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4. 2019年7月 全身麻酔にて乳房部分切除(温存)手術

2019年夏に40歳でステージⅠ期乳がんが見つかり、計3回の手術(局所麻酔2回・全身麻酔1回)および放射線治療を経てホルモン治療期間に入りました。 私はピラティスインストラクターをしておりますので身体操作に制限が起こることが最も心配でしたが、術後約4ヶ月(2019年年末時点)で大きな問題はございません。 特に運動が生業の方やスポーツをされている方は「術後どれくらいで動けるのか」が懸念事項となりますでしょうから、参考までに治療の経過を記します。病態は千差万別となりますので、あくまで個人の例としてご覧ください。

【入院、乳房部分切除(温存)手術】
前日に入院し、翌日に手術です。全身麻酔からの覚醒時に悪心が起こることはよくあるらしく、私もそうでした。確か「2時間は薬剤を使えない」とのことでしたが、少し嘔吐してしまい吐き気止め投与の許可が出て治まりました。起きた途端に気持ちが悪く、それを想定していなかったので少し驚きました。
尿管が入っており翌朝まで身動きできずあまり眠れないのが辛かったです。エコノミー症候群予防のため膝下までの弾性ストッキングを履いていましたが、かぶれてしまい退院後に市販のステロイド剤(マイルド)を塗布し治癒しました。その他の経過は順調でした。
センチネルリンパ節に転移はなかったため腋窩部郭清なしの乳房部分切除(温存)手術です。

手術が終わるのを待ってくれていた夫は、主治医に切除した肉片を見せられただけでなく「薄い手袋をつけて触らされた」と言っていました。「こんな機会は滅多にないから」と強いられたそうです。笑

【「医療は究極の贅沢」と実感したことについて】
手術の翌朝、看護師さんに尿管を外していただきました。初となる「下のお世話」をしてもらい大変申し訳なく思いました。

病気が発覚したことでこれまでそれほど意識していなかった現実を知り、それはいわゆる「キャンサーギフト」と言えるかもしれません。つまり「自分は先進国で異常なほど恵まれた生活している」という事実でした。日々あくせく働いている中ではそのことに気がつかず改めて驚きました。

癌が確定すると同時に凄い数の大人が私を治そうと動いてくださいます。自宅近辺で高度な医療を受けられるのは日本の制度が整っているからに他なりませんが、一般人に過ぎない私がこのレベルの扱いを受けるのかと衝撃でした。癌になって「日本人は実質貴族」と知ったのです。自分がお姫様だとは夢にも思いませんでした。これを全国民に適用するのですから国が詰むはずですね。。。

地球における先進国の割合は20%ほどだとか。特に引け目などまでは感じませんが「私が今日受けた治療は昨日死んだ誰かが死ぬほど受けたかった医療」とも言えます。治療を受けられない人もいれば、医学の発展過程で犠牲になった人もいるでしょう。

病院では医師もコメディカルの方々も限界までお忙しそうで、それでもわざわざ病室訪問してくださったりナースコールがあれば駆け付け下のお世話もしてくださって。。。母国ながら病棟内はカルチャーショックの連続でした。医療体制が高度に保たれているのは「仕事とはいえ個々人の自己犠牲に頼るところがとてつもなく大きいのでは」と違和感さえありました。上がったサービスのレベルはもう下げられないでしょう。患者からのクレームまで受付にたくさん貼ってありますし。。。

こういった恩恵に預かれることを「当然」などと思ってはならずありがたいことこの上ないのですが、贅沢とは暴走するのが常。過剰治療の問題もあるのだろうなあ…と癌になって実感しました。

命があるって贅沢〜。ただの人間が他人にここまでしてもらって生きるのか。ひと昔前なら道端に打ち捨てられていただろう自分の命です。人権意識が極限まで発達した今でもその本質は変わらないはず。「生きてるだけで感謝しろ」ですね。だからこそ大事にできるうちはしておかなくては。死後さばきにあう。

【手術翌朝はエックス線写真撮影】
さて、朝トイレに行けたら胸部X線撮影です。一人でよちよち歩いて放射線室まで行きました。先日の手術で「歩くと術後の傷に響く」経験をしたので、胸に振動が伝わらないよう胸帯の上から腕で抑えたり支えたりしながらの歩行です。この日の運動は院内のコンビニや休憩室を覘いてみる程度でした。

あとはテレビをつけてゴロゴロ過ごし、退屈を感じる程度に元気でした。ワイドショーで宮迫博之さん(吉本興業)の闇営業問題を延々報じている時期で、その夜NHKスペシャル『半グレ 反社会勢力の実像』を見ていましたらそこでも宮迫氏が反社のパーティーで歌う様子が放送されていました。2019年夏の思い出です。

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