見出し画像

フロアで爆音で聴いて踊りたい、AmapianoやAfrobeatsじゃないアフリカ音楽(African Vibez ~2024年2月編~ Part①)

皆さんごきげんいかがでしょうか。アフリカ音楽キュレーターのアオキシゲユキです。いつもお読み頂き本当にありがとうございます。

フロアで爆音で音楽を聴く。それはいくつになっても気持ちいいもの。最近良かったのは2023年11月に訪れたインドのアッサム州グワハティにある「Nuts & Brew」という人気のクラブで爆音で聴いたボリウッド音楽でした。インドの人たちはよく踊ります。本当です。ちなみに「Nuts & Brew」は自家醸造のクラフトビールが飲めるクラブ。アッサム州のグワハティってインドの中でも特に辺鄙な山奥なんですよ。なのに美味しいクラフトビールが飲めてDJがプレイする音楽も最高。インドおそるべし。

知り合いになったDJ Makのプレイで盛り上がるNuts & Brew。

おそるべしついでにもう一つ言えば、インドのクラブで飲んだクラフトビールの値段。僕が飲んだのは「Mango Cider」(サイダーって名前ですがちゃんとビール。ホップの香りがマンゴーのように軽やかでお店の一番人気)の500mlが600ルピー。日本円に換算すると1080円(1ルピー=1.8円として)。もう一度言いますが地方都市グワハティです。インドおそるべし。

グワハティのインド人はみんな「ココが最高のクラブだ」とオススメしてくれました。


さて。インドではなくアフリカ音楽の話ですね。
2月は日本のAmapianoシーンの先駆者であるaudiot909さんのアルバムリリースパーティーがあったり、僕らが主催するAfrobeatsとAmapianoのイベント「Party No Dey Stop」があったりと、最高のアフリカ音楽をクラブのフロアで爆音で聴きまくりました。美味しいお酒を飲みながら仲間たちと一緒に大好きな音楽を爆音で聴いて盛り上がれるのは本当に幸せです。特にAmapianoやAfrobeatsなどのアフリカ音楽は耳で聴くより身体で聴く、いやむしろ全身で浴びたほうが100倍以上気持ち良い音楽なんですよね。ここ最近は日本でもAmapianoやAfrobeatsを楽しめるパーティーが増えてきました。ぜひイベントをチェックして全身で「音浴」してみてください。

しかしです。

AmapianoやAfrobeatsだけがアフリカ音楽じゃないんです

昨今のように世界規模でAmapianoやAfrobeatsに多くの注目が集まっているのは、アフリカ音楽を愛するリスナーの一人である私にとっても非常に嬉しいことです。しかしそれらAmapianoやAfrobeatsばかりに脚光が当たる反面、なかなか世間には知られないアフリカの音楽があるのも事実。なんせアフリカには50を超える国々があって、とても一言で「アフリカ音楽」とは括れないぐらいほどに多様な個性と魅力に溢れているんですから。

さて、今回の特集ではまずクラブシーンに注目し、「AmapianoやAfrobeats以外でダンスフロアに響くかっこいいアフリカ音楽とは一体どんなものか」を探っていこうと思います。僕もまだほとんどフロアで聴いてない、あるいは自分でもまだあまりフロアでかけてない曲のうち、コレをフロアで爆音で聴いたら絶対気持ちいいだろうなという音楽、略して「フロ爆アフリカ」をご紹介します。選曲した25曲は全てSpotifyのプレイリスト「African Vibez Feb 2024 curated by AOKI」にまとめてあります。


今日はまず前半の12曲をご紹介。もちろん、あらゆるアフリカ音楽を網羅できている訳ではありません。あくまで僕の個人的観点からフロアを意識した選曲となっていることをあらかじめお伝えしておきますね。それでは早速いってみましょう。

1、Cruel Santino ”Holiday sniping”

ナイジェリアのAlteシーンを代表する「Santi」ことCruel Santinoの2023年10月のシングル。メロウなリフと軽やかなリズムの中になぜかほんのりと日本の桜ソングの雰囲気も感じてしまう気持ちいい1曲。


2、muva of Earth ”High (Hagan Remix)”

ヨルバのルーツを持つUKのジャズアーティスト、muva of Earthのスロウでグルーヴィーな原曲「High」を、ガーナ系イギリス人DJであるHaganの見事なリミックスでフロア仕様に。コーラスの複雑味が印象的。


3、Obongjayar ”Who Let Him in”

UKを拠点に活動するナイジェリア生まれのアーティストObongjayarはLittle Simzとのコラボなどでも有名。この「Who Let him in」はプレステ4用サッカーゲーム「EA SPORTS FC 24」用に書き下ろされたパーカッシヴな1曲。


