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親不知抜歯記録①(右下)
抜歯に不安を抱える誰かの参考になると嬉しいな、という思いで書きました。
淡々と事実だけ書くのは苦手なので、どちらかと言うと感情や思考ベースで旅行記シリーズのような文体です。
そして、今のところDay1以外はあまり歯と関係のない、ただのインドアな連休の過ごし方の話になってしまいました。
とりあえずDay3まで書きましたが、今後体調の変化があれば書き足す可能性もあります。
②(左下)は8月中旬の予定です。
Day1 手術当日 信頼すること、ゆだねること
14時まで仕事して、職場近くで軽く遅めのランチ。これが最後の食事になるかもしれないと思い(大袈裟で悲観的に考える癖がある)、ここ2~3年は控えていた小麦粉(グルテン)たっぷり、乳脂肪がっつり、たんぱく質はちょこっとで、他の点からも栄養価低めだけどカロリーとお値段は高いラザニアを食べた。純粋に美味しい。
職場から自宅方面の電車に乗り、自宅の最寄駅から更に2駅先からバスに乗って総合病院へと向かう。
予約時間の40分前に病院に着くバスに間に合うように計算して電車に乗ったのに、電車が遅延し、しかも車両交換とのことで間に合わず。次のバスだと予約の20分前に着く。普通に考えれば余裕だが、遅刻に対する恐怖心が並大抵でない私はギリギリな気がしてタクシーを使うか迷う、が、ケチな部分が僅差で勝利し、冷静に次のバスを待つことにした。
バスが来る時間の5分前くらいからソワソワ。来なかったらどうしようとヤキモキ。こういうことに毎日エネルギーを使いすぎているから疲れるのだと思う。「焦る」のが苦手なくせに、自分で「焦る」状況を作っている。
ちゃんと時刻通りにバスが来て、予定より1分早く病院に着いた。ほら、大丈夫だよ!と自身に言い聞かせる。私に必要なのは、対象がなんであれ「信頼すること」と「ゆだねること」だ。
受付を済ませ、口腔外科の病棟へ。予約まであと15分以上あるのに間に合わないと思い込み焦り、血圧を測る機械のところでバタバタ持ち物をぶちまける。片腕は血圧測定中なのでなにもできず。いったん目を瞑り落ち着くが、焦って気が上昇したせいか、いつもスマートウォッチに表示される値よりちょっと高い。それでも平均よりは低めだけれど。
待合室には、同じような手術を受けると思われる人たちがいた。謎な連帯感を勝手に感じて安心する。みんな私よりずっと若いのにもっと落ち着いていた。
スマホを見るとソワソワしてしまうから、本を読みながら順番を待つ。予約時間を15分ほど経過して、ようやく名前を呼ばれた。
できれば同性の方が良いと思い、名前で選んだ女医さん。明るくテキパキと説明をしつつ、私が質問などする間も与えてくれた。
まずは歯茎に麻酔の注射。そもそも注射というものが苦手なのでこの痛みだけでヒーっとなり、手の震えが止まらない。恥ずかしいけれど、私は恐怖を感じると分かりやすく身体反応が出るタイプで、大勢の前で話す状況や、自分とは無関係でも怒っている人がいる空間、地震や台風などで安全が脅かされると感じると、自然と震えが起こる。
また、身体的な痛みや怪我、傷や血への恐怖心が異常に強く、採血の痛みもギリギリだ。昔は気絶しそうになって、健康診断の採血も横になりながらやってもらうほど。普段からものすごく慎重なのでほぼ怪我をしないし、ピアスも出産も経験しないまま中年になった。
いったん休憩させてもらい、バッグからタオルを取り出す。手の汗もすごい。そのタオルの端と端を両手でしっかり握ると震えは少し落ち着いた。
私の下の親不知は両方とも横向きに生えており、隣の歯との間に時々食べ物が挟まって取れなくなり、それが痛くなることがある。
これまで歯のクリーニングなどで歯科に行っても、親不知について指摘されたことがなく、自分でも気付いていなかったが、なんとなく奥歯に物が挟まる件を相談して、それが発覚したのが今年3月。いつか抜かなくてはならないので早めの方が良いとのことだが、町の歯科では出来ないからと、総合病院の紹介状を書いていただき、今に至る。
