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☆本#168 「シュガータイム」小川洋子著を読んで

女子大生が主人公の長編。

主人公は母親が亡くなった後で引き取られ、新しい母親と弟ができる。弟はその後難病と分かり、身長が子どものまま止まる。高校を卒業すると神学の修行を始める。

主人公には大学院の彼氏がいる。けど、彼の事情でプラトニックな関係。それを心配した彼の友人から心療内科を勧められ、彼は断れず行く。ある日彼女も連れてくるよう言われてふたりでいくも的外れな感じで行くのをやめた。と思っていたら最後の方で違う展開が待っていた。

ストーリー開始時に主人公が過食症であることが判明してるけど、太った気配はなく、治る気配もない。食材を大量に購入してもお金が尽きることもない。親友も試しに過食に付き合うけど、結局解決せず。

ある日、親友とその彼氏、主人公とその彼氏、弟で大学野球を見に行く。が、主人公の彼氏が来ない。バイクを運転中、交通事故に巻き込まれたのだ。彼は軽症だけど、後ろに乗せてた女性が重傷を負う。

20年以上前に書かれた作品なので、メールというツールがなく、事故後主人公はただただ彼からの連絡を待つ。大学で偶然会うも、これまではなんとも思わなかったのに、2人の間の沈黙を居心地悪く感じ、彼は急ぐからと方向音痴の彼女を知らない町に置いて去る。

で、手紙が届く。嫌な予感は当たる。

内容は知的で思いやりがある風だけど、要は心療内科でボランティアを勧められ、対話を始めた患者の女性と共に留学先へ行くという別れの手紙。ふたりは、そもそも対話を勧めた医師が予感した以上にフィットした相手だったのだ。

その後、主人公はコース料理を作って、弟に振る舞う。このシーン、思いやりと慈しみと癒しを感じる。

ネットが普及されてない時代と今ってくっきり違う。




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