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審査員のえみちゃんが好きでした

毎年開催されているピン芸人の頂点を決める大会、R-1グランプリ。数年前から芸歴10年以内という縛りがつくなどいくつかの変遷を経つつも、今年も例年通り、決勝戦が開催されることとなった。今年は審査員の大幅な変更があり、マルチタレント的印象が強い大御所、というよりは「ザ・ピン芸人」と呼べるような人たちを多く揃えた布陣となり、そこもお笑いファンからは大きく注目されている。豪州に在住している自分はリアルタイムでは見れないだろうが、結果を確認してから何かしらの方法でじっくり各芸人さんのネタを見たいものである。

こういったお笑い賞レースは数あれど、国民の中で最も浸透しているものはやはりM-1グランプリではないだろうか。

M-1関連のことについては過去のnoteでもいくつか取り扱ってきた。



M-1も同様に20年以上の歴史の中で審査員を含む多くの変遷が行われてきた大会だが、最近では方針が固まってきたのだろうか。直近4大会ではルールなどについては勿論、審査員も特に変更なく実施されていた。

のだが、昨年のM-1にて一部の方々が自ら審査員の引退を宣言。この人たちの引退については毎年仄めかされてたが、今回はさすがにガチだろうと方々が述べていることから、マジなのだろう。


そんな引退をしてしまう大御所漫才師の一人が、えみちゃんこと上沼恵美子さんだ。

1971年に海原千里・万里としてデビュー。天才女漫才師として、その名を知らしめた。半世紀前の漫才なので若干古臭いところはあるかもしれないが、高校生とは思えないレベルの達者さだ。現役高校生でここまでできる人はいないのではと思う。


そういった実績や他のレジェンド漫才師からの信頼もあり、長い間審査員を務めていた上沼恵美子氏であるが、この方のM-1の審査については叩かれることがしばしばあった。某芸人さんがライブ配信にてえみちゃんの審査について暴言を吐いたことも記憶に新しいのではないだろうか。

主なえみちゃんに対するバッシングの文言はこれである。


「好き嫌いで点数をつけていないか?」


確かに上沼さんの、特に高得点を出した後の講評では、「大好き!」「フアンになりました(えみちゃんはファンのことをフアンと発音する)」などといった発言が多いし、そういった芸人さんに対して「ちょっと高すぎるんじゃないの?」といった点数をつけていることも時々あるかもしれない。


だが、ある程度の好き嫌いによる点数の変動は仕方ないことだ。


例えば過去にトム・ブラウンに97点、そしてランジャタイに96点をつけた立川志らく師匠は常軌を逸したぶっ飛んだネタを好み、そういったネタに辛めな点数をつけがちなオール巨人師匠は発想より見栄えやテクニックを優先する傾向が強いように感じる。野球でも高めが好きな審判もいれば低めでストライクを取りがちな審判がいるのと同じだ。人間が審査している以上好みで点数が動くのは仕方ないことであり、むしろそこが審査を見る面白さでもある。80点台が続く中一人だけ100点、などとするとさすがに審査員としてマズいが、上沼さんはあくまで許容範囲で好みを点数に反映させているように思う。


そして、僕はえみちゃんの講評が好きだった。


今までの講評ではちょっとズレてんじゃないの、と思うような発言もいくつかあったが、えみちゃんの講評にはどの審査員にも勝る熱さがあった。誰よりも感情を露わにして出場者たちを称える姿には、テレビを通して観ているこちら側の感情まで揺さぶられる。講評だけではない。立ち上がったり、拍手したり、誰よりも強いリアクションで漫才を楽しんでいたのがえみちゃんだ。プレイヤーを引退しても、今も尚漫才に対する熱は健在なのである。その熱さが故に2017年のM-1ではマヂカルラブリーさんが生放送でこっぴどく叱られるという事態が発生したが、あれもあれでM-1らしい事件だったように思う。そして数年後、それを一部フリとして使う形でマヂカルラブリーは優勝。野田クリスタルさんが土下座で登場して笑いをかっさらったのはえみちゃん有りきだと言えるだろう。


「やっぱりもう1年やります!」みたいなことを言ってまた巨人師匠と一緒に帰ってきてはくれないのだろうか。今年のM-1までにはまだまだ時間がある。スタッフさんが必死に頼み込んでの続投を期待してはいるが、もし本当の本当に引退するとしたら後釜は誰になるのか、といったところもまた楽しみではある。年末まではまだまだ長い。


そしてR-1グランプリは本日日本時間で20時から放送です。みてねぇー。

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