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拝啓、ウイルスに怯えてる人達に知っていただきたいウイルスがある。


おとついの晩、車の中で流れる「スカイロケットカンパニー」のラジオを聴いていた時に、次のような内容が流れた。


「私はアパレルなのですが、コロナウィルスにより、中国の工場が止まってしまって大変です。皆さんの着ている服はほぼメイドインチャイナで、メイドインチャイナがなくなると、ほぼ日本で販売している服はなくなります。じゃぁ東南アジアに生産を移せばいいじゃないか?と言われますが、(生産ミニマム)ロットが大変なことになります。今のロットではとてもじゃないですが受け付けてくれません。じゃぁ韓国でやればいいじゃん。と言いますが、韓国の工場は今回の件でどこもパンパンです。じゃあ日本でやればいいじゃんと言いますが、値段が可愛くなくなります。」

(うろ覚えですがこんな内容です)


中国が止まるって言う事は、このような被害が出る、受けると言うことを僕も今回の件で痛感した。


・値段が可愛くなくなる


皆さんは服を買うときに何を基準にして買っているだろうか?

多くの人が考えるのはデザイン、そして値段であろう。

そう日本製と言うものは、今、値段がすごく高く、作ったとしても値段が可愛くないために売れないと言うことが相次いでいる。

「自国の生産品で、消費しようぜ」

たまに見かけるが、その値段帯を誰が一体買うのだろうか?

多くは裕福な人であり、一般庶民には購入できる値段ではないのだ。

メイドインジャパンと言うものは、皆が思っているほど、今本当に世界では通用しない。

僕が2017年にロンドンから始めたメトロノームと言うブランドが最初に陥ったのはここであった。

「どこから来たんだ?香港か?」

「いや、ジャパンだ」

「ジャパンか、物はいいけど高いんだろう?」

プライスリストを見せる。

「高いよ。このデザインであれば日本製にこだわる必要は無い。チャイナで充分だよ」

このようなやりとりが何回も続くと、あれ、俺が(俺たちが)思っていた日本製の信頼って何だったんだろう?と思いだす。

もちろん日本製の中には、すごく売れている物もあるであろうが、ここではあえて”アパレル”と言う観点からものを言わせて頂き、そこから派生する話をしていこうと思う。

正直、世界から日本製への信頼は崩壊している。

「品質が良く、壊れない、縫製も良い」

などと言う事は過去の話で、実際問題、現場は「日本製=普通だが高い」と言う認識が多い。

なぜこうなったのかと言えば、中国の伸び方があからさまに大きい。

考えてみて欲しい、中国は同じ物をずっとミニマム3000枚とか、10000枚とかで10年間以上も生産し続けたのだ。

片や日本は、同じものを30枚からと言う、超ミニマムなミニマムロットでこの10年間ぐらい生産してきた。

同じものを作った場合、上手くなるのはどちらだと思う?

あからさまに中国だ。

さらに日本は、その超ミニマムロットですら発注者から難癖をつけられ、値段を落とされ、しまいにはその発注先が倒産すると言ったことが連鎖すると、職人たちも「もうやってらんねーな」と言う気持ちになり、みんな辞めていく。そうすればさらにその産業のなり手は不足し、後継者不足や、跡継ぎ問題に発展する。


今、M&A業界ではこのように跡継ぎ問題を解決するような買収案件が山のようにある。それほど、職人不足や後継者不足といった深刻な問題は加速していき、それに付随するビジネスや、それを補佐するビジネス、また、それを終了させるようなビジネスすら出てきている。


話を戻そう、要はそのような生産背景がある中で、中国=ものが悪いと言う時代はもうとっくに終わっていて、中国が作るものは、世界の中でもクオリティーの基準値となり、値段ですらそれが標準になっていったのだ。


さて皆さん冒頭でスカロケの社員さんが話したように、僕からこれを読んでるあなたに聞いてみよう。

「あなたの生活の中で、メイドインジャパンと、メイドインチャイナの比率を出してみてもらえますか?」と。

おそらく、ほぼ全てのものがチャイナであることは間違いない。

あなたが持ってるiPhoneだってそうだ。

さてそのiPhoneであるが、最近高いと感じた事はないか?