私の横向きの親不知は歯茎の下にあるため、いったん歯茎を切開し、歯を半分に割ってから取り出すとのことだ。
切開はさぞかし痛いのだろう、と思ったけれど、麻酔が効いているせいか、大きな音がする割に痛みがなかった。ただ、変な液体が大量に喉に流れてきてむせて、咳込んでしまった。
その変な液体は自分の血液だったらしい。恐ろしい。緊張で喉が締まっていたからむせたのだと思う。
また恐くなり、タオルを握る手に力が入った。舌が宙で踊る。器具に当たって切れたら嫌だなと思い、踊る舌を落ち着かせようとするが、余計に動き回る。全身にも力が入り、肩はガチガチ、靴の中で足の指が丸くなっていたほどだ。
こういう時こそ、10年以上やっているヨガの出番だと人生における伴侶の存在をようやく思い出す。
まずは呼吸だ、と思い自分の呼吸を観察すると、とても浅く速い。なるほど、と納得し、深くゆっくりした呼吸に切り替えてみた。すると、瞬時に踊りが止まらなかった舌が落ち着き、顔全体の緊張も取れて、今までより自然と大きく口が開いて、施術する側にもやりやすくなったと思う。
ゆったりした呼吸に身を任せ、自分の姿を俯瞰する。この病院や担当の医師、歯科衛生士さんたちを信頼しよう。ゆだねよう。と決め、頑張ることや戦うことをやめた。
そこからは全身からも力が抜けて、タオルも握らずにただ持っているだけ、になった。
やりやすくなったのか、施術も一気に進む。手術というより、道路工事みたいな感じだなと思う。歯を真っ二つに割る音が脳内に響く。自分の血液がどんどん喉の奥に流れていくが、もうリラックスしていて喉が締まっていないため、むせたり咳込んだりすることはない。
30分ほどで、歯の根元や周りの骨も取ったそうだ。傷口を縫合して終了。顎の力がちょっと疲れた。
手術後はほぼ絶食にし、ファスティングに近いことをしようとしていたが(直前にラザニア食べてる時点でアウト)、女医さんから毎食可能な限りしっかり食べるように、と言われる。
抜糸の予約をし、薬を受け取って病院を出ようとするが、駅行きの帰りのバスが終わっている時間だった。3分差で終バスを逃していたのだ。のんびりトイレなど行っていたことを悔やむ。
駅まで歩くと40分くらいなのか?雨の中、手術直後に徒歩はツラい。
タクシーは、自分で呼ばないと来ないそうで、電話恐怖症の私にはハードルが高い。
もう一度落ち着いてバスの時刻表を見ると、住宅地を巡回するバスが駅の近くまで行くようだ。3年前まで住んでいた場所の近くだから、土地勘もある。
ちょうどそのバスが来たから飛び乗る。念のため、運転手さんには本当は駅に行きたいということを伝えてみたら、本来の停車場所ではないが、駅に一番近い場所で降ろしてくれるとのこと。よかった。
前に住んでいた場所に近い懐かしい景色を見ながら駅に向かい、スーパーで少し食材を買って帰宅。
なぜか関係ないはずの上の歯のあたりが痛い。ずっと口の中に血の味がして食欲がないが、シャワーを浴びて、ルーティン的に野菜をミキサーでドロドロにして作るスムージーを飲み、サプリメントと一緒に流しこむと、それだけでしみる。
これもまたいつものルーティンで、ヨーグルトに冷凍ブルーベリーや他のベリー類をのせたものを作ったが、反対側で食べようとしても傷にしみて痛いため食べられない。
結局ほぼ食べないまま、薬だけのんで早めに寝た。
Day2 自分を休ませること
医師に相談した上で、睡眠の薬と鎮痛剤を一緒に服用したため、大変よく眠れた。普段は寝付きが悪い上、中途覚醒を繰り返す夜も多く、なかなか満足に睡眠を取れないのだが、数年ぶりに10時間ほど連続で安眠できた。
朝食は、いつもの味噌汁をおそるおそる食べてみた。またスムージーやヨーグルトのようにしみるかな、と思ったが傷口が落ち着いたのか案外平気で、最初は液体だけで慣らしてからちょっとずつ具に入れた柔らかい玉ねぎやワカメ、豆腐も食べることが出来た。
起きた時は少し痛かったが、食後に薬を飲むとおさまる。ゆるゆると家事をし、少しこれを書き始めたり、2時間ほど陰ヨガをして心身落ち着いた状態で午前中を過ごした。
