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いつか…が全然来ないけど。

いつか行きたいなって初めて思ったのはきっと小学生の頃。

通称ベルばら、ベルサイユの薔薇の漫画を見て、いいなって思った。そこから、ヨーロッパ史に興味を持つほどはフランスに憧れを持った。エッフェル塔やモン・サン・ミッシェルに行きたいとずっと思っていた。

初めて外国を訪れたのは高校生の時だが、それからある程度自分でお金をかせげるようになって、自分の資金で遊べるようになってくると、それなりに海外旅行も楽しんだ。

初めてはイギリスで、ロンドン。それから5年ほどして、今度は一人旅でロンドンに。一人だとまた違っていいなって思ったり、意外と英語がほぼ話せなくても観光程度ならどうにでもなるんだなって思ったり、ビールとフィッシュアンドチップスを頼もうとしたら当然のように年齢確認をされたり。海外一人飲みの経験はこの時でした。最初はハリーポッターがきっかけでロンドンに行きたいって思っていたんだけど、きっかけをいつの間にか忘れていて、2回目は当時はまっていたビートルズゆかりの地も。

時間的にも金額的にも行きやすいアジア圏ももちろん。韓国や台湾の味はやっぱり馴染みがあって、ご飯がおいしかった。香港で一人でみたシンフォニー・オブ・ライツも綺麗だった(日本でイルミネーションを一人で見てもなんだか寂しくなるのに不思議)。フィリピンではリゾート地とスラム街の格差に愕然とした。アンコールワットは当然にように美しかったし、インドでは「インドにいって人生観変わった」って言いたくなるのも理解できた。ベトナムの夜のカフェで食べた甘ったるいチョコケーキは苦手だった。

ドイツのクリスマスマーケットで飲むホットワインはいつもより美味しくて、モロッコの砂漠で朝日を見るためなら普段嫌いな早起きなんてどうでも良くなる。ニュージーランドの道端で普通に見かける羊に驚いたり。


で、この思い出の列挙の中にいまだ出てこないフランス。

まだ行けていないフランス。


意識的に避けていたのもある。なんとなく、ちょうど旅行に盛んに行っていた頃、それなりに新婚旅行に憧れがあった時期でもあった。こんなに恋い焦がれる国は大好きな人と行きたいと思っていた。

ルーブル美術館で一日時間を潰すっていいなあ、とか。モン・サン・ミッシェルに行くときは、豪華なホテルなんかじゃなくて家庭的なこじんまりしたホテルに泊まりたいなあ、とか。その隣には同じようにフランス旅行を楽しんでくれるパートナーがいて。

世界一周も楽しそうだなって。バックパックひとつを背負って、という旅にあこがれていた時もある。その一貫で絶対フランスには行こう、と。

だが、しかし、人生というのはそう思う通りにはいかないものだ。何がどう間違って、フランスにいまだに行けないことになっているのか。

理由としては「結婚前に犬と共に暮らし始め、長期間の旅行を避けたくなったこと」「海外旅行にまったく興味がないパートナーに出会ってしまったこと」の2点だと思っている。

”パスポート取得から航空機の手配、ホテルの予約や観光スポットの確認まで全部やってくれるならついていくくらいはするけど”レベルで、全く海外旅行に興味がない。遠い、近いに限らず、全く。まあ、そんな奴をわざわざ引きずって遠出するんなら私は一人で行くと思った時から、この人とのフランス新婚旅行の夢は消えた。

まあ、二度目の結婚では新婚旅行はできないなんて決まりはないから、これからも続く人生、どこかでチャンスはあるのかもしれないけれど。

が、しかし、やっぱり愛するワンコと離れるのは不安だし、神経質なところもある我がワンコを飛行機に長時間乗せるのももっと不安。

子供の頃からの夢だったフランスと犬を天秤にかけると、もう間違いなく犬側に傾いていて、これはきっと、もうフランスは行きたい場所ではなくなっているなってことに気づく。

あの日想った「いつか」が来ない。

いつまで待っても来ないし、来てほしいとも思えなくなっている。だけど、来ない”いつか”をまだどこかで待っている自分にも気づいたり。どっちが本当の想いかなんて自分でも分からない。

最期、一人になったら行きたいなとは思っている。ワンコにもパートナーにも先立たれ、一人で生活するようになったとき、まだまだ動ける体力があるのなら、きっとフランスに行きたいと思っていると思う。

そう考えると、旅を楽しめる心と身体を維持していかないとなって思う。

きっと、いつか行きたい場所は、ずっと”いつか行きたい場所”であって、今行きたい場所ではないのかもしれないけど。その”いつか”を叶えるのが人生の最終目標でも楽しいかもしれない。






#一度は行きたいあの場所

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