オススメの落語は?に対する回答
学生時代に落語研究部に所属していたことは何度か書かせていただいた。
その話を知人にすると、
落語に興味がある
という方に時折聞かれるのが次の質問。
「オススメの落語ってありますか?」
うーむ。
正直なところ…
これは大変困る質問なのだ。
この質問は、映画通の人が
「オススメの映画ってありますか?」
と聞かれるようなもの。
映画といえど様々なジャンルがある。
アクション、SF、ホラー、ドラマ、恋愛…
相手の好みがよく分かっていないのにオススメを紹介するのは至難の業。
マニアともなれば100以上もの作品が脳内をグルグルすることだろう。
特に落語に関しては個々人で噺(はなし)の好きになるポイントがかなり違うので、
「オススメの演目を人に教える」、というのは極めて難しい。
しかし、聞かれて何も答えないというのも申し訳ないところ。
なのでこういった質問をされた時には、別の答えを用意することにしている。
「オススメの演目ではなく、オススメの落語家さんを紹介する」
以前の記事でも述べたように、同じ噺でも演じる落語家さんによって違いが生じるのが落語の面白いところ。
特にあまり落語を聴いたことがない方にオススメの落語家さんを紹介する時は、古典落語でも比較的噺を分かりやすくやっている方や、現代風の演出を入れつつやっている方などを紹介するようにしている。
例えば誰だろう、ベタだけど志の輔師匠とか?
噺の分かりやすさと歯切れの良さ、
抜群のセンスを鑑みれば
これほど初めての人への安定択はないように思える。
他に現代風でとにかく面白い落語となると、
キョンキョン師匠とか一之輔師匠とかだろうか。
マイルドな雰囲気で親しみやすい上に、噺も入ってきやすい。
時々入る、噺の世界を崩さない程度のメタ発言も面白い。
実際海外という生の落語が一切聴けない現環境で、「久々に聴きたいなぁ」となって再生するのはこのお二方の落語であることが多い。
昨日久々に聴いた某そばのやつ、面白かったなぁ~
なんかミーハー的答えになってしまったけども、
初めての方にオススメするならまあそのくらいが良いのでしょう。
一応「噺」という観点でオススメのものを紹介する場合にも、予備知識がいらないような「分かりやすい噺」を選択することはできるにはできるのだが…
その「分かりやすさ」というのも演じる人によって変わってくる場合が多々あるのでやはり演目より演者を薦めるべきなのかなとは今でも思う。
ちなみに僕が一番最初に聴いた落語は、笑点で見ていた六代目三遊亭円楽師匠の初天神。
入口としてはかなり良かったと思う。
そこから色々聴いて最終的に家元にのめり込むことになるのはまた別の話。
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