4、Marla Kether ft K.O.G ”In My Corner”

そんなObongjayarの曲も手掛けたことのあるコンゴ系イギリス人のDJ兼プロデューサーMarla Ketherの「In My Corner」はガーナ生まれUK拠点のマルチアーティストK.O.Gをフィーチャーしたファンキーなアッパーチューン。


5、BCUC ”Thonga Lami (Gaudi Remix)”

BCUCBantu Continua Uhuru Consciousness)は南アフリカの7人組バンド。「アフロ・サイケデリック・フューチャーポップ」とも称されるドラマチックでソウルフルでエモーショナルな独自のスタイルは一聴の価値あり!Remixを手掛けたGaudiは、ダブやワールドビートなどを中心に世界的に活躍するイギリス系イタリア人DJ/プロデューサー。


6、KABEAUSHÉ "Go With Gut"

この曲だけは先日のイベント時にDJでプレイしてめちゃくちゃ最高でした。
KABEAUSHÉはケニアのナイロビを拠点に活動するマルチ・インストゥルメンタルアーティスト。曲だけでなくヴィジュアルセンスも強烈で、きっとプリンスとか好きなんだろうと感じさせるエッジの尖り方が魅力。昨年2023年にリリースされたアルバム「The Coming of Gaze」からご紹介するのは、特にファンキーでどこかBasement Jaxxっぽさも感じる「Go With Gut」。


7、Bambii ft. Lady Lykez ”Wicked Gyal”

ジャマイカルーツでトロントを拠点に活動するDJ/プロデューサーBambiiは、エチオピア系アメリカ人R&BシンガーKelelaの最新アルバム「Raven」において15曲中10曲のプロデュースを担当した注目アーティスト。そんなBambiiの楽曲「Wicked Gyal」でフィーチャーされているラッパーのLady LykezはUK GqomシーンにおいてScratcha DVAやToya Delazyなどとも共演。


8、Onipa feat. Moonchild Sanelly "Danger"

Onipaは前述のK.O.GNubiyan TwistTom Excellらが組んだ奇跡的バンドで、伝統的アフロサウンドとUKアフロジャズを絶妙にブレンドし洗練されたダンスミュージックに昇華。そんなOnipaにまさかのMoonchild Sanellyが参加するとテイストもガラッと変わります。曲のハードコアさとMVのコミカルさの対比が面白い。


9、DJ JM ft. Swordman Kitala ”Funicular”

Swordman Kitalaはウガンダはカンパラ拠点のラッパーで、Nyege Nyege TapesのサブレーベルであるHakuna Kulalaから楽曲をリリース。リトアニアのDJ JMが鳴らすハードでミニマムなビートに合わせて走るフロウが最高。


10、Onipa ”Porridge”

再び登場のOnipa。他の楽曲でTom Excellがエレクトリック・カリンバを演奏してるビデオがあるので、もしかするとこの曲のカリンバもTomが弾いてるのかも。パーカッションもギターも気持ち良い!Nubiyan Twistらしさが表れた曲だと思います。


11、Auny Rayzor ft. Slimcase ”Doko”

出ましたAuny Rayzor。ナイジェリアの新進気鋭のラッパーですがビックリするほど日本語の紹介が多い。さすがはHakuna Kulala、注目度が違います。Eva Alordiah、Sasha P、Mz Kissなどのナイジェリアの先輩女性ラッパーたちよりも注目が集まるAuny Rayzorの今後の活躍に期待。ちなみにフィーチャーリングのSlimcaseはナイジェリアのラッパー。「Azaman」などの曲で知られ、Tiwa Savage、Wizkid、Ajebo Hustlers、Majeeedなどとも共演しています。


12、Santrofi ft. Kyong Sono, Coss ”Africa”

ガーナの若手ハイライフバンド「Santrofi」はエボ・テイラーパット・トーマスといったハイライフの大御所達直系サウンドを身にまといファンキーなアフログルーヴを奏でる注目株。プレイリストで選んだのはベルリンを拠点に活動するDJのKyong SonoCossによるタイトなリミックスです。オリジナルと聴き比べてみるのもオススメ。


というわけで今回はわたくしアオキが選曲した25曲のSpotifyプレイリスト「African Vibez Feb 2024 curated by AOKI」の前半12曲を、若干小走りではありましたがご紹介させて頂きました。残りの13曲はまた後日ということで、今日も最後までお読み頂きありがとうございました!アフリカ音楽キュレーターのアオキシゲユキでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?