高速道路で夜を明かした。真夏の車中泊で快適に過ごすには何が必要なのか。ちょっとしたコツを紹介する。  私はこれまで20年以上も車中泊を続けてきた。もともと旅行が大好きなのだが、趣味の狩猟で使役している猟犬を連れていかね

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          港町にある「トトロの家」。アニメファン必見の聖地?

           田舎の町を歩いていると、とんでもない空き家に出会うことがある。高知県西部の土佐湾に面した須崎市。なんと、ここには「トトロの家」があるのだ。スタジオジブリが制作し、1988年に公開された名作アニメ「となりのトトロ」。空き家はその世界観を見事に表現している。あなたがファンなら、須崎に急げ。そこには、なんとも不思議な世界がある。  JR土讃本線須崎駅から歩いて10分ほど。「トトロの家」は、住宅街の一角にひっそりとたたずんでいる。  鉄筋コンクリートの建物は蔦で覆われ、周囲には草

          港町にある「トトロの家」。アニメファン必見の聖地?

          祖先の霊を迎える「水棚」 高知のお盆に起きる奇跡とは

           亡くなった家族や祖先の霊が、1年に1度だけ家に戻ってくるお盆。私が住む高知県須崎市の集落でこの夏、今では珍しくなった手づくりの「水棚」が登場した。竹やヒノキの葉などを組み合わせた水棚は、手間がかかるためほとんど作られることがない。「霊が音を立てて帰宅を告げた」という不思議な話もあり、住民は特別な思いで昔ながらの風習と向かい合っている。    水棚は精霊棚の一種である。高知県では各地に残り、地域によっては「施餓鬼棚」「棚」などと呼ばれる。今回紹介する水棚は、私の中学、高校

          祖先の霊を迎える「水棚」 高知のお盆に起きる奇跡とは

          世界最速の「白鳥おどり」5 その魅力に迫る

           「なんだ、これは?」ー7年前の夏。郡上市白鳥町の「白鳥おどり」を初めて取材した夜、カメラを手に路上で立ち尽くした。自分が今まで経験した盆踊りとは全く違う。「白鳥マンボ」の別名があることは知っていたが、 アップテンポな曲は盆踊りの枠をはるかに超えて激しい。「世界最速」の表現は誇張ではない。そこには、妖しいエネルギーに満ちた踊りの輪がある。  白鳥町は長良川上流部の小さな町だ。周囲は山で囲まれ、冬は雪に見舞われる。中日新聞白鳥通信部に勤務していた時は、毎日のように雪かきに追わ

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          世界最速の「白鳥おどり」4 若者や移住者が継承

           「ヘイ、ヘイ、ヘイ!」。短パンにTシャツの若者が、空に向かって腕を突き上げた。白鳥おどりの人気曲で、世界最速の盆踊りとも呼ばれる「世栄」だ。おはやしのテンポはどんどん速くなり、音頭取りは何かに取りつかれたように叫ぶ。地元の中高校生だろう。最後は通りを走り、飛び跳ねながら踊った。  郡上市白鳥町の白鳥中学校は3年前から、白鳥おどりの継承に力を入れている。生徒たちは講習会や下駄づくりのほか、浴衣の着付けも経験した。7月20日の白鳥おどり発祥祭では、生徒会執行部が司会進行を担当。

          世界最速の「白鳥おどり」4 若者や移住者が継承

          世界最速の「白鳥おどり」3 裏方が支える踊り会場

           14日午前4時過ぎ。郡上市白鳥町白鳥の新栄町に据えられた踊り屋台が、出番を終えて動き始めた。新栄町での徹夜おどりは今回が初めて。前夜から10時間以上も裏方を務めた人たちが、重さ2㌧を超える屋台を力いっぱい押す。「おどりは思った以上に、にぎやかしかった。眠くてたまらんが、やってよかったわ」。リサイクル店経営和田幸弘さん(65)が、まだ暗い空を見上げた。  中心市街地8会場を巡る「白鳥おどり」は、深刻な人手不足に悩む。これまでは商店主らでつくる発展会が運営の中心となってきたが

          世界最速の「白鳥おどり」3 裏方が支える踊り会場

          世界最速の「白鳥おどり」2 インバウンド誘致のため活用

           徹夜おどり開幕直前の13日夕、郡上市白鳥町の白鳥おどり体験施設「世栄」で初の講習会があり、観光客ら約40人が集まった。施設はインバウンド(訪日外国人観光客)の誘致を目指し、今年秋以降に本格稼働する。中部縦貫自動車道福井~岐阜県間の工事が大詰めを迎える中。白鳥おどりを活用して新たな人の流れを呼び込む動きが加速している。  体験施設は長良川近くの道の駅「清流の里しろとり」にある。壁面は踊り会場の写真で埋め尽くされ、映像を流す大型モニターも設置されている。講習会では、白鳥踊り保存

