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☆本#87 「愛を知らない」一木けい著を読んで

多分書評を読んで興味を持ったと思うんだけど、途中まではイマイチだった。

読後思ったのは、誰も死ななくてよかった、ってこと。後半少しヒヤヒヤした。

語り手は男子校生。支離滅裂と思っている問題児のイトコ(橙子)と同じ高校に通っていて、ある日合唱のパート担当の件でクラスメイトと共に彼女に関わることになる。

そして、彼女が里子で実は嘘つきじゃなくて真実を語っていたことを知る。

黙っていたことがバレて対峙する母子のやりとりはかなり衝撃的なシーンだった。酷すぎる。拗れてしまい過ぎ…。

以前ドキュメンタリーで見た、里子のコメントを思い出した。

彼女の里親は厳しい人で暴力を振るわれた。何度も。青痣ができて、ある時耐えられず学校の先生に相談した。けど、信じてもらえず、むしろ自分のせいじゃないかと言われた。彼女の心はこれで折れてしまった。

一方、ずっと相談相手として18歳過ぎても交流が続いてる人もいる。

養子じゃなく実子とする場合は審査等がとても厳しいらしいけど、里親の方はどうなんだろう。こっちは政府からお金も出るし、多分それなりの審査はあると思うけど。条件は調べられても内面はわからない。相性もあるだろうし。

最後、橙子は勇気を出して合唱に参加し、賞を獲って、外に踏み出す。

まだ10代なのに…。いずれにせよ、過酷だ。

勇気は行動を導き、その結果が心を鍛え強くする。そして、周りに影響を及ぼす。

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