見出し画像

☆本#156 「ポトスライムの舟」津村記久子著を読んで

芥川賞を獲った表題より、著者の受けたパワハラ経験が描かれているという作品に興味を持って読んだ。後者の方が心象風景っぽい感じもあり芥川賞っぽいけど、受賞作の前年に書かれている。しかも、こっちはミステリー要素もある。

表題作は、ちょっと芥川賞というのが意外だけど、独特の世界観はある。意外というのはメンタル系寄りではないから。
工場のラインで働いてる20代女性が、ある時職場の広告で自身の年収と世界旅行の費用が同額と知り、貯金に励むことにする。が、大学の友人の離婚やいろいろあってなかなかたまらず。

人生っていろいろあって悩ましい。けど、ある日目標額が溜まっていることに気付く。ボーナスが出てたのだ。しっかり地に足がついてる。

もう一つは、パワハラがイタイ。これは確かにメンタルやられるだろうな。けど、こういうパワハラする人って意外としぶとく生き残るというか。ある意味コミュ力が長けているのだろうか。大手より、中小企業でいるほうが権力を持っていたりすると質が悪い気がする。こっちも主人公の20代後半女性は、他社の人のためにある正義的活動をする。その行動は結局主人公にとって大事な一歩だったかも、自分が決断するための。

著者は、新卒で入った会社をパワハラで退社したという。就職氷河期世代なので、その点を加味した描写がある意味新しかった。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?