見出し画像

愛と勇気だけじゃない!アンパンマンが海外在住の息子に教えてくれたこと

日本の子どもなら男女問わず誰しもが通る道ともいえる、国民的キャラクター、アンパンマン。しかし残念ながらここメキシコでは、テレビ放映されておらず、当然グッズも販売されていない。そのため、生後4か月からメキシコに住んでいる息子にはあまりなじみのないキャラクターだった。

しかし去年の夏、日本に一時帰国した際、父(息子にとってはジィジ)が録画してくれたアンパンマンを見た息子は、たった3週間の間に、その魅力にすっかりはまった。そしてどうやら息子は、アンパンマンのおかげで、ちょこっと成長したようだった。

息子、初めての長文は、あの名ゼリフ

スペイン語と英語を使う現地の幼稚園に通う息子。家では私や夫が日本語で話してはいるものの、日本語に触れる時間が少なかったこともあってか、言葉の成長がのんびりな子だった。3歳を過ぎ、単語でコミュニケーションは取れていたが、あまり文章は話さず、母親である私としては、いつ話してくれるのかなと、楽しみと不安を抱きながら過ごしていた。

しかしそんな息子。ある日、日本の湯船で顔に水がついたときに、突然、「顔が濡れて力が出ないー。」と、アンパンマンのあの名ゼリフの一つを発したのだ。その後も、「アンパンマン、新しい顔だよ」、「やめるんだ、バイキンマン!」など、次々と、アンパンマンに登場する日本語の文章を話し出したのだ。

もちろん一時帰国中に、ジィジとバァバにたくさん話しかけられ、日本語のシャワーを浴びたことも影響していると思うが、アンパンマンが息子の言語教育に良い影響を与えたことは、間違いのない事実のようだ。

名ゼリフが繰り返し出てくる。そしてそれが分かりやすい絵で示されている。アンパンマンには、言葉を覚えるのに効果的な要素がたくさん含まれていると感じた。多くの先輩ママや言語学者からしたら、こんなことは、とっくの昔から知っていた話かもしれないが、大人になって改めてアンパンマンを見た私は、その構成が本当に素晴らしいものだと感心した。

食育にも効果が?!

ありがたいことに息子は、よく寝る子で、甘えん坊でかわいらしく、すくすく育ってくれていた。しかし親として一つだけ心配なことがあった。それは食。かなりの偏食なのだ。

まず白米が嫌いで、炭水化物はトルティーヤ(タコスの生地)が一番好き。たんぱく質は唐揚げかサーモンフライ。野菜はポテトフライ(野菜と言ってよいのやら、、)しか食べなかった。

ある日、アンパンマンのキャラクターを少し覚えてきたころ、焼きおにぎりを手に、ふと、「おむすびまんだよー」と言ってみた。すると「えー?おむすびまんなのー?」と嬉しそうに興味を持って、なんと食べてくれたのだ。その後も、「しょくぱんまんだよ」と言って食パンを、「うな丼まんだよ」と言って、ウナギをあたえると、どちらも食べてくれた。息子の中で、かわいいキャラクターと食べ物が、よい具合に結び付いたのか、食に対する興味が一気に沸いたようだった。

今でも好き嫌いはかなり残っているが、それでも、アンパンマンを見る前と比べて、かなり食べられるものが増えた。アンパンマンには頭が下がる思いだ。

感情面にも変化が

「愛と勇気だけじゃない!」と題に書いたものの、アンパンマンは息子の感情面に与えた影響も大きかった。

アンパンマンのストーリーに、さすらいの旅人、フーセンガムキッドというキャラクターの話がある。フーセンガムキッドがアンパンマンの住んでいる街を訪れ、ふうせんガムを駆使して、クリームパンダやアンパンマンを助け、最後はみんなに見送られて街を去っていく、というストーリーだ。

この別れのシーンを見た息子、なんと、ポロポロと泣き出したのだ。今まで息子が泣くことと言えば、何かを要求するときや、怒るとき、痛いとき。声をあげて泣くことがほとんどだった。声も出さずにポロポロと涙を流す息子は、このとき初めて見た。息子は、"別れ"や"寂しさ"をアンパンマンから学んだようだった。

フーセンガムキッドはアンパンマンに登場するキャラクターの中では、かなりのサブキャラで、かわいいというより紳士のような、おじさまキャラ。でもそんなおじさまキャラが、息子に教えてくれたことは、とても大きかった。ありがとう、フーセンガムキッド。

メキシコでは見られないけれど、、、

メキシコでは見られないアンパンマン。でもメキシコでも見せたい。ということで、アンパンマンのDVDやシールブック買ってメキシコに戻った。ホラーマンのダンスを踊ったり、メロンパンナちゃんのメロメロパンチを繰り返したり、キャラクターを通して食べ物の名前を覚えるなど、その後もアンパンマンからいろいろと学んでいるようだ。

1話約10分のアンパンマン。その短い話の中で、バイキンマンが悪さをして誰かがやっつけるというお決まりの起承転結があり、毎回異なるキャラクターがでてきて、毎回違うストーリーが語られる。息子のためにといいつつ、私自身も毎回ワクワクして見てしまう。その上、たまに大人の心をくすっと笑わせるようなキャラクターも登場するので、見飽きない。(ちなみに私のお気に入りは、映画007のジェームズボンドに寄せて作られた、ザーマスボンドという接着剤のキャラクターだ。)

アンパンマンのストーリーは、2021年時点で1,500話存在するそうだ。毎日1話見てもすべてを見切るのに4年かかる計算。全話を探し出して見ることは難しいと思うが、息子が成長して飽きてしまうまでは、たくさんのストーリーを一緒に見ていきたいなと思う。



この記事が参加している募集

子どもに教えられたこと

私のイチオシ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?