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『ターミネーター』シリーズの、タイムマシンと生体組織の関連性の考察

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注意


『ターミネーター』
『ターミネーター2』
『ターミネーター3』
『ターミネーター4』
『ターミネーター新起動/ジェニシス』


 これらの重要な展開を明かします。ここから先を読む方はご注意ください。


はじめに


 『ターミネーター』シリーズは、コンピューター「スカイネット」が人類に反乱を起こし戦争で世界が壊滅し、ジョン・コナーの率いる抵抗軍が勝利したものの、機械が過去に刺客となるターミネーターを送り込むのが基本的な流れです。

 しかし、物語をあまり大規模にしないためなのか、人間同士の争いに印象を近付けるためなのか、劇中のタイムマシンでは「生体組織で覆われた対象しか送れない」という設定があるようです。
 これにより、ターミネーターも抵抗軍側の守護者も武器を持ち込みにくくなります。
 最初に来たターミネーター「101型」あるいは「T-800」は、金属骨格を筋肉や皮膚の組織で覆っています。
 ところが、第2作の『ターミネーター2』の時点で、液体金属により流動的に変形して人間に擬態する「T-1000」が登場します。さらに、『ターミネーター3』では、金属骨格を液体金属で覆ったためにある程度の擬態や武器の内蔵を可能とした「T-X」がいます。いずれもタイムマシンで来ています。
 生体組織で覆われた対象しか送れない設定との矛盾が気になります。


2つの可能性

 これを解決するには、2つの可能性があると、ネットにはあります。
 まず、『2』以降の作品では、スカイネットの誕生の経緯がタイムトラベルで変化したため、タイムマシンが生体組織以外も送れるようになったという説です。これをAとします。
 次に、液体金属による偽装で生体組織に見せかけて、タイムマシンを通っているという可能性です。
これをBとします。


何故Bを選んだか

 個人的には、Bを重視しています。
 私は資料を詳しく知らないため、あくまで劇中の描写からです。

 まず、T-1000もT-Xも、わざわざ全裸の人間の姿でタイムマシンにより来ています。液体金属でも全裸になる必要があるのは、逆に全裸の人間の外見なら生体組織に十分に見せかけられるとも考えられます。
 次に、T-1000が武器を未来から持ち込んでいないことです。生体組織以外を運べるならば、武器を持ち込んだ方が有利になる可能性があります。擬態の妨げになる可能性もありますが、やはりAではこの解決が難しくなります。T-Xは液体金属の内部に金属骨格と銃などを仕込んでいますが、外部に武器は持ち込みません。
 ただBならば、生体組織に武器や弾薬を覆った何らかの塊(かなりグロテスクですが)を運び込む手段も考えられます。そうしない点の解決も気になります。質量の限界かもしれませんが。

推測を進める


 これを『ターミネータージェニシス』から推測します。
 劇中では、ターミネーターとして、第1作と同じ型のT-800の刺客と守護者の「オジサン」、『2』の設定を取り込んだT-1000、そして2029年でスカイネットの本体が人間になりすましたT-5000(デビッド・S・コーエン 2015年:pp.154-155)、それにより人間を分子サイズの機械で細胞ごと改造された、2029年から2014年に来たT-3000(デビッド・S・コーエン 2015年:pp.150-153)が登場します。

 『ジェニシス』において、T-800の刺客は全裸で未来から来たものの、T-1000とT-3000は時間を超えたときの姿の描写がありません。
 しかし、T-3000はT-800に比べて磁力に弱く、後者が引き寄せられる程度の磁場がかかる間は体が崩壊し(人間だった頃の名残で痛みを持っている可能性があります)、T-800が取り扱える程度の拳サイズの磁石で殴られて一時的に変形しました。
 ちなみに、『3』のT-Xも現代の加速器で引き寄せられて液体金属が崩れました。
 それでも、感情の残るT-3000は「私を倒せる武器はない」と言い切ったものの、自らサイバーダイン社をだまして作らせた(抵抗軍に負けたときのためだとしても、何故人類に反乱を起こす前にかは分かりませんが)タイムマシンの「生体組織で覆われた対象以外は電磁場で大爆発を起こす」性質を利用されました。
 具体的には、「オジサン」との戦いで本気を出すためか損傷したためか、砂鉄で筋肉を再現したような黒い姿になり、「オジサン」の拳に持つ磁石で追い詰められ、そこで「オジサン」ごとタイムマシン用の電磁場発生器に巻き込まれました。
 T-3000は分解されたものの、「オジサン」はかろうじて破片が弾け飛んで偶然サイバーダイン社の開発していた液体金属と融合して爆発に耐え抜き「アップグレード」しました。
 しかし、「オジサン」は本来ならば耐えられなかったようです。
 既に生体組織が一部剥がれていた「オジサン」が耐えられず、T-3000が2029年のタイムマシンを通ったにもかかわらず、「オジサン」に追い詰められたときのタイムマシンに耐えられなかったのは、何故か考えました。
 そのときのタイムマシンはまだ電磁場発生器しか完成していなかったようですが。
 様々な意見から、やはりBの「外見で生体組織に見せかける」を採用しました。
 T-3000はT-1000やT-Xなどと同じく「全裸の人間」になりすませばタイムマシンを通れるのであり、本気を出したときの別の姿で磁石の攻撃を受けて崩されると通れないと推測しました。
 また、ネットの記述で気付きましたが、T-3000は、人間になりすましていた最中では、出血を再現しています。さらに撃たれて痛がったようであり、ごまかすのをやめたあとは撃たれながら平然と歩いています。
 感情も踏まえて、姿とタイムマシンへの耐性が関連している可能性があります。
 その体質でサイバーダイン社の施設に入って指導出来たのは奇妙ですが。


