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☆本#195 人生いろいろ「私の『貧乏物語』」岩波書店編集部編

作家、教授、写真家等様々な職業の36名の貧乏に関する話。人数が多いので、それぞれ2,3ページくらい。

印象的だったのは数名。
例えば吉田類の不幸連鎖の話。TVで見る際穏やかな人とは思っていたけど、その裏には思いのほか悲しい出来事があった。
楽しいこともあったとは思うけど、この本はテーマ上楽しい話の流れがない。

しかし、フランスにいる助教授の話は身の丈を知ると人生楽しく生きられる的印象を受けた。この人は、日本の大学に在学中、放浪の旅に出たり、海外で技術通訳をしたりして、結局大学は除籍になり、フランスに移住する。そのとき24歳。そこで、中高を中退した人も行ける学校へ行く。そこは、入学試験がなく、必須科目も進級試験もない。有名な教授陣がいて、指導教授と相談しながら研究を進め、論文を書く所。こういう学校は日本にはないのかな。あればいいのに。
最後に、以下の言葉に共感。それにしても、外国に移住って、学生VISAかちょっと気になる。

社会で成功しなくても良い。人生にはもっと大切なことがある。自分が本当にしたいことだけをやる。自分にしかできないことをやる。理由はわからないが、やらずにいられない。だから、やる。それで良いではないか。

もうひとりは、写真家の女性。子どもの頃両親が離婚し、小学生の時父親が亡くなり、追うように兄もなくなる。母親がシングルマザーで頑張るもがんが見つかり、生活保護を受けるか迷う。受けてしまうと、彼女の進学等に影響が出る。のちに、いろいろ対策方法があったことを知るも、当時は10代だったから役所の職員の話のみで判断し、生活保護を受けず、母親は無理に働き続ける。運よく、学費免除の大学を見つけ進学し、卒業とともに母親がなくなる。
失礼ながら小説のような話だと思ってしまった。学費免除の学校も見つかるし。現在は、コロナの影響で学費免除とか奨学金制度が増えているようだけど。現在、彼女は、母親の好きだったことを自分が続けている。

子ども時代に大変だったひとは、子ども時代から濃い人生を生きている印象、というか生きざるをえなかったのか。

苦しみに限らず、経験はその人の血となり肉となる。

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