昼食はスープを飲んでみたらやはり痛くなかったので、残り物のチキンとサーモンを少しづつゆっくり食べた。なるべくタンパク質摂りたい。
そのまま1本映画を観て、昨日の読書の続き。思うことがあったから、noteの下書きにちょっと書き足してみた。世に出せない中途半端な下書きが常にたくさん溜まっている。でも無理しない。
座りっぱなしで少し疲れたから、また回復のためにヨガをした。脇腹を伸ばすポーズが特に気持ち良かった。
夕食は前に冷凍保存しておいたホタテと生牡蠣を解凍したもの。スープの残り。少し白米。いつものスムージーもしみなかった。
一日中、腫れも痛みもほぼ感じなかったが、念のため入浴は我慢してシャワーで済ます。
いくら寝ても眠いため、壁を使って脚のむくみを取るストレッチをしながらトロトロし、22時頃就寝しようと床に着く。
私あるあるなのだが、寝る前は普通に眠いし、寝る前のヨガやストレッチ中に少し寝落ちもする。そのまま体制を整えて寝ようとすると、最初はすっと寝付くが、10分ほどでハッと覚醒して永遠に眠れなくなる。そしてそのまま厭世的な気分になってしまう。この日の夜もそんな感じだった。
世の中で言われている不眠に効くようなことは全部やってきた。ハーブティーを飲むとか、食事は早めに済ますとか。快眠のためのヨガニードラなども、スタジオでやるとその場で寝るのに帰宅する頃にはバキバキに覚醒している。家でYouTubeなどの眠るためのコンテンツを試しても、普通に全部起きて聞いているか、途中でトロっとするが音声の終わりと共に起きてしまい結局眠れないかのどちらかだ。
鍼の先生からは、気が虚しすぎており、眠る体力がない、と言われている。つまり、寝るためのエネルギーがないくらいに消耗しているとのこと。確かに毎日ボロ雑巾のように疲れている。疲れすぎて覚醒してしまうのだ。今日はたくさん休んだつもりだったけれど、休むのが下手なのだ。
全然抜歯と関係ないけれど、1日穏やかに過ごせて幸せだった気分が不眠で全て吹き飛んだ。睡眠の薬も効かない。自己嫌悪の沼へ堕ちていく。昨夜の奇跡のような快眠こそが夢だったのだろうか。
Day3 ひたすら趣味にはしった休日
どうにか眠ったが、明け方4時頃目を覚ます。しばらくしてから二度寝できて良かった。8時頃ちゃんと起きた。ブレインフォグがすごい。
なんか、抜歯記録というより不眠日記になってしまいそうだ。
鎮痛剤の効果が切れており、わずかに痛みを感じる。顔の腫れも少しあった。
ベランダの植物の手入れをし、朝食はいつも通りに食べて、すぐ薬を飲んだ。
舌の先で糸の存在を感じて気になったのでスマホで写真を撮って見てみた。
縫った跡と、糸が確認できた。手前の白っぽいものはいわゆる血餅というやつなのか。ドライソケットになっていないか不安。
少し感覚というか弱い痛みも歯茎に感じるため、この先どうなるのか心配。
スマホを持っていると余計なことを検索してしまい、不安が増すので遠くへ持っていき、リビングのソファーでゴロゴロしながらで先日買った小説を読み始めた。約3時間で約300ページちょっと、歯のことをすっかり忘れて物語に没入して一気に読破。少し余韻に浸る。中高生の頃の夏休みみたいな過ごし方をしている。
鏡で顔を見てみると少し腫れていて、その部分が熱を帯びている。少し冷たいペットボトルでアイシングしてみた。
お昼を食べてまた指示通りに鎮痛剤を服用。
海外ドラマの続きを1話と、映画を1本観ながらストレッチをした。途中、少し寝落ちも。
夕食も普通に食べてまた指示通りに薬。
血餅やドライソケットが気になって、またスマホで写真を撮って観察。あまり朝から変わっていないからきっと大丈夫。
血流が良くなりすぎないように、ぬるい温度でシャワーを浴びて1日終了。
私はインドアな休日が大好きでやること多いしまったく苦痛ではない。あっという間の土日だった。明日も家で1日過ごせるのが嬉し過ぎる。
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