サンタさんの思い出 vol.1
幼稚園児の頃。
クリスマスの朝、プレゼントがありました。
まだ薄暗い中、ごそごそと包み紙を開けると出てきたのは、セーラームーンの人形でした。
私は呆然としました。
「おとうさんとおかあさん、わたしがセーラームーンそんなにすきじゃないって、しらないんだ」
と、ちょっと寂しくなりました。
そう。
私は当時からサンタさんを信じていなかったのです。
いや、正確には、"クリスマスにプレゼントをくれるのは両親"ということを知っていました。
私の兄ももちろん、両親が買ってくれているということを知っていたので、クリスマスが近付くと、ツリーの前に手を合わせて「今年はラジコンがほしいです!」と母に聞こえるようにシャウトしたりしていました。
そのため、クリスマスにはちゃんと希望のおもちゃをもらっていました。
そして中に入っていた保証書を母に見せ、「サンタさんは、おもちゃのなかしま(当時近くの商店街にあった玩具店)で買うんだね!」と言って母の反応を楽しむ、嫌なガキでした。
私はというと、基本的に両親に「クリスマスプレゼントを置いてくれているのは君たちだろう」と言ってはいけないルールなのだと理解していました。クリスマスは、そういう不思議なイベントだと思っていました。
私の両親は本来そんなことをするタイプではないので、毎年なんだかむず痒い変な気持ちになっていました。そして、両親に直接「ありがとう」と言えないのが、なかなか気持ち悪いものでした。
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