さらに細かく


 また、『ターミネーター』シリーズはタイムマシンであまり設備を持ち込めない中での戦いが重視されますが、長い準備をした「オジサン」の仕掛けに気になる点があります。「何故T-1000を見破る設備がないのか」です。
 今作で味方するT-800は、T-1000の性質を知っており、1984年で酸性の液体を用意して倒しながらも、それ以前に人間に擬態した相手が仲間の人間単独で見分けられなくなるときの対応を準備していません。
 そもそも第1作の抵抗軍のように犬を飼えば見分けられる可能性もありますが。
 仮にT-3000と同じくT-1000の液体金属が、拳サイズの電磁場で崩れるならば、それを仲間に持たせれば、劇中で足を撃ったような危険な行為の必要性はかなり下がります。近くにタイムマシンもありますし。

 つまり、T-1000は簡単な磁石で変形はしないようです。T-Xは加速器で、T-3000は拳サイズの磁石でかろうじて分かるようです。
 それらが、「タイムマシンに液体金属のターミネーターが耐えられるか」を分けるのかもしれません。


 ちなみに、「オジサン」は、1984年からのタイムマシンの作動に自分と同じ未来のCPUが必要だと説明して、自分以外の刺客のT-800を利用しました。これも、自分の生体組織の中に小さなチップを埋め込んだり、チップを別の生体組織で覆って保存したりする選択肢があったのではないか、とも考えました。そう出来ないのは、人間の外見の対象を運ぶことにタイムマシンが偏っているためなのかもしれません。

 また、「オジサン」を警戒する『ジェニシス』本来の時間軸の抵抗軍の兵士は、描写から、T-800を生体組織なしでならある程度味方として操れるものの、生体組織込みでは操れない可能性があり、第1作とも『2』とも『3』とも異なります。
 そのため、「オジサン」はそもそも、誰にどのような技術でプログラミングされたのかが非常に曖昧です。


 さらに、酸や熱に関して、耐えるような目的がないためかもしれませんが、骨格のT-800より液体のT-1000の方が弱い描写が『2』や『ジェニシス』にはあります。刃物に変化したときの力学的な強度は、T-1000が逆に上かもしれませんが。


 そして、T-800や『ターミネーター3』のT-850は、自分をロボットではなくサイボーグと呼び、『3』ではわざわざ訂正しています。正確には、生体組織を活動こそさせていますが機械部分のために必要ではないので、サイボーグと表現する必然性は見当たりません。
 しかし、仮に生体組織が機械部分と密接な相互作用を果たしているのがT-800にとって重要なのだとすれば、タイムマシンにも関わるかもしれません。


 生体組織のないターミネーターが何故タイムトラベル出来るのかの可能性を追求すると、きわめて混迷としました。
 これだけでは、まだ断定出来ないかもしれませんが。
 ご指摘があれば、お待ちしています。


挙げた物語


ジェームズ・キャメロン(監督),ジェームズ・キャメロンほか(脚本),1984,『ターミネーター』,オライオン・ピクチャーズ(配給)
ジェームズ・キャメロン(監督),ジェームズ・キャメロンほか(脚本),1991,『ターミネーター2』,トライスター・ピクチャーズ(配給)
ジョナサン・モストゥ(監督),ジョン・ブランカートほか(脚本),2003,『ターミネーター3』,ワーナー・ブラーズ(配給)
マックG(監督),ジョン・ブランケットほか(脚本),2009,『ターミネーター4』,ソニー・ピクチャーズエンタテイメント(配給)
アラン・テイラー(監督),レータ・グロリディスほか(脚本),2015,『ターミネーター新起動/ジェニシス』,パラマウント映画(配給)



文献

デビッド・S・コーエン(著),平沢薫(訳),2015,『ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド』,ビジネス社



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