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【大学~院入試】力学の問題集と演習書~専門書コレクターになる前に

"大学 力学" には よい演習書がない!

ここでのよいとは

大学上級生となり、数学手法が上達した段階で、数理的にエレガントに、また大学院入試対策に使える

です。

この趣旨に沿った本に、

があります。
私は所有していません。というのも、この本は、網羅性が低い。力学だけに絞った(解析力学を省いた)、こちらのほうをわたしは選びます。

今回は、しかし、これらではありません。


ファイナルアンサー

  • 詳解 物理学演習 上,共立出版,1967

    • 初等力学~剛体、弾性体・流体、波動(音、幾何光学、物理光学)が取り上げられています。解析力学の取り扱いなし。

    • 下巻では電磁気学、そして概論として、量子力学・物性・素粒子・原子核が扱われています。

    • 各章、「まとめ~問題演習」形式。ほかの詳解シリーズ同様、まとめは簡素で、使い勝手はいいですが、それだけで理解できる内容ではありません。

    • 教科書に、『基礎物理学I 』『基礎物理学II』があります。わたしは大学一年時、この本を教科書で買わされました。あまり使いませんでしたが、改めてみれば、よくまとめられてます。難関大大学院でない限りで、この内容で十分ではないでしょうか。

「詳解 力学演習」(共立出版,1967)を持っている人が多いかもしれません。その人数と同程度で使いこなせていない人がいるはず。

「詳解 力学演習」は問題数が膨大。どこから手をつけていいのか。びっしり敷き詰められた紙面には、メモを書く余白がない。一生のあいだに解く必要のない難問、奇問も収録されています。先人の知恵を集めていただき、このこと自体はありがたいです。

一方、この「詳解 物理学演習 上」の内訳(力学の箇所だけ)、次のとおり。挫折しない程度の問題数です。難易度も物理学専攻むき、基礎から院試対策に十分なレベルまで網羅されています。剛体でいえば、基礎「重心・慣性モーメントの基礎的な形状での算出」から、「球が段差を登る条件を求める」という典型問題が載っています。その解答記述は「詳解 力学演習」より丁寧です。慣れている方なら寝ながらでも読めるかもしれません。

  • I部 力学

    • 第1章 運動の記述 -- 52題

    • 第2章 力と運動の法則 -- 15題

    • 第3章 放物運動 -- 38題

    • 第4章 仕事とエネルギー,力積と運動量 -- 17題

    • 第5章 単振動 -- 67題

    • 第6章 束縛運動 -- 29題

    • 第7章 角運動量・中心力・万有引力 -- 21題

    • 第8章 相対運動 -- 19題

    • 第9章 質点系の運動 -- 29題

    • 第10章 剛体の運動 -- 89題

  • II部 弾性体・流体 (第1章 弾性体/第2章 静止流体/第3章 運動流体)

  • III部 振動・波動・音

    • 第1章 振動(単振動の合成/減衰振動と強制振動/連成振動) -- 31題

    • (以後略)

すでに「詳解 力学演習」も持っている方にとっては、新たに購入するのではなく、

「詳解 力学演習」を有効利用したい! 

でしょう。

を探してみてください(大学図書館にあるかも)。

「詳解 力学演習」と同じ後藤憲一先生による演習書です。「基礎 力学演習」は「詳解 力学演習」から問題を選出・吟味されており、要するに重複しています。『基礎 力学演習』での解答解説は、「詳解 力学演習」よりも断然丁寧です。まずは、「詳解 力学演習」から重複している問題を解くと、膨大な問題から必要な基礎問題を抽出できます。

なお、後藤憲一先生による力学問題集を、力学に限定して問題の数で並べると、

「詳解 力学演習」>「詳解 物理学演習 上」>「基礎 力学演習」>「詳解 現代物理学

力学のもっと基礎

積分ができない, 微分方程式が解けない

大学の『力学』科目は、大学1~2年に開講されるため、

微分積分・解析学 /  微分方程式 / ベクトル解析

が未発達な状態で挑むことになります。ほとんどの学生が、力学を解くことでなくなく、導いた式を最終的に「解けない」困難さにつまづきます。

力学の問題を解くことのむずかしさは、数学的困難ではなく、与えられた問 題を数学的な形に書き表わすことである。必要な数の運動方程式(あるいはつりあいの条件)が立てば、問題は半分以上解決しているといってもよい。

『大学演習 力学』裳華房,1957 はしがき(山内恭彦)より

これは、力学問題を解く難しさの半分は、数学的困難である、ともいえます。

(物理)数学を補強するしかありません。

たとえば、つぎの3冊があります。これらは、網羅性があり、公式集・計算テンプレとして、大学上級~院のあいだ、ずっと使えます。

物理学専攻を対象にした良書です。これらをやり込んだだけ、確実に実力があがります。大学院に進むのであれば、持っていても損でありません。

力学の"ほんとうの基礎の問題集"

力学の少し上級(参考文献的に)

タイトルに力学が入っていないため、手に取る人は少ないはずです。全部を読まなくても、副読本として目をとしておくと、他の機会に利用できるかも。

解析力学

一択です。問題形式にした解析力学の解説書です。内容の網羅性、数式処理のエレガントさ(アインシュタイン規約など)で、ずっと使えます。畑 浩之先生は、元「京都大学 大学院理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 助教授」で、専門は素粒子論(弦の場の理論(String Field Theory,SFT)です。『大学生の解析力学』は、さすが、素粒子論ライク(場の量子論のような)な記述法をあります。

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京都大学理学研究科 第11回 MACSコロキウム「弦の場の理論とその数理」畑 浩之 氏(京理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 教授) 2020年2月19日

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