安心や安全のジャッジは「音」。自分が発してる声でメリットだけの毎日に。

ポージェス博士が提唱するポリヴェーガル理論の中で、安全に重要なのは「音」だとする説があります。安全かどうかを察知するのに聴覚刺激が非常に重要な役割をしているというのです。

子守唄や、伝統のある民族音楽、ラブソングも歌声は違っていても聴覚的には低周波の音が使われてないという共通点があるそうです。つまりこれは「女性の声に似ている」とのことなのです。

赤ちゃんは安全を察知して眠りにつくことができます。低周波の男性の声では神経が安心の反応にならないようなのです。

私は美しい声ではないことにコンプレックスがずっと小さな頃からあります。綺麗な透き通るような声に憧れているので、喋る時に自分の声に嫌気がさしていました。音読もいや、セリフを言うのもいや、歌うのもいや、子どもの時、そのコンプレックスのせいで学校で活躍できない自分にもどかしさがありました。

声を使う仕事だけはしないと思っていたのですが、ヨガの講師になったらなんとずっと喋って伝えないといけないという壁にぶち当たります(汗)

しかもただ解説する人ではなくてリラックスの状態を作るような優しい声質が求められるのです。その時、当然ですが、私はこの理論を知りません。

そして、なんとポーズの形も見本もクラス内容もいいのに、誘導の声のせいで本当にずっとヨガの学校を卒業できなかったのです。周りはどんどん講師デビューしていくのに、できるのにどうしてあなた受からないの?と他の生徒さんにも言われてました。

そこで私はある思いつきで練習した結果、学校の先生方にどうしたの???何があったの?とても素敵な誘導ができるようになりましたね!!と褒められて講師デビューしたのです。

何をしたかと言うと。

ひたすらラブソングを歌い続けたのですw 

何度も言いますがもちろん15年前の20代の私は、こんな理論知らないですよ。一人でカラオケに行って、ずっとラブソングを歌う日々を続けたのです。

何に気をつけたかと言うと、歌詞の声を出す。ということ。
言葉と同じ声という追求をしたのです。

その言葉を発する時に出る音が、言葉の意味と同じになるようにしようと思ったのです。そうすると小説的でドラマチックで優しくて、なおかつ感動的な抑揚のあるものを選ぶと自然とラブソングだったのです。

ポージェス博士はこの理論に対してこのような例を挙げています。クラシック音楽の「ピーターと狼」をご存知でしょうか?ぜひYouTubeで検索して聴いてみてください。

この作品は周波数帯の中で、巧みに抑揚をつけた変調をしているのです。この音楽は物語になっているので、友好的なキャラクターはヴァイオリンやクラリネット、フルートなど、優しい音色、捕食動物の登場には低い周波数で表現されています。

受け取る観客が、「安全」と「恐怖」を聴覚から感じて物語を想像できるように組み立てられているのですね。

私たちは、感覚的なものを神経に頼っています。

どんなに頭では安全だと思っていても、神経が安全をジャッジします。ポージェス博士は、医療機器の安全をよくわかっていたのに、どうしてもMRIに入れないという経験をされていますが、機器が低周波の音を出し続けているために、この捕食動物が出てきて怖いと思うのと同じように、体は「危険」と判断してしまうのです。

私は、その後、ヨガの講師を続けていますが、ポーズが綺麗な先生は世の中にたくさんいて、内容が素晴らしい先生もたくさんいます。その中で、私の存在は「声がいい先生」として認識されるようになったのです。

本当に不思議なものです。それでは、なぜ声が苦手な私が「声がいい先生」として参加者さんから認識してもらえるようになったかと言いますと、

おそらくですが、ラブソングの練習も土台ではあったと思うのですが、やはり、「ヨガ」なんです。

私がヨガの訓練を重ねたことで、体が自分に安心仕切っているという状況を自分で到達できたと思うのです。自分が自分に安心し、自分であることを安全だと把握できるようになったようなのです。

その安全そのものの偽りのない自分が出した声。それが誰に伝わっても「安心とジャッジされる声」なのです。声質が美しく変化したわけじゃないです。安心の人が出す声が安心として伝わるから、聞いた方が安心する。その図をヨガが叶えてくれたのです。

お母さんの子守唄で眠る赤ちゃんは、「お母さん」だから眠るのです。美しい声だからではありません。お母さんが安全だからです。ヨガをやろうとする参加者さんは身も心もその場に委ねるわけですから、赤ちゃんのそれと同じくらいの安全を先生に求めているわけです。

私たちは、安全に生きようとする本能が脳に備わっています、危険を犯してまでリスクをとってまで仕事したり、付き合ったりしようとはしません。

安全を聴覚で判断しているとしたら、安心の声を出せる人の交流が広がるのは言うまでもありません。

信じていただけるメリットしかありません。
この人といたら大丈夫と思えることが、信頼関係だからです。

介護や教育、保育やセラピー、動物や、患者さんへの応対など情報で安心を得られない方が相手の場合は特に有効だと思います。パニックや癇癪、逃げることなどのトラブルを避けられ、対話や治療などがスムーズだそうです。

あなたの出す声に「安全」のジャッジが含まれているのです。

ちなみに、ヨガ以外の仕事で喋ることは苦手です。でもこの理論を知ってからは、自分をリラックスさせ副交感神経を優位にし、体と心を最大に安心にしてから、コミュニケーションをとる習慣がついているので、堂々といられるようになりましたし、友達を作ることも人前で話すこともそんなに苦手じゃなくなりました!

ヨガなどのリラクゼーションが「声」に寄与し、日々を円滑にしてくれる例として、ポリヴェーガル理論の「聴覚」の観点からお話してみました!

みんなで、安心の毎日を過ごしていけたらいいですね!
ゆったりした声でありますように!


参考文献 ポリヴェーガル理論入門 ステファン・W・ポージェス

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