ある女の子の人生(そして、人の人生)
チィ子は小学三年生、去年の秋にお父さんの仕事の都合で隣町から引っ越してきた。
転校してからまだ友達はいない。前の学校でも友達らしい友達は一人もいなかったから「まあいいか」として、心配する母親にも嘯き毎日一人で学校に通った。
チィ子の通学路に大きな白い二階建ての家があった。そして、その二階からいつもチィ子を見下ろしている同じくらいの歳の男の子がいることに気がついていた。
チィ子は気がつかない振りをして雨の日も風の日も毎日同じ時間に大きな白い家の前を通った。七月に入り初めての夏休