見出し画像

誤訳のパターン7 ケアレスミス~その3

間違っている翻訳、つまり誤訳にはいくつかパターンがある。
 昨日は、注意不足によるケアレスミス(タイピングエラーや変換ミス等)について、具体的な原因の1回目「集中力不足」の解決策を考えてきた。今日はケアレスミスの他の原因について考えてみよう。

(2) 環境不良の解決策 大前提を知ろう

まずは、このことばを書いておこう。特定非営利活動法人失敗学会の副会長、飯野謙次が著書で述べている。

人間の記憶と論理的思考に頼っている限り、ヒューマンエラーはなくせません。

飯野謙次『ミスしても評価が高い人は、何をしているのか?』より

 つまり、人間はミスをする生き物だから、人間に頼るのは危険であるということだ。人間なら見落としても機械なら見落とさないという場面はもちろん存在する。

機械と環境に投資しよう

 従って、機械にできること、機械が得意なことは機械に任せる。校正で機械といえばJustRight!である。消費税を入れて5万円以上するが、必ず「買ってよかった!」買い物になるだろう。スペルチェックもできる。
 そのほかわたしが、「機械・環境・道具」に投資しているといえば、まずはA3複合機。これである。A3サイズのプリントもコピーもスキャナも1台でできるのはとてもありがたい。

 そのほか1万円以上したものとしては、「照度が高く目にも優しいシーリングライト」(1万円)と、「視力を下げて視覚を向上し、身体を整える」眼鏡(9万円、詳しくは ↓ を参照)がある。

 パソコンについては、翻訳ツールも使わないわたしは、それほど性能が高いものは必要ないのでふつうのモデルだ。ただしモニタは2台にしている。複数のファイルを開いて作業するのがふつうなので、1台では足りない。
 たとえば翻訳チェックでは、原文ファイルと訳文ファイル、辞書ブラウザ、調べ物用のWebブラウザの4つは必ず表示させておく。すると、それなりに大きいモニタ(27インチ)が2台必要なのである。
 また、イスに投資する人もいる。エルゴノミクスタイプや、アーロン、ハーマンといったブランドものを買う人もいる。わたしはイスにはこだわりがなく、腰痛等も感じないので、食卓用のイスを1つ持ってきて、骨盤座布団を敷いているだけだ。

最初に投資すべきもの、次にすべきもの

こういうことも、自分にとって何が必要なのかがわかっていて初めて「どこにお金をかけて、どこにはかけない」と決めることができる。
 とはいえ、最初からそれがすべてわかっている必要はない。翻訳者や校閲者で、どこに投資したらよいか迷っている人には、まずはダブルモニタと JustRight! をお勧めしたい。導入した日から成果物に反映される。
 そのあとは、仕事をしているうちに「もっとこうなれば」「これがあったらな」というのがわかってくるはずだ。
 翻訳者の格言に「辞書はお金で買える実力」というのがある。翻訳校閲者としてひとつ付け加えたい「機械と環境もお金で買える実力」だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?