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言葉にする力はまだないけれど、

夕暮れ時の電車の窓から見える、まるで切り絵のようなスカイツリー。電車の座席には、さまざまな表情の人々が座っている。物憂げそうな表情でスマホを眺めていたり、神妙な面持ちで小説に耽っていたり……。

皆がそれぞれ、思い思いの時を過ごしているんだな。こんな時間や風景を言葉にしたいと思ったことが何度あったことか。そしてその度に僕は挫折してきた。

胸の奥が締め付けられるような名状しがたい感情を、言葉に上手く落とし込めなかったから。多分僕に語彙力がないからなんだと思う。それに表現力もない。ないない尽くし。言葉を愛しているのに、言葉には愛されていない。

果たしてこんな思いをいつか、腑に落ちる言葉に落とし込めるのだろうか。生きているうちに1回だけでも、そんな日がくればいいななんて夢見ている。

言葉を読めば景色が浮かぶ。そんな表現ができれば本望なのだ。だからこそ僕は無意識のうちに、言葉を使って表現したがるのかも知れないな。

結局僕には言葉しかない。言葉を諦めたら終わりなんだ。


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