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飲み込みの速さなら任せろ!〜中学校ABDレポート2024 Vol.1

さて、ようやく始まりました。今年の中学校でのABD。
今現在で授業としては3回、二冊の本をABDで読み終えたところです。

さっそく、今年の生徒たちの様子をレポートしたいと思います。


いきなり体験!?な開校式

初回の授業は開校式を兼ねているため、ABDをするには時間が短く、例年は自己紹介とABDのやり方紹介くらいしかしていませんでした。
しかし今年は、いきなり、ちょっとしたワークをしてみました。
手順はこんな感じです。

①いくつかの本の「はじめに」「まえがき」を印刷したものを用意しておく。
好きな本を一冊選び、最初の部分だけを読む。
③数人のグループに分かれ、読んだ内容をメンバーに口頭で紹介する。
④紹介を踏まえて、自分が読みたい本に投票する。

②〜③の手順は、ABDにおける「コ・サマライズ」と「リレープレゼン」を模したもの。
こうすることで、短い時間でもなんとなくABDの空気感を味わえるかなと思いました。

コピーした3種類の「はじめに」と「まえがき」。

さらに、いつもは私が決めている初回の本も、多数決で決めちゃえる。
さらにさらに、みんなの現時点での本を読む速さや、誰かに説明する際の抵抗感なんかも感じ取れちゃう!
ファシリテーターにとってはまさに名案!ということで実施してみたのですが。

4ページくらいの「はじめに」をあっという間に読み終え、
メンバーにも抵抗感なく紹介していく子どもたち。

あんまり上手くいきすぎて、初回の授業は時間が大幅に余ってしまいました。

今年読んだ本たち

初回の多数決を勝ち抜いて決まった本を含め、今年読むことになった本は、こちらの二冊です。

  • 外山美紀『勉強する気はなぜ起こらないのか』

  • 津田正太郎『ネットはなぜいつも揉めているのか』

二冊ともちくまプリマー新書からのセレクトになりました。

ガンガン行こうぜ!な1回目

1回目のABDで読んだのは『勉強する気はなぜ起こらないのか』。

「はじめに」を読んでいたこともあり、大体の内容や、読みやすさについて把握できた状態で始めることができました。
もともとのスキルの高さもあり、読むことについては全く問題ありませんでした。

コ・サマライズは初めてということもあり、時間が全然足りず。
延長に延長を重ね、もうこれ以上は授業時間足りなくなっちゃうからあきらめて!と私が声がけすると、「時間が足りない!」「全然書けなかった!」ってぶつぶつ言いながらも、たっぷり書いた用紙を持ってきてくれました。
そして、発表までみんなちゃんと完走。さすがです。

初回から、まとめ方が上手!

ダイアローグは初回にもかかわらず、テーマが身近なせいもあってか、かなり意見が出ていました。
きゃっきゃしながら意見を出すグループもあれば、
黙々と、現実的な目標を掲げるグループもあります。
グループごとに異なる盛り上がりを見せていました。

毎回授業後にとっているGoogle formのアンケートによれば、達成感はこんな感じ。

時間が足りなくなったコ・サマライズ以外は、全体的に最初から「できた!」の実感がある授業になりました。

難しくても、味わい深い2回目

対して2回目に読んだ『ネットはなぜいつも揉めているのか』。

こちらは、1回目の後にタイトルだけ紹介して多数決したので、内容までは把握しない状態で読み始めました。
中学生にとってはやや難しい言葉遣い。かつ、内容もSNSのことに特化せず、社会的・文化的な背景にまで言及するため、余計難しく感じたようです。

コ・サマライズ中の図書室は静まり返っていて、めっちゃ集中してます。
2回目『ネットはなぜいつも揉めているのか』のアンケート

そんな中でも、アンケートを見ると、1回目より2回目の方が「だいたいよくできた」の割合が全体的に上がっています。

特にコ・サマライズ。
前回は時間が足りず、延長を重ねてもギリギリまで書き続けた子も多かったのですが、今回は一度の延長で仕上げてきました。
本の内容が難しくなっているにも関わらず、です。

今年の子どもたちは「自分のできる範囲で頑張る」がかなり上手だなと感じています。

本の内容でわからない部分があっても、理解できた部分だけできちんと内容をまとめてくる。
難しい本も少しずつみんなで読むと、リレーがつながって、最終的には一冊の本の大体の内容がわかるようになります。

今回のダイアローグはどんどん盛り上がる、というタイプよりも、少し静かで、よく考えるタイプのものになりました。
読んでわかった本の内容を、一度自分の言葉にする。それをみんなと共有して、いろんな角度から吟味してみる。
なんとも味わい深い、「いぶし銀」ダイアローグでした。

スキルの高さを活かしていく

次回から後半に向けて、私主導の授業から徐々に子どもたち主導の授業になっていきます。
手始めに次回は、数万冊の資料の中から自分がABDで読みたい本を選ぶという、
この授業における最も「個」が際立つ回を予定しています。

ここまでできることが多い子どもたちには、それぞれレベルに合うように挑戦的なこともしてみたいな・・・という欲がうずうず。

今後の活動にもご期待ください!

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