中山道雄

元中日新聞記者。愛知、岐阜、長野、滋賀県で43年間にわたる取材活動を続けた後、故郷の高…

中山道雄

元中日新聞記者。愛知、岐阜、長野、滋賀県で43年間にわたる取材活動を続けた後、故郷の高知県にUターン。初めての農業に挑戦しながら、猟師として山に入る。狩猟、射撃、釣り、キャンプ、車中泊旅行などアウトドア全般が趣味。田舎暮らしの楽しさや自然の魅力、地域の話題などを発信します。

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イルカの親子が土佐「柏島」に長期滞在。みんなのアイドルに

 高知県南西部の太平洋に浮かぶ「柏島」。国内有数のダイビングスポットとして知られるこの島で、野生イルカの親子が4年以上も長期滞在している。周囲約4㌔。2本の橋で陸とつながる島には、季節を問わず国内外のダイバーや観光客が訪れる。海の向こうからやって来たイルカは、今日も穏やかな湾内を泳ぎ、気ままな暮らしを楽しんでいる。  幡多郡大月町の柏島は人口約500人。断崖が続く海岸は複雑な地形を見せ、海中に珊瑚が群生する。  海の透明度は極めて高く、沖に少し出るだけでダイビングができる。

    • 足摺岬の目覚まし時計付きキャンプ場。野良ニワトリの恐怖

       「おやっさん。あのくされニワトリ、わしが獲ってもええですかいの?」。高知県土佐清水市の足摺岬。キャンプ場で車中泊していた愛犬マイヤーが、物騒な目つきで言い放った。6月4日午前4時半。まだ夜明け前の山中に、けたたましく響く「コケコッコー」。それは、猟犬とニワトリが激突する仁義なき戦いの幕開けだった。 戦い前夜。星空を眺めての宴会  この施設は「唐人駄場園地キャンプ場」という。海を見渡す山の上に広がり、手入れの行き届いた芝生広場と炊事棟、清潔な水洗トイレを備えている。  す

      • クジラとサーフィンの海 土佐入野松原で黒潮の魅力を知る

         高知県西部の黒潮町大方地区。古くから漁業が盛んなこの地には、海に向かって美しい松林が広がる「入野松原」がある。松は戦国時代、長宗我部元親の重臣が囚人を使役して植えたと伝えられ、砂浜は長さ4㌔、幅200㍍にも及ぶ。太平洋の荒々しい波と、南国ならではの強い陽ざし。波打ち際には多くのサーファーが集まり、近くの道の駅「ビオスおおがた」では珍しいクジラの骨格標本が展示されている。有名な観光地ではない。しかし、高知を旅する機会があったら、絶対見逃してはいけないスポットだ。 サーファー

        • 犬の名前はどう付ける?4頭のブリタニースパニエルの命名

           あなたの家にかわいい子犬がやって来たら、まず最初に名前を付けてあげなければならない。犬といっても大切な家族だから、きっと悩むことだろう。これから先、何度も何度も口にする名前に、どんな願いを託すのか。私がこれまで生活をともにしてきた4頭のブリタニー・スパニエル犬について、その命名の由来をご紹介する。 初代「アニー」 私を狩猟の世界に案内してくれた名猟犬  ブリタニーはフランス原産の鳥猟犬で、フランス系とアメリカ系に区分される。私が最初に使役した「アニー」(女の子)は典型的

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          謎の「唐人駄場遺跡」を探る。足摺岬の巨石群の正体は?

           高知県の代表的な観光地として知られる足摺岬。太平洋に突き出した断崖に続く台地に、魔訶不思議な巨石が群立する「唐人駄場遺跡」がある。250を超える巨石は昔から「唐人石」と呼ばれ、ストーンサークル(環状列石)も存在するのだとか。高知最南端の岬を訪れ、謎に包まれた遺跡を歩いた。 知る人ぞ知るミステリースポット  高知県土佐清水市の足摺岬は、1年を通して多くの観光客でにぎわう。四国八十八ケ所の第38番札所「金剛福寺」もあることから、遍路の姿も途絶えることがない。荒々しい海と絶壁

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          高知県で最も美しい遍路道。海を見下ろす絶壁を歩く。

           四国八十八ヶ所の霊場を結び、総延長1400キロに及ぶ遍路道。高知県須崎市安和から中土佐町久礼に至る海岸ルートは、県内で最も美しい道とされる。弘法大師・空海の足跡をたどる遍路の旅は海外でも注目され、最近は白装束で歩く外国人が目立つようになった。地元に住んでいながら、これだけ有名なスポットをよく知らないというのは恥ずかしい。初夏の午後、猟犬マイヤーを連れて絶壁の道を歩いてみた。 海と山と空、ただそれだけの世界  須崎市中心部から国道56号を南下すると、道の駅「かわうその里す

          高知県で最も美しい遍路道。海を見下ろす絶壁を歩く。

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          すさきグリーン

          すさきグリーン

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          こんぴら狗になりたい。猟犬マイヤーが琴平に飛んだ❗

           香川県琴平町の金毘羅宮。古くから「さぬきのこんぴらさん」として知られた地にかつて、代参のため訪れた犬たちがいた。首に「こんぴら参り」と書いた袋を付けた犬は、旅人に託されて遠い道を歩き、飼い主に代わって参拝。無事に務めを果たすと、再び自分の家を目指した。長く苦しい旅を続けた犬は、金毘羅宮で何を見たのか。山育ちの猟犬マイヤーが、参道から御本宮まで785段の石段に挑んだ。 代参犬を支えた善意のリレー  自由な移動が制限されていた江戸時代。「こんぴら参り」は、伊勢神宮(三重県伊

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          八百比丘尼は土佐に帰った?謎の石塔と大地震の恐怖

           人魚の肉を食べたことから、不老長寿の体になったという「八百比丘尼」(やおびくに)。全国各地に残る伝説は、高知県須崎市の海辺の町でも語り継がれている。800年も生きた女は諸国を巡った後、懐かしい土佐に帰ったが、生まれた土地は大地震で海に沈んでしまった。須崎市多ノ郷の「賀茂神社」では今も、女が建てたという石塔を見ることができる。 八百比丘尼の石塔  須崎市上分の国道197号から、市中心部に向かう県道315号。賀茂神社は道路わきに鳥居を置き、田畑を見下ろす山のふもとに本殿を構

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          ブリタニー・スパニエル犬を語る②記者として生きたチェリー

          走れ犬記者!  フランス原産のブリタニー・スパニエルは、優秀な鳥猟犬として知られる。山や水辺で獲物を追い出し、ご主人が撃ち落としたところを回収するのが仕事だ。しかし、私が14年間生活をともにしたチェリーは、中日新聞の地方版で計125回もの連載を続けた「犬記者」だった。岐阜、長野、滋賀の3県をわたり歩き、さまざまな取材先を訪ねたチェリー。多くの人たちに愛された彼女の一生は、ブリタニーが社交性に富んで愛情深く、家庭犬の素質も十分に備えていることを証明している。  チェリーは2

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          ブリタニー・スパニエル犬を語る①

          名猟犬の起源を探る  フランス原産の鳥猟犬ブリタニー・スパニエル。30年以上も前に狩猟を始めた私は、この犬種を生涯の相棒に選んだ。4代目のマイヤーは岐阜県で成長し、現在は高知県の山々を駆け回る。聡明で敏捷。何よりも飼い主に忠実な彼は、私にとってかけがえのない存在だ。現在、2歳10カ月。典型的な仏系ブリタニーであるマイヤーとの生活は、刺激とスリルに満ちている。  3年前の夏。マイヤーは、私が当時勤務していた岐阜県郡上市にやって来た。東京都内のブリーダーから直接引き取り、新幹

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          林道ウオークのススメ

           「あなたが登山をしたいと思ったら、どうするか?」  まずは最新のアウトドアウェアをそろえ、名前が知られた山を目指す。険しい山なら泊りがけだし、ガイドが必要になるかもしれない。  しかし、あなたが田舎暮らしをしているなら、ことは簡単である。ほら、すぐ近くに林道の入り口がある。日本各地に毛細血管のように張り巡らされた道が、あなたを豊かな自然の中にいざなってくれる。 山への最短ルート  そもそも、林道とは何か。林野庁などによると、林道は幅員3メートル以上の自動車道で、森林の中

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               追憶の平家埋蔵金

           「この山には平家の落人が残した埋蔵金がある」ー今から50年以上も前。そんな伝説を信じて高知県須崎市上分の山奥に入り、財宝探しの末に命を落とした男性がいた。  当時、中学生だった私は1度だけ、財宝が眠るという〝現場〟を見せてもらったことがある。あれは「銭神岩」と呼ばれる場所で、山頂近くに深い穴が掘られていた。  木々の枝に張り巡らした万国旗が風に揺れる。男性は地中から出たという岩を指さし、「これが安徳天皇の墓石だ」と話していた。途方もない夢を語る男性は「変わり者」「山師」と無

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          謎の猫神社

           高知県中部にある須崎市。雄大な太平洋を望む町に、なんとも不可思議な神社がある。  その名は「猫神社」。地元でもほとんど知られていないが、文字通り猫が神として祀られている社だ。  人口約2万人。小さな漁港が点在する海辺の町で、なぜ猫が信仰を集めているのか。愛犬マイヤーを連れて現地を訪ね、その謎に迫った。  知られざる猫の聖地  須崎市中心部から車で約10分。猫神社は、須崎湾沿いの細い道が行き止まりになる箕越という集落にたたずんでいる。木造の社は高さ2メートルほどあるだろう

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