詩とクックパッド

クックパッドがなくなるかもしれない。

とのニュースは世の女性たちを震撼させた(?)。が、最新の報道ではどうやらそれは回避されそう。

クックパッドの人気の理由は、素材から料理を考えられる点にある(らしい)。クックパッドの人気の料理はおいしい(らしい)。

素材から手軽に料理法がたどれ、足りない材料は近くのスーパーの特売情報で補完してくれるというのだから、冷蔵庫片付け隊(のような名称をうろ覚えしている)のみなさんには重宝かもしれない。

ところで(とここで詩の話になるが)、詩も素材と考えれば、そこから出発するアプローチがあっていい。というか、現実にはそのニーズの方が高いだろう。

だから、素材である詩の「料理法」を手軽に教えてくれるところがあれば、きっと人気になるはず。だけど、俳句や和歌について、そのアプローチを取ったものを、寡聞にしてまだ見たことがない。だいたいは「料理法の基本」から出発している。

「英詩のクックパッド」は可能なのか。ぼくは可能だと思う。

ただし、やっぱり最低限の常識は必要だ。塩5gの意味がわからない主婦はいない。けれど、行あたり5強勢の意味はたぶんわからないだろう。キュウリの端っこを切り落とすのはふつうのことだ。けれど、行の端っこの処理の仕方はたぶん知らないだろう。などなど。

だけど言い換えれば、これらの「常識」さえ身につければ、あとは「素材」からのアプローチはじゅうぶん可能なのだ。

たとえば、ジャック・アタリの『21世紀の歴史』(フランス語原書、日本語訳)の冒頭に引かれたバイロンの詩をポーンと出して、さあ、これを料理するには? とやったっていい。

たとえば、エマニュエル・トッドの『シャルリとは誰か?』の冒頭のブレイクの詩をポーンと出して、さあ、これならどう料理する? とやってもいい。

あるいは、ボブ・ディランのこの歌、ジャクスン・ブラウンのあの歌、ブルース・スプリングスティーンのこの歌、ニック・ドレイクのあの歌、ジョニ・ミッチェルのこの歌、スザンヌ・ヴェガのあの歌は? でもいい。なんでもいい。

いつも眼前にあるのは「素材」であって、それの「料理法」が求められている。このシンプルな事実に立脚すれば「英詩のクックパッド」は可能と思う。ぼくの英詩のマガジンはそうなろうとしている。受付はあと3日のみ。

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