稽古も本番も打ち上げもすべてZOOMというリモート舞台に関わって感じたこと。
先日、初めてリモート演劇用の脚本を書きました。
「夏の終わりのオンライン婚活」という作品です。
主催のSFIDA ENTERTAINMENTさんでは、顔合わせも稽古も本番も打ち上げもすべてZOOMで行っています。
私もLINE通話でプロデューサーから脚本の依頼を受け、打ち合わせや原稿のやりとりはすべてLINE上で行い、LINEにWORDの脚本データを送信しています。
役者もスタッフも最初から最後まで直接顔を合わせることはありません。打ち上げですらZOOMで行われます。少しさみしいけれど「いつかきっとリアルでお会いしたい!」というアフターコロナの楽しみができたと思うようにしています。
ZOOMで上演する劇の脚本を書いてほしいと言われて、すぐに自分の頭に浮かんだのは、先日参加した「オンライン婚活」のことでした。ZOOMで初対面の異性とマンツーマンでお話するというあの時の不思議な感覚を舞台に取り入れてみたい。そう考えて「夏の終わりのオンライン婚活」という作品を書き上げました。
登場人物は男女4人で、全員婚活中です。
・おとなしい女性
・肉食系女性
・大人男子
・爽やか系男子
という4人がオンライン上で初めて顔を合わせ、誰を好きになり、誰に告白タイムに告白するか・・・。
という、まるで実際のオンライン婚活をリアルに観察しているかのような、楽しい作品になったかと思います。
上演画面はこんな感じでした。変わった頭の人は司会者です(笑)
(画像元:https://twitter.com/SFIDA2019/status/1306957808462487559)
役者さんはリモート芝居に、最初かなりの違和感を感じたそうです。何しろ普段の舞台稽古は役者さんスタッフさんたちでワイワイと作り上げていくものなのですが、稽古の時も演じている時も自宅でひとりきりです。演じていてもお客様の反応が返ってこないので、果たして自分の演技が受け入れられているのかどうかもわからず、最初は怖かったのだとか。
とはいえさすが役者さんです。次第に気持ちが乗ってくるらしく、涙を流しながら熱演する役者さんも何人もいます。そしてお客様も、ご自宅でもらい泣きしたり……。新しい時代の新しい演劇の楽しみかただなと感じています。
なぜZOOMでリモート演劇かというと、コロナ禍での苦肉の策でもあったと思います。舞台を上演したくとも、ひとり感染者が出ると公演を中止にせざるをえない状況もあり、リアルな公演をすることに勇気が必要な時期だからです。
どうせ上演するのなら、いっそZOOMの特性を生かした舞台にしてしまおう!というのが私やプロデューサーさんの気持ちでした。なので、ZOOMだからこその設定をあれこれ使っています。好評なようで嬉しいです。#オン婚 は、今回の舞台のハッシュタグです。
こちら、プロデューサー&演出の小郷拓真さんがアイデアマンで、いろいろな工夫をしてくださっています。その幾つかをご紹介します。
・無料で制作会見を配信する
参加役者全員の自己紹介が行われるため、親近感が湧いて、上演が楽しみになりました。
・見放題プランがある
普通の舞台だと座席数の関係で見放題チケットはまずありませんが、オンラインなので見放題プランを作りました。全11公演ですが、3回以上観賞すれば見放題料金がトクになります。お客様は何度でも公演を観ることができます。
・同一キャストでの公演が二度とないフルシャッフル公演を行い、飽きないように工夫する。
別のキャストだとどんな感じになるのだろう?あの役者があのキャラを演じたらどうなるのだろう?と気になってしまうため、何度もリピートするお客様が出ました。
・男女逆公演、オール女性公演、オール男性公演がある
特別回としてこのようなスペシャルなものも・・・。
キャストさんの工夫を凝らした男装や女装も楽しめてしまいました。
こちらは女優松尾彩加さんの男装姿です。凛々しいですね・・・(≧∇≦)
(画像元:https://twitter.com/mto_ayk/status/1305081265196941312 )
・日替わりのアドリブが10箇所以上ある
いろいろと日替わりの部分があるので、今日はどんなことがあるだろう?とお客様も楽しみにされていました。
・楽しいアフタートーク
上演中はチャット機能は使えませんが、終演後、チャット画面に感想を書き込むことができます。役者さんに「👏」という絵文字で拍手を送ることもできます。アフタートークが10分ほどあるので、その時に役者さんにチャットで質問を送ると、読み上げてもらえることも!
こんなに楽しいリモート舞台ですが、ハプニングがどうしてもついてきます。それは回線事情です。
演じている途中で役者さんの回線が突然落ちてしまうことや、動きがスローモーションのようになってしまうこと、音声が少し遅れて届いてしまうことなど、リアルタイムのオンライン劇だからこそのハプニングにも見舞われています。役者さんの自宅の部屋の窓の外から救急車の音声が聞こえたり、チャイムがピンポンと鳴ってしまったことも・・・。
その時は、とっさの機転で乗り切っていただいています。回線が落ちた役者さんはすぐさま戻ってきてくれました。普通の演劇でも時々ハプニングが起き、その時もとっさに乗り切るのと同じで「試される瞬間」なのですが、見ているスタッフはハラハラです。そして、お客様にはハプニングもまた楽しみのひとつのようです。
さらに思いがけない反応も・・・。
遠方にお住まいで、コロナ禍でなかなか東京まで演劇鑑賞に行けない、というお客様がたの喜びの声です。リモートでなら劇を観ることができる!ありがたい!というお声をいただき、ZOOMでの上演の可能性をますます感じました。オンライン上演だったら、海外からも日本の演劇を観ることができるのかもしれませんね。
いろいろな仕掛けやハプニングがあるZOOMでの舞台上演。
ご興味あるかたに、リモート演劇を体験していただけたら嬉しいです♪
「夏の終わりのオンライン婚活」9/27まで上演中!
上演詳細はこちらです。
https://natsunoowarino.themedia.jp/pages/4122539/page_202008081146
有料ページでは、新しく始まった「リモート演劇」というスタイルの脚本のコツについて、私が経験したことを5つのポイントにしてまとめています。これから書いてみたい!というかたに、お役に立てば幸いです。
新型コロナウイルスが収束したというわけではない今日この頃、リモート演劇の需要も、しばらくは続くのかもしれませんね。
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