          世界最速の「白鳥おどり」2 インバウンド誘致のため活用

          世界最速の「白鳥おどり」1 徹夜おどりに魅せられる

           岐阜県郡上市白鳥町で21夜も続く「白鳥おどり」。8月13日には計3夜にわたる「徹夜おどり」が始まった。人々は午後8時から翌朝4時まで、何かに取りつかれたように踊り狂う。昨年12月まで勤務した中日新聞から、白鳥おどりに関する記事の寄稿を依頼された。連日の猛暑だが、行かねばならない。 12日夜から徹夜で高速道路を走り、長良川上流の町を目指した。  私は中日新聞を定年退職後、白鳥町にある「白鳥通信部」に赴き、嘱託記者として6年間働いた。今回の徹夜おどりは、なんと現在は廃止された

          世界最速の「白鳥おどり」1 徹夜おどりに魅せられる

          清流にゴミ放置 地に落ちた川遊びのマナー

           高知県須崎市の「新荘川」で、水遊びに来た人たちによるゴミの放置が後を絶たない。県内有数の清流として知られる新荘川では1979年、絶滅した「二ホンカワウソ」が最後に目撃された。地元の人々が誇りにし、みんなが訪れる川をなぜ汚すのか。最低限のマナーすら守れないなら、水辺に近づいてほしくない。 河原は処分場か?  新荘川は津野町の鶴松森(標高1000㍍)に源を発し、24本の支流の水を集めて須崎市の須崎湾に注ぐ。長さ24.1㌔の小さな川だが、アユやハヤ、ヨシノボリなど多くの命を育

          清流にゴミ放置 地に落ちた川遊びのマナー

          犬の海水浴 南国の猛暑を泳ぎ切る

           大変な暑さである。私が暮らす高知県須崎市も先日、38度3分という最高気温を記録した。地球温暖化に加え、偏西風と黒潮の蛇行も影響しているというが、38度を超える酷暑などたまったものではない。高熱を出した子どもを100人も背負っているようなものだ。年中、毛皮で暮らす猟犬マイヤーが「親方、どこかで涼まにゃ、やってられんぜ」と嘆いた。同感だ。こうなったら、海で泳ごうじゃないの。自宅から車で30分。土佐市宇佐町の「竜の浜」に走った。  愛車は車齢30年近いボロ・ジムニーだから、エア

          犬の海水浴 南国の猛暑を泳ぎ切る

          命を守る津波避難タワー もっと活用を

            南海トラフ地震による大きな被害が予想される高知県では、土佐湾の沿岸部に100基を超える「津波避難タワー」が立っている。県内の津波は最大35㍍にも達し、場所によっては地震発生後5分足らずで押し寄せる。タワーは住民の命を守る重要な拠点だが、まだ1度も訪れたことがない人もいる。おまけに夜間は閉鎖され、壁を壊さなければ入れない。こんな状況で、1分1秒を争う避難ができるのか。地域の砦ともいえる施設が「特別な場」であってはならない。平時から施設をイベントなどで活用することで、もっと住

          命を守る津波避難タワー もっと活用を

          土佐赤岡の「絵金祭り」 ろうそくの光に浮かぶ芝居絵屏風

            和ろうそくの光が、軒先に飾られた「芝居絵屏風」を照らし出している。色鮮やかな絵は生々しく、どこかおどろおどろしい。高知県香南市赤岡町で7月20、21の両日開かれた「土佐赤岡絵金祭り」。江戸末期の絵師金蔵(1812~1876)が描いた作品を楽しむ行事は、幕末から150年以上も続いている。  赤岡町は高知市から東に約20㌔離れた海辺にある。高知で「絵金」と呼ばれる金蔵はこの町で描き続け、優れた芝居絵屏風を残した。祭りでは、町の人々が大切に守ってきた作品23幅が毎年展示されて

          土佐赤岡の「絵金祭り」 ろうそくの光に浮かぶ芝居絵屏風

          山の侵入者 バトル・オブ・家庭菜園

           「あーあ、やられた!」  自宅の裏にある畑で、思わず絶望の声が出た。収穫間際のスイカが食べられ、全滅しているのだ。縞模様の厚い皮が見事に割られ、赤く色づいた実がむき出しになっている。  獣害除けのネットをかぶせていたのに、たった1夜でこの始末。楽しみにしていた夏の味覚は幻となった。犯人は山の獣である。作物の被害はこれだけではない。今年春、自給自足を目指して始めた家庭菜園は、今も侵入者の脅威にさらされている。 犯人はハクビシン。鮮やかな犯行  「やばいかもしれない」。  

          山の侵入者 バトル・オブ・家庭菜園