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毎日更新30日目の学び

  サービス業は言葉遣いが厳しい。
バイト時代のアパレルでも、社会人になって就いた旅館の仕事でも、敬語はよく注意して正しく使うようにと言われていた。

バイトも含めると約6年間ほど、長きにわたって続いた接客業をやめて、B to Bな外に出てみると。世の中には間違った敬語を使っている人が実に多いことがわかる。

とんでもございません。
お世話様です。
500円になります。
よろしかったでしょうか。

正しいように見えて、全部間違いだ。


耳についてとても気になるけど、部下や後輩ならいざ知らず、上司や相手先に講釈を垂れるわけにもいかない。
完璧にスルーを決め込んでいる。
そういう言葉遣いをついうっかり言ってしまおうものなら冷や汗ものの環境にいた身としては、とてものびのびしているように見える。
みんな真剣なビジネスの場でも、自由なものだな、と思う。

 営業の仕事をするようになって、電話対応をして切ると、「おおー、なんか今ホテルのフロントみたいだったね!」と言われることもある。
自分的には仕事上の普通の話し方をしているんだけど、やっぱりどこか違うらしい。
ものすごく丁重な話し方らしい。
営業先でも、「ご丁寧にどうも」と言われることが多い。
私は電話が超苦手人間だったんだけど。
最近は失敗してもOKの、のびのびモードなので、全然怖くなくなった。
これはこれで、良いことなんだろうか。


 旅館で新人の頃は、お客様のご案内が一通り正しくできるか、テストがあった。チェックイン、お部屋説明、料理説明。
セリフ、セリフ、セリフ。
覚える台詞がそれはもうたくさん。
普段使わないような言葉遣いで習得しなくてはならない。

「上にのせてあります、葉っぱに・・・・」

「…上に添えてございます、青もみじに、です!」

料理説明。先輩によく訂正されていた。
こうして書いてみると、我ながら「葉っぱ」はないよなぁ~と思う。
難しい、難しいとおもいつつ、私は文章を書くのが好きだったので、訂正されてなるほど~と勉強するのは好きだった。
どうしたら品が良く聞こえるのかなんて、ちっともわからないし、語彙がなかった。
同じ物事を言っていても、月とすっぽんくらいの差がある。
品のある言葉遣いが操れるのは、一つスキルなのかもしれない。


 後輩のテストをするようになると、自分の新人時代も含めて、どの人もみんな、○○病にかかることが分かった。
○○病というのは、同じ言葉を乱用しまくることを言う。

○○のところには、その人が高頻度で使う言葉入る。

私の場合は「ませませ病」だった。何かを説明していると、語尾が全部「ませ」になっていたのだ。

「ご覧くださいませ。」
「お使いくださいませ」
「お問い合わせくださいませ。」

聴いている側はとても耳につく。ませませませませ、ちょっとくどいんじゃないの???って違和感を抱く。

「~でございます病」の人、「〜ください病」の人。人によって、癖は違うのだけれど、「特定の言葉を連続して乱用」してしまうというところはは同じで、これを指摘されるのは、ある種テストの通過儀礼みたいなところがあった。

語尾と締めの言葉は意識して、いろんなものを混ぜなくてはならない。



けれども、これは文章も同じだ。


~だと思いました。こうしてああして、何とかだと思いました。
その後に~して最後は~だと思いました。

と、書くのは小学生の作文だ。
同じ言葉を並べて乱用するのは芸がない。
このことには、話言葉における乱用の悪さに気づく前から気が付いていた。
だから、うまくできているかは別として、自分的にはそれなりに気を付けているつもりだった。語尾はなるべくかぶらないようにと。


しかし、本日、毎日更新を初めて記念すべき30日目。一カ月更新を続けてみて、思う。
私はちっとも「○○病」から抜け出せていない。

語尾は比較的大丈夫だと思う。たまにうっかりしているけれど。
ただ、表現力においては、同じ言葉ばかり使っている。語彙がない。

ものすごく。やっぱり。めちゃ。

などなどなど。同じ表現を乱用している。
たくさん書いて、たくさん読み返すと、そういうものがきれいに見えてきて、自分が表現する言葉を大して持ち合わせていないことに気づかされる。
どういったらいいのかわかんないから、とりあえずこれ!みたいに、平易な言葉で片付けている。


そういう乱用言葉をしっかり拾っていったら、私オリジナルの辞書ができそうだ。そして、そうしてできた辞書は多分ものすごく薄っぺらいだろうな、と思う。


今後もできる限り毎日続けるつもりだけど。
もっと、自分の言葉を探して、増やして、言葉にすることを大切にしていく意識をしたい。



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