最近出る新型に対して、「値段が高い」だの、いろいろ話が出ているが、少し考えてみて欲しい。

iPhoneは高いと言ってる時点で、日本の基準値が下がっていることを考えて欲しいのだ。事実多少の違いはあれど、値段はほぼ世界どこでも(僻地癖国を除く)共通である。

お昼の討論番組で、千原せいじが言っていた。

「なんで日本の観光客が増えていると思う?日本の物価が諸外国に比べて安いからや。」

間違いない、さすが世界中を回っているだけある。

観光客が増えるに越した事はもちろんないのであるが、「増える理由」を考えた事はあるだろうか?

沖縄、ニセコや白馬に外国人客が集まり、物価と地価が上昇しつづけてる、状況を夜中の番組でやってるのを見たことはあるか?

外国人客がこぞって日本の土地を買いまくる状況を理解しているだろうか?

単純にニューヨークやシドニー、シンガポールに比べ、各国先進国主要都市の中でも、東京、日本の土地はぶっちぎりで安い。

単純に、「日本の価値が下がり続けている」としか言いようがない。

iPhoneは高く感じ、自国の自分が住む街の土地が買えないような価格になり、「売られているものはスーパーでは高級食材ばっかり、とても手が出ないわ。」と。


「お前は何が言いたいんだ?日本が斜陽国家とでも言いたいのか?」


ここまで読んで、そう思われる方はいるであろう。

僕はそんなことに時間を費やしたいわけではない。じゃぁ日本を助けたいのか?と言うことも、正直、別に特段考えてはいない。

同じ職種の人たちが、これから生き残るためにはどうしたらいいのか。これだけを唱えたいのである。

単純にヨーロッパの電気屋さん、家電量販店に行くことがよくある。展示会の時に少し照明が足りないなとかで買い出しによく行くからだ。

前にも触れたが、日本の商品と言うものはもうほぼほぼ売っていない。白物家電はハイアール、サムソンばかりだ。

かろうじてソニーのスピーカーが並んでいるだけだ。それもほぼ隅っこに。


「日本の商品は無いのか?」


と聞くと、

「昔は結構置いてあったんですが、最近は中国製ばっかりが売れるのでバイヤーたちもほぼほぼそちらの方しか仕入れていません。中国製はデザインも良いですし、商品も壊れませんよ」


これは昔、かつての日本商品に使われていた言葉だ。

デザインが良い。

この意味がわかるだろうか?

正直日本の電化製品のメーカーの生産国は中国やインドネシアが多いが、デザインは日本や、下手すればアメリカにデザインチームがいたりする。

そのようなデザインチームを置いといて、中国製品のデザインが良いと言わしめる理由はなんだ?

単純に日本のデザインチームが悪いと言いたいわけではなく、単に刺さるデザインをしていないだけなのだ。

正直僕は電化製品のデザイナーでは無いから、あくまで客目線で言わしていただくが、正直ハイアールの冷蔵庫や洗濯機、めっちゃかっこええやん。

元の多くは、言えば日本が最初にそのデザインをし、それを中、韓が寄せて作って行ったものが多いのだが、圧倒的な資金力を手にした彼らにして、もはや日本は勝つ術がなくなるくらい、”オリジナル”はそちら側に行ってしまった。

逆手に取ってみて欲しい。冒頭で言われた言葉を。


「高いよ。このデザインであれば日本製にこだわる必要は無い。チャイナで充分だよ」


単純に、デザインが良ければ世界には通用する。これは僕自身が実践し、体験し、成功した良い事例である。

アパレルや僕のような眼鏡やサングラスデザイナー、いわゆる生産業は、「メイドインジャパン」を売るのではなく、

「デザインドバイジャパン」

を売っていくべきなのだ。

そして価格については、「このデザインだからもう仕方ねぇな。」とバイヤーに思わせるほど、デザインに特化したようなプロダクトを作成して、販売していくしかない。

その生産国に、ジャパンである理由をつけるか否かは、あなた次第ではあるが。


要点をまとめると

・値段は今、中国製が世界基準
・クオリティーも、中国製が世界基準
・なのでプロダクトを販売する場合は、上記世界基準の上で、「メイドインジャパンのデザイン」を売っていくしかない。
・そのためにはもっともっと日本と言う国から、世界にデザイナーが出ていくべきである。


さて、これでは生産背景がますます潰れていってしまうので、どのようにしたら生産背景を助けながら、今回のようなウィルスによって稼働しなくなった中国工場により、発生している”日本戻り”と言う、日本の工場に発注せざるをえない現象を、そもそも起きないようにするべきなのかを考える。

これは非常に難しい話で、僕の立場としては、

"今回のように一時的な緊急避難としてしか使われなくなるのではなく、生産を発注する側として、恒常的に日本国内の工場に、日本のその工場でしか作成できない技術品の生産を発注していく。"

できることはそれくらいなのである。


生産側としては、

「我々の工場にしかできない技術」

は、常日頃考えていることである。

あろうが、それ以上に、

「生産を安く叩いてくる業者を避ける。」

ことは勿論の事である。

さらに空いた時間で、ロスの出た、もしくは廃棄する原材料を使用したもので作成した商品をDtoC等で販売する。

など、生産側もデザイン業務を重きに置き、日本で販売しつつ、日本で販売すべきものを海外にももっと、出していくべきである。

簡単に「んなこと考えてるわ!」と言うと思うが、実行できてる生産側はまだまだ少ないと思う。

このようなことを考えている工場さんがいて、相談する人がいないのであれば、是非僕にコンタクトを取ってください、条件含め、できる限りでお手伝いさせていただきたいと思っております。


はっきり言うべきかどうか悩んでいたが、もう言ってしまったほうがいいと思うので言ってしまおう。


そもそもの日本の服飾が安くなったことの原因は、僕たちのようなメーカー側にある。


中国、韓国、台湾、ASEAN諸国が台頭してきた時に、

「中国だとこんな値段で作れるんですよ、だから値段はその値段で良いですが、ミニマムロットはもっと少なくしてくださいよ」

「え、そのミニマムでその値段なんですか?ありえませんよ、じゃあそのミニマムで結構何で値段落としてくださいよ」


このようなことが、日本のメーカーと工場は日常茶飯事行われる光景だ。

このような光景で、何が良いものが生まれるのか?甚だ疑問である。


またその値段を許してしまったことにより、安いものしか売れなくなってしまったのも事実である。

そして

「どうせ安いものを作るのであれば、複雑なパターンのデザインよりも、もっと簡単で単純なものを作っているだけの方が良い。」

と考えてしまい、そのように行動してしまう。


そのような考えを工場に持たせてしまったメーカー側に、罪は無いのか?

そのような値段を当たり前にしてしまった消費者に、罪は無いのか?


「メイドインジャパン」と言う物のデザインと商品を、切り崩しているものは何か?

今回のウィルス問題で、中国背景を持っていたメーカー側は大打撃である。そしてそのようなメーカーは日本のかつて使用していた工場に電話してこう話すのだ。


「いやあの時はすいませんね、でもあの時はあーするしかなかったんですよ。でね、今回少し困ってて…少し助けていただけませんか?」


僕はコロナウィルスよりも、これより前に日本に蔓延しているウィルスを今回は皆さんにお知らせしたい限りで今回書かせて頂いた。



(これからどうしていくか、今の現状など、リアルな続きは有料マガジンの方で明日2/20の8:00に。少しきつい内容になりますので、有料で好き放題書かせていただきます。珍しく返金受付しておきます。)


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