感傷に浸りたい時だってあるんだ。

なんだか無性に感傷に浸りたい時ってある。過ぎ去った半生を顧（かえり）みては、「あの時あんな言葉をかけていなければ」とか「もっと寄り添えたら」などと思う。

自分がもっと優しい言葉をかけていれば、僕のもとを離れず、今も一緒に楽しく過ごせていたのかもしれない。

結婚して子宝に恵まれる。子どもが大きくなったら、夕間暮れの海辺を家族で仲良く散歩する……。決して実現することのない光景を思い浮かべては、後悔の念に苛（さいな）まれるんだ。

もしもあの時に戻れるのならば、当時の自分にこう言ってやりたい。

「もっとあの子のことを直視してあげなよ。あの子の心を感じてあげなよ」